10 / 140
幼少期
10 あたしはメインヒロイン(カタリナ視点)
しおりを挟む
「嘘でしょ……!?」
気づいたらあたしは青い髪が特徴の女児になっていた。
確か、大学を卒業したものの就活も面倒で適当な会社に入ったら、そこが超絶ブラック。
やる気をなくして早々に退社して、お兄ちゃんにゲームを借りたりして遊んで暮らしてたはずだったよね。
「カタリナお嬢様? どうかされましたか?」
「……えっ!? ええ、何でもないわ」
一瞬誰のことかと思ったけど、どうやらあたしのことみたい。
もしかしてさ……もしかしなくてもだけど、これって異世界転生ってやつ!?
すごいじゃん!? 鏡を見る限り、結構な美人だし、もしかしてヒロインなんじゃない!?
あ、でも最近の流行だと悪役令嬢ってこともあるのか……悪役令嬢ものってハッピーエンドになるために婚約破棄されたり、頑張ったりで面倒なのよね。
「カタリナお嬢様、今日からは周辺領の勉強を始めますよ」
声をかけてきたメイドさん(?)の側にいたひっつめ髪で眼鏡をかけたオバさんが、あたしに対して話しかけてくる。
っていうか、勉強!? うえ~、めんどくさ~。まあでも、どんな世界に転生したのか調べるにはいいか。
「わかりました」
「お嬢様が住んでいるのはミネッティ伯爵領ですが、周辺には同格の伯爵領とエルメライヒ公爵があります。公爵は与えられた土地の一部を部下に与える権限があり、お嬢様の御父上、ミネッティ伯爵も公爵に任じられて伯爵になった1人です……」
オバさんが説明を続けているけど、あたしはその説明はほとんど聞いていなかった。
だって、このオバさん、ミネッティ伯爵家って言ったよ? しかもエルメライヒ公爵家? それってあたしがさっきまで……というか、前世でプレーしてたゲームの設定じゃん。
そうだよ、メインヒロインの1人がカタリナで、確か名字がミネッティ。ラスボスはローズマリーでエルメライヒ公爵だったよね?
ってことは、やった! 勝ち組じゃん!
前世では天パーとストーンとした体形がコンプレックスだったけど、カタリナはロングストレートで爆乳なのが売りだし、万々歳だよ!
あれ? でも、カタリナって白豚悪役令息と婚約するんだっけ? シナリオの中盤に婚約破棄できるけど、あんな白豚と一時でも婚約するのは嫌だなぁ。
……そういえば、主人公のアルフレートって公爵領に住んでいる孤児をローズマリーが拾ってきたんだっけ?
じゃあ、あたしが先にアルフレートを拾って婚約しちゃえばいいんじゃない?
どうせ、主人公のアルフレートはカタリナとも婚約するんだし、何よりローズマリーに手を付けられる前のアルフレートを拾えば自分の好みに育てられるじゃない?
あれっ、これって最高じゃん! あたしって天才じゃない!?
で、見事成功したってわけ。今あたしの隣には執事服を着たアルフレートがいるのよっ! もう最高!
まあ、両親の説得で1年くらいかかったのは誤算だったけど、ローズマリーに拾われる前のアルフレートを発見したときは小躍りしてしまったわ。
「カタリナ、お前に婚約話が来ている。拾ってきた孤児の面倒を見るのも良いが、きちんと勉強もするようにな」
「えっ!? 婚約!? 嫌ですわ!」
「嫌っ!? いやいや、お前が何と言おうと婚約は両家が決めたことだ。何があろうと会ってもらうからな。……まったく、少し甘やかしすぎたか」
なによもう! 婚約ってもしかして、悪役令息と!? 本当に嫌なんだけど!
「ねえ、婚約って誰となのか分かる?」
「ゲルハルディ伯爵家と聞いて居ります」
近くにいたメイドに聞けば、そう答えが返ってきたけど、ゲルハルディ……確か悪役令息がそんな名前だったような。
でも、攻略サイトでも白豚悪役令息って書かれてたし、あんまり覚えてないのよね。
ま、いいか。気に入らなかったら婚約しないって言っちゃえばいいものね。
そもそも、本人の意思を無視して婚約なんてありえない話よ!
「わたしがあなたなんかと婚約なんてするわけないでしょ! うぬぼれないでよねこの悪役令息が!」
だからさ、悪役令息と会うってことになったときに、こう言ってやったのよ。
しかも隣には主人公のアルフレートを連れてね。
会ったら本当にあのゲームの悪役令息を小さくしたような男の子がいたんだけど、まさに白豚って感じで笑いそうになったわ。
お父様もそうだけど、この国の貴族男性ってだらしなく太っている人が多くてやんなっちゃうわ。
その点、アルフレートはすらっとした細マッチョであたしの好みど真ん中、アルフレートにはこのまま鍛えていってほしいわね。
このゲームのシナリオなんてほとんど覚えていないけど、あたしはメインヒロインなんだし、主人公も確保したし、なにをやってもハッピーエンド間違いなしよね!
気づいたらあたしは青い髪が特徴の女児になっていた。
確か、大学を卒業したものの就活も面倒で適当な会社に入ったら、そこが超絶ブラック。
やる気をなくして早々に退社して、お兄ちゃんにゲームを借りたりして遊んで暮らしてたはずだったよね。
「カタリナお嬢様? どうかされましたか?」
「……えっ!? ええ、何でもないわ」
一瞬誰のことかと思ったけど、どうやらあたしのことみたい。
もしかしてさ……もしかしなくてもだけど、これって異世界転生ってやつ!?
すごいじゃん!? 鏡を見る限り、結構な美人だし、もしかしてヒロインなんじゃない!?
あ、でも最近の流行だと悪役令嬢ってこともあるのか……悪役令嬢ものってハッピーエンドになるために婚約破棄されたり、頑張ったりで面倒なのよね。
「カタリナお嬢様、今日からは周辺領の勉強を始めますよ」
声をかけてきたメイドさん(?)の側にいたひっつめ髪で眼鏡をかけたオバさんが、あたしに対して話しかけてくる。
っていうか、勉強!? うえ~、めんどくさ~。まあでも、どんな世界に転生したのか調べるにはいいか。
「わかりました」
「お嬢様が住んでいるのはミネッティ伯爵領ですが、周辺には同格の伯爵領とエルメライヒ公爵があります。公爵は与えられた土地の一部を部下に与える権限があり、お嬢様の御父上、ミネッティ伯爵も公爵に任じられて伯爵になった1人です……」
オバさんが説明を続けているけど、あたしはその説明はほとんど聞いていなかった。
だって、このオバさん、ミネッティ伯爵家って言ったよ? しかもエルメライヒ公爵家? それってあたしがさっきまで……というか、前世でプレーしてたゲームの設定じゃん。
そうだよ、メインヒロインの1人がカタリナで、確か名字がミネッティ。ラスボスはローズマリーでエルメライヒ公爵だったよね?
ってことは、やった! 勝ち組じゃん!
前世では天パーとストーンとした体形がコンプレックスだったけど、カタリナはロングストレートで爆乳なのが売りだし、万々歳だよ!
あれ? でも、カタリナって白豚悪役令息と婚約するんだっけ? シナリオの中盤に婚約破棄できるけど、あんな白豚と一時でも婚約するのは嫌だなぁ。
……そういえば、主人公のアルフレートって公爵領に住んでいる孤児をローズマリーが拾ってきたんだっけ?
じゃあ、あたしが先にアルフレートを拾って婚約しちゃえばいいんじゃない?
どうせ、主人公のアルフレートはカタリナとも婚約するんだし、何よりローズマリーに手を付けられる前のアルフレートを拾えば自分の好みに育てられるじゃない?
あれっ、これって最高じゃん! あたしって天才じゃない!?
で、見事成功したってわけ。今あたしの隣には執事服を着たアルフレートがいるのよっ! もう最高!
まあ、両親の説得で1年くらいかかったのは誤算だったけど、ローズマリーに拾われる前のアルフレートを発見したときは小躍りしてしまったわ。
「カタリナ、お前に婚約話が来ている。拾ってきた孤児の面倒を見るのも良いが、きちんと勉強もするようにな」
「えっ!? 婚約!? 嫌ですわ!」
「嫌っ!? いやいや、お前が何と言おうと婚約は両家が決めたことだ。何があろうと会ってもらうからな。……まったく、少し甘やかしすぎたか」
なによもう! 婚約ってもしかして、悪役令息と!? 本当に嫌なんだけど!
「ねえ、婚約って誰となのか分かる?」
「ゲルハルディ伯爵家と聞いて居ります」
近くにいたメイドに聞けば、そう答えが返ってきたけど、ゲルハルディ……確か悪役令息がそんな名前だったような。
でも、攻略サイトでも白豚悪役令息って書かれてたし、あんまり覚えてないのよね。
ま、いいか。気に入らなかったら婚約しないって言っちゃえばいいものね。
そもそも、本人の意思を無視して婚約なんてありえない話よ!
「わたしがあなたなんかと婚約なんてするわけないでしょ! うぬぼれないでよねこの悪役令息が!」
だからさ、悪役令息と会うってことになったときに、こう言ってやったのよ。
しかも隣には主人公のアルフレートを連れてね。
会ったら本当にあのゲームの悪役令息を小さくしたような男の子がいたんだけど、まさに白豚って感じで笑いそうになったわ。
お父様もそうだけど、この国の貴族男性ってだらしなく太っている人が多くてやんなっちゃうわ。
その点、アルフレートはすらっとした細マッチョであたしの好みど真ん中、アルフレートにはこのまま鍛えていってほしいわね。
このゲームのシナリオなんてほとんど覚えていないけど、あたしはメインヒロインなんだし、主人公も確保したし、なにをやってもハッピーエンド間違いなしよね!
196
あなたにおすすめの小説
神々に見捨てられし者、自力で最強へ
九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。
「天職なし。最高じゃないか」
しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。
天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる