30 / 42
証言
しおりを挟む
〇漁協事務所。昼。
県警の刑事、越智絵里香と先輩刑事の久保木 孝明(42)が聞き込みをしている。
T「県警捜査一課、久保木 孝明(42)」
久保木「組合長はどんな様子でしたか?」
女性職員たち数名が答えている。
女性職員A「まさか、組合長が村長を殺すなんて…」
女性職員B「でも、組合長、村長に復讐するってずっと言ってました」
女性職員C「私も殺してやるって叫んでるのを何度も聞きました」
〇スナック亜矢子。店内。
亜矢子に聞き込みをしている絵里香と久保木刑事。
久保木「事件の夜、組合長はこちらで飲んでいたそうですね」
亜矢子「ええ。あの晩は武藤さん、かなり飲んでいましたよ。息子さんが殺されてから毎晩、そんな感じでしたがね」
〇フェリー乗り場。
小西 久美子「あの晩、酔っぱらった組合長が歩いているところを見ました」
〇女岩島食堂。
浦野 綾花「店の前を通るのを見ました。殺してやるって呟きながら歩いていたので怖かったです」
〇村長宅。
涙をハンカチで拭いながら話す房江。
房江「夜に突然、組合長が凄い剣幕で押しかけて来て…。話があるからってうちの人、無理やり連れ出されたんです。まさか、こんなことになるなんて…」
〇岬の灯台。
崖の上から下を覗き込む久保木刑事。
しゃがんで、足元の地面を確認する絵里香。
絵里香「二人が争った跡もありますね」
久保木「目撃者の証言もすべて一致してるし、こりゃ間違いないな。息子を殺されて村長を怨んでいた組合長が、もみ合ううちに二人とも足を滑らせたんだろう」
絵里香「あるいは組合長が村長を呼び出して殺害し、自分も自殺したってとこですね」
○派出所。
派出所に立ち寄った絵里香と久保木刑事。
島の駐在、三好良介が激しく動揺している。
三好「こんなのおかしい!おかしいですよ!」
久保木、三好の胸を軽く叩く。
久保木「落着け!三好巡査!」
三好「これまで何十年もこの島には事件らしい事件なんてなかったんですよ。それがこの1か月で立て続けに5人も人が死んどるんです!異常事態ですよ!」
絵里香「悪いことってのは続くものよ」
三好「何かが起きとるんです!俺の想像もつかないことが…」
絵里香と久保木刑事、顔を見合わせ、肩をすくめる。
○フェリー。甲板。
絵里香と久保木刑事がフェリーに乗って島を出てゆく。
久保木刑事「あの若い巡査。かなり精神的に追い込まれてるな」
絵里香「もともとこの島出身で、組合長とも親しかったそうですから、ショックなんでしょうね」
久保木刑事「大丈夫かな……」
T「久保木刑事の悪い予感は当たった。その数日後、派出所でピストル自殺をしている三好巡査の死体が発見された。近隣の女性達は口々に、三好巡査の様子がおかしかったと証言した」
県警の刑事、越智絵里香と先輩刑事の久保木 孝明(42)が聞き込みをしている。
T「県警捜査一課、久保木 孝明(42)」
久保木「組合長はどんな様子でしたか?」
女性職員たち数名が答えている。
女性職員A「まさか、組合長が村長を殺すなんて…」
女性職員B「でも、組合長、村長に復讐するってずっと言ってました」
女性職員C「私も殺してやるって叫んでるのを何度も聞きました」
〇スナック亜矢子。店内。
亜矢子に聞き込みをしている絵里香と久保木刑事。
久保木「事件の夜、組合長はこちらで飲んでいたそうですね」
亜矢子「ええ。あの晩は武藤さん、かなり飲んでいましたよ。息子さんが殺されてから毎晩、そんな感じでしたがね」
〇フェリー乗り場。
小西 久美子「あの晩、酔っぱらった組合長が歩いているところを見ました」
〇女岩島食堂。
浦野 綾花「店の前を通るのを見ました。殺してやるって呟きながら歩いていたので怖かったです」
〇村長宅。
涙をハンカチで拭いながら話す房江。
房江「夜に突然、組合長が凄い剣幕で押しかけて来て…。話があるからってうちの人、無理やり連れ出されたんです。まさか、こんなことになるなんて…」
〇岬の灯台。
崖の上から下を覗き込む久保木刑事。
しゃがんで、足元の地面を確認する絵里香。
絵里香「二人が争った跡もありますね」
久保木「目撃者の証言もすべて一致してるし、こりゃ間違いないな。息子を殺されて村長を怨んでいた組合長が、もみ合ううちに二人とも足を滑らせたんだろう」
絵里香「あるいは組合長が村長を呼び出して殺害し、自分も自殺したってとこですね」
○派出所。
派出所に立ち寄った絵里香と久保木刑事。
島の駐在、三好良介が激しく動揺している。
三好「こんなのおかしい!おかしいですよ!」
久保木、三好の胸を軽く叩く。
久保木「落着け!三好巡査!」
三好「これまで何十年もこの島には事件らしい事件なんてなかったんですよ。それがこの1か月で立て続けに5人も人が死んどるんです!異常事態ですよ!」
絵里香「悪いことってのは続くものよ」
三好「何かが起きとるんです!俺の想像もつかないことが…」
絵里香と久保木刑事、顔を見合わせ、肩をすくめる。
○フェリー。甲板。
絵里香と久保木刑事がフェリーに乗って島を出てゆく。
久保木刑事「あの若い巡査。かなり精神的に追い込まれてるな」
絵里香「もともとこの島出身で、組合長とも親しかったそうですから、ショックなんでしょうね」
久保木刑事「大丈夫かな……」
T「久保木刑事の悪い予感は当たった。その数日後、派出所でピストル自殺をしている三好巡査の死体が発見された。近隣の女性達は口々に、三好巡査の様子がおかしかったと証言した」
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
私をもう愛していないなら。
水垣するめ
恋愛
その衝撃的な場面を見たのは、何気ない日の夕方だった。
空は赤く染まって、街の建物を照らしていた。
私は実家の伯爵家からの呼び出しを受けて、その帰路についている時だった。
街中を、私の夫であるアイクが歩いていた。
見知った女性と一緒に。
私の友人である、男爵家ジェーン・バーカーと。
「え?」
思わず私は声をあげた。
なぜ二人が一緒に歩いているのだろう。
二人に接点は無いはずだ。
会ったのだって、私がジェーンをお茶会で家に呼んだ時に、一度顔を合わせただけだ。
それが、何故?
ジェーンと歩くアイクは、どこかいつもよりも楽しげな表情を浮かべてながら、ジェーンと言葉を交わしていた。
結婚してから一年経って、次第に見なくなった顔だ。
私の胸の内に不安が湧いてくる。
(駄目よ。簡単に夫を疑うなんて。きっと二人はいつの間にか友人になっただけ──)
その瞬間。
二人は手を繋いで。
キスをした。
「──」
言葉にならない声が漏れた。
胸の中の不安は確かな形となって、目の前に現れた。
──アイクは浮気していた。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる