勝手に召喚して勝手に期待して勝手に捨てたじゃないの。勝手に出て行くわ!

朝山みどり

文字の大きさ
上 下
19 / 30

第19話 侍女長の考え

しおりを挟む
侍女長とか、リシッド伯爵の動向を追いたいのだが、夜はトニーがいるので抜け出せないし、昼間はラベンダーとミントがいるので一人になれない。
今日は、ラベンダーとミントの二人を使いに出した。
縫いぐるみの服を取りに行かせたのだ。ジェフリーはわたしの雑用係として配属させて楽団に混じって練習するように言いつけている。

今、わたしは隠蔽の魔法を使って侍女長をつけている。城内の掃除の出来を点検している。ちゃんと仕事しているんだ。と思いながら後ろを歩く。

すると大広間にやって来た。ここで会食をしたんだった。そこで男が照明器具を点検していた。その男のそばに行くと男が目礼した。男が雑巾の下になにか忍ばせて台に置いた。侍女長は雑巾毎それを掴んだ。
その場を去ろうとして侍女長に
「あの方はそれの使い方の確認を取りたがっています」と言った。
「まぁ口に出すほどのことじゃないけど・・・ご希望ならば。茶葉に混ぜます。侍女二人にはなにも知らせません。既に聖女様のお茶には混ぜてますよ。あんなのは聖女と認めません。世継ぎは生ませません。もしバレたら侍女二人を切り捨てます。あの二人は優秀なんですけどね。優秀だから聖女につけたのに裏切られて悲しいと泣きます。そちらはどうなんですか?あの二人の黒幕役は?ラベンダーもミントもなにも知らないからなにも出て来ない。それはまずいですよからね。取り調べ中に牢屋で始末するのも不自然ですよ」と侍女長が言うと
「だれにするか迷ってます。部屋から手紙が見つかれば充分でしょ。決めたら連絡しますっていうか来月ですね。そのお茶がなくなる頃、次を渡すときに」そういうと男は照明器具の点検に戻った。

わたしも途中で侍女長を追い越すと急いで、部屋に戻った。

子供を生ませないか・・・欲しくないし!!
世の中には子供がたくさんいるんだから、わたしが生む必要ないよね・・・

だけど、あの女の薬を飲んで生めなくなるのも、業腹だ。トニーの精子に細工してやるか・・・トニーに恨みはない。愛してる。だけど子供はいらない。わたしがいらないものはトニーもいらない。

先を結ぶわけにもいかないし・・・そうですね・・・熱だしてもらおうか・・・
こちらにこの手の知識はあるのかな?

とりあえず、トニーは今晩はわたしと仲良くするわね・・・うっふふ・・・がんばっちゃおう。

わたしは、今日は出来ない日だから、自然にまかせよう。もし、妊娠したら・・・その子の根性に免じて生みましょう。

こんなことを考えながら部屋に戻るとすぐに二人が服を受け取って戻って来た。

それを縫いぐるみに着せて行く。無難に子供用の服だ。

二人がなにか言いたくてそわそわしているので

「なかなか可愛いわね」とウサギさんを立たせて右手を上げさせる。左足をあげた状態でくるりと回転させると

「聖女様、素敵でございます。子供達が喜びますわ」とミントが言った。

そうかなと思いつつ、どの縫いぐるみも同じ服を着せて、ジェフリーとミントにも着せたらいいかなと思いついた。

だけど、小麦問題の解決が先。どうすればいいのかな・・・ってことでトニーに質問した。

夕食を食べながら

「小麦の出来はどうなんでしょう?報告はどうですか?」と聞くとちょっと間を開けて
「どうして、そのようなことを」とトニーが押さえ口調で聞き返して来た。

「えぇ、戦場にいく途中で見た小麦畑の状態は悪かったでしょ。その後どうかしらと思って」
「君はそんなこと気にしなくていいんだよ」

「気にしますわ。王妃ですもの。国民の生活を気にするよ」と答えるとトニーはふっと笑うと
「そう、君は王妃だ。小麦も大事だけど君の王妃としても仕事は他にある。孤児院に行ったり、学校を訪問したり・・・たまに商店に行って民とふれあったり・・・今度侍女長と相談してバザーをやったらどうだい?」

バザーですって子供じゃあるまいし・・・まぁやってもいいけど侍女長はいらないわ。だけど、これ以上はやめておこう。
わたしは、返事をせずにグラスのワインを飲んだ。飲みながら、トニーの目をじっと見るとトニーはわたしに近づき抱きしめるとキスをして来た。キスに答えた。

「侍女長と仲良くやってくれ、厳しいのは期待してるからだよ」とトニーが言った。わたしは
「わかった」と答えた。だってさ。気持ちよかったんだもん。

しおりを挟む
★☆彡☆彡★☆彡☆彡★☆彡☆彡★☆彡☆彡★☆彡☆彡★☆彡☆彡★☆彡☆彡★


歴史・時代小説大賞に応募しています。読んでみて下さい


お江戸を指南所


【 みどりの短編集 】 今までの投稿をまとめます


感想 5

あなたにおすすめの小説

婚約破棄の上に家を追放された直後に聖女としての力に目覚めました。

三葉 空
恋愛
 ユリナはバラノン伯爵家の長女であり、公爵子息のブリックス・オメルダと婚約していた。しかし、ブリックスは身勝手な理由で彼女に婚約破棄を言い渡す。さらに、元から妹ばかり可愛がっていた両親にも愛想を尽かされ、家から追放されてしまう。ユリナは全てを失いショックを受けるが、直後に聖女としての力に目覚める。そして、神殿の神職たちだけでなく、王家からも丁重に扱われる。さらに、お祈りをするだけでたんまりと給料をもらえるチート職業、それが聖女。さらに、イケメン王子のレオルドに見初められて求愛を受ける。どん底から一転、一気に幸せを掴み取った。その事実を知った元婚約者と元家族は……

【完結】溺愛してくれる夫と離婚なんてしたくない!〜離婚を仕向けるために義父様の配下が私に呪いをかけてきたようですが、治癒魔法で解呪します〜

よどら文鳥
恋愛
 公爵家に嫁いだものの、なかなか子供が授からないミリア。  王族にとって子孫ができないことは死活問題だった。  そのため、旦那であるベイルハルトの両親からは離婚するよう圧がかかる。  ミリアもベイルハルトも離れ離れになりたくはなかった。  ミリアは治癒魔法の会得を試みて子供が授かる身体になることを決意した。 だが、治癒魔法は禁呪とも言われ、会得する前に死んでしまうことがほとんどだ。  それでもミリアはベイルハルトとずっと一緒にいたいがために治癒魔法を会得することに。  一方、ミリアに子供が授からないように呪いをかけた魔導師と、その黒幕はミリアが治癒魔法を会得しようとしていることを知って……? ※はじめてのショートショート投稿で、全7話完結です。

出来損ないと言われて、国を追い出されました。魔物避けの効果も失われるので、魔物が押し寄せてきますが、頑張って倒してくださいね

猿喰 森繁
恋愛
「婚約破棄だ!」 広間に高らかに響く声。 私の婚約者であり、この国の王子である。 「そうですか」 「貴様は、魔法の一つもろくに使えないと聞く。そんな出来損ないは、俺にふさわしくない」 「… … …」 「よって、婚約は破棄だ!」 私は、周りを見渡す。 私を見下し、気持ち悪そうに見ているもの、冷ややかな笑いを浮かべているもの、私を守ってくれそうな人は、いないようだ。 「王様も同じ意見ということで、よろしいでしょうか?」 私のその言葉に王は言葉を返すでもなく、ただ一つ頷いた。それを確認して、私はため息をついた。たしかに私は魔法を使えない。魔力というものを持っていないからだ。 なにやら勘違いしているようだが、聖女は魔法なんて使えませんよ。

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!? 元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

【完結】わたしは大事な人の側に行きます〜この国が不幸になりますように〜

彩華(あやはな)
恋愛
 一つの密約を交わし聖女になったわたし。  わたしは婚約者である王太子殿下に婚約破棄された。  王太子はわたしの大事な人をー。  わたしは、大事な人の側にいきます。  そして、この国不幸になる事を祈ります。  *わたし、王太子殿下、ある方の視点になっています。敢えて表記しておりません。  *ダークな内容になっておりますので、ご注意ください。 ハピエンではありません。ですが、救済はいれました。

神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>

ラララキヲ
ファンタジー
 フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。  それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。  彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。  そしてフライアルド聖国の歴史は動く。  『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……  神「プンスコ(`3´)」 !!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!! ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇ちょっと【恋愛】もあるよ! ◇なろうにも上げてます。

護国の聖女、婚約破棄の上、国外追放される。〜もう護らなくていいんですね〜

ココちゃん
恋愛
平民出身と蔑まれつつも、聖女として10年間一人で護国の大結界を維持してきたジルヴァラは、学園の卒業式で、冤罪を理由に第一王子に婚約を破棄され、国外追放されてしまう。 護国の大結界は、聖女が結界の外に出た瞬間、消滅してしまうけれど、王子の新しい婚約者さんが次の聖女だっていうし大丈夫だよね。 がんばれ。 …テンプレ聖女モノです。

処理中です...