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38話 隠していた事

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「『平気です』じゃねぇんだよクローンの癖に」
「……」

ヘリウズは6155を医務室に寝かせて、トランプ兵たちが報告に来るのを待っていた


「今まで自分の事なんか、話さなかっただろお前……あとで俺も聞くからな」
「そうですね」
「返事なんかせずに寝てろって」
「ちょっと胃液吐いたくらいで大げさな」
「お前兵士長だろうが、部下が吐いた時に言いづらい状況にすんじゃねぇ」
「……人間の癖に、聡明でいらっしゃる」
「お前だってその人間だろうが」
「ふふ、今ではそうですね」


崖から落ちそうになっていたヘリウズを6155が助けてから、二人の関係は親友と呼ぶに相応しかった。
背中合わせで数多くのモンスターを討伐して、共に旅をしてきたのだ。
かといって過去を話すような事もなく、喧嘩するほど仲がいいとよく言われるほどに喧嘩ばかりだった。





「失礼します!」

ダイヤ兵が大慌てで医務室に入って来た

「なんだあ!?」
「兵士長、ヘリウズ様、急いで確認したい事がございまして!!」
「緊急事態のようですね」
「Aシリーズといえば『14日誰にも抱かれなければ死ぬ』そして『もう一つ』条件があるそうで」
「え」
「抱かれなきゃ死ぬってだけで厄介なのに、まだあんの!?」
「『絶頂の回数』が足りなければ『記憶が全てなくなる』」
「何でだよ!?」
「愛玩用ですので、『主人』が『飽きたら』自動で脳がリセットされるようで」
「その回数はどれほど?」
「問題はそこでして、Aシリーズのリセットは本来パーツで決まるらしく」
「パーツが純正品でない王妃では回数が全くの未知数!?」
「そうなります」
「本当に寝てる場合ではなくなりました、魔王に確認をとりに行きます」


魔王の部屋


「6155!?倒れたと聞いたが、良かった」
「それより魔王様」

全てを話すと魔王は

「……聞いてないぞ」
「Aシリーズは横のつながりを持たないので、王妃様が知らない可能性もありますね」
「とにかく本人に聞きにいく、ついてこい」



城の上層、監禁部屋に魔王、6155、ヘリウズで向かった


「6024!」
「どうしたの?」
「お前は、日数ではなく回数が足りなくても死ぬ事を知っていたのか?」

それを聞いた王妃の答えが

「……ええと、あのその、なん……僕はパーツが他と違うからダイジョウブ、ダヨ?」

であり、身振り手振りの慌て方がすさまじく、目はそこら中に泳いでいた。

「王妃は嘘が下手くそすぎんだろ」
「Aシリーズには確かにそういう機能あるけども……噂なんか気にして」
「ただの噂ではありませんよ、Aシリーズの方からお聞きしましたから」
「えっ!?でもAシリーズなんて今までこの世界で会った事がないって!!」
「嘘はいっていない、会った事は無かったしいるとも知らなかった」
「たまたま兵士の中に女遊びをしているのがいたんですよ」
「そんな事あるの!?」
「6024、俺に何故この事を隠していた?」


「……君は僕がいなくても大丈夫だよ、皆がいるから」


城中で『魔王の魔力』は感じ取れるほどに膨れて漏れ出していた


「許さないからな」
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