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初恋の味はチョコレート・クッキー
番外編〖第2話〗
しおりを挟む俺はバスケ部なんだけど、ふと気がついた。普段口の減らない、男子を怒鳴り散らしてるようなクラスメイトの沙羅が、端っこで所在無さそうにしている。
『どしたの?サボり?』
何となく俺は沙羅の隣に腰を下ろした。
『貧血。死にはしないけどさ、キツいんだ、運動。だから鉄剤飲んでるけど胃がやられるんだ。これもつらい。ユミくんて目立つよね。翔んで、跳ねて、バスケやってる時、格好よく見えるよ。私も昔はバスケやってたの。楽しいよね。映画もさ、観に行ってさ、いいなって。見るだけでも、なんてさ。でも、みんながプレーしてるの見るのは切ないね。私もあそこにいたかった』
普段『キョーボー』とあだ名される沙羅が、綺麗に見えた。
『鉄の飴、あげる。ちょっと錆び臭いリンゴ味。これでも、まあ中々慣れると美味しいよ。ユミくんは元気でいてよ?貧血のバスケのレギュラーなんて、似合わないよ』
控えめに笑う沙羅は、身体を動かしたいのに身体がそれを許してくれない。コートで喚声をあげながら、走り回っているクラスメイトを見つめていた。
『良いなあ。ドリブルしながら走る時の風って気持ちいいよね。私、もう、走るのも階段もキツくて。自分の身体なのに、こんな身体いらないって思うときあるよ』
走りたいな。まあ、無理だけどさ。そう、笑う沙羅の横顔に俺は見惚れていた。胸が、苦しい。酸っぱいものを無理に飲み込んだ感じ。
『どしたの?ユミくん』
『沙羅って、綺麗だったんだな』
俺は沙羅にばれないように緊張を和らげる深呼吸をして、軽い調子で言った。
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