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【第二章】赤い地球

第七十一話……誕生! ドラグニル陸戦隊

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「おう! やってくれたな!」



「え? どちらさまで?」



 レオナルド王国の建国記念祝賀パーティー会場にて、強面の龍族の貴人に睨まれる。





「戦った相手を忘れるとは失礼な奴だな!」



 ……よくよく見ると、先日戦ったドラグニル王国の王太子様だった。

 先日の戦いで捕虜になったはずだが。





「……あ、その節はどうもスイマセン」



「何謝ってんだよ!? てめえナメてんのか?」



 営業的発想でつい頭を下げて謝ってしまった。

 ぐいぐいくる相手にタジタジの私である。



 屈強そうな男なので、もう二度と戦いたくない相手なのだが……。





「こ……怖いポコ」



「うっせえんだよ! そこのタヌキ!」



 私が座るテーブルのメンツで、喧嘩に自信がありそうなバフォメットさんはお手洗いで不在だった。



 ……どうやら話を聞いたところ、捕虜の立場から解放されて、今は自由の身らしい。

 反乱を起こしたので、政治的リーダー等にはなれないらしいが、意外と自由が利く身の上だと話を伺う。





「……でな、アニキ!」

「アニキ!?」



 私は3人兄弟の末っ子で、弟はいないのだが……。





「生まれてこの方、喧嘩で負けたことがなくてな! 初めて負けた相手をアニキと言って何が悪い!?」



 めちゃめちゃ怖そうな龍族にジッと睨まれる。



 タヌキ砲術長に目線で助けを求めたら、顔を背けられた。

 ……くそう、みんな逃げやがって。





「……で、ご用件はなんでしょう?」



 この龍族版の不良みたいな王太子様、どっか行ってくれないかな?





「……な、仲間になってやるよ!」



 ぇ? Σ( ̄□ ̄|||)



「い、いや、この俺様を使ってくれ!」



 屈強な龍族の男に、手を合わせて拝まれる。

 ……この、嫌と言えない雰囲気に私は負けた。





 あとで知ったのだが、ドラグニル族は昔から喧嘩が全てらしい。



 喧嘩に負けたら、負けた相手の配下になるのが昔からのルールだそうな。

 まぁ所謂、かなり任侠な世界感であった。







☆★☆★☆



「てめえら! 俺様のアニキに失礼すんじゃねえぞ!」



「「「はい! よろしくお願いします!」」」



 ドラグニル族の王族アルベルト=ドラグニルを配下にしたら、ビシッと整列した彼の親衛隊がゾロゾロとついてきた。



 顔に傷がある者も多く、見るからに怖くて強そうな皆様がなんと3000名も……。

 ちなみに昨日までの私の部下の数は、全て併せて250名である。



 嗚呼、反乱を起こされたら絶望的な戦力差だった。





「あの……、こちらの方へお名前をお願いします」

「お、お願いしますポコ」



 副官のクリームヒルトさんも、ポコリーヌ砲術長もビビッて顔が引き攣り気味である。

 まずは記帳してもらって、人事的に管理せねばならない。



 ……これって慣れるのだろうか?





 直接言うことを聞いてもらうのは無理そうなので、彼らはアルベルト王子様に任せる。

 ちなみに彼は王位継承から外れたので、王太子からただの王子様になったそうだ。





 惑星ベルに帰還後。

 開発の人手が足りないので、3000名の新規兵の皆様には開発のお手伝いをしてもらうことになった。



 現行の250名と同じく、ハンニバル開発公社の社員になってもらう。

 ……だって、個人で養える人数じゃないしね。







☆★☆★☆



(……数日後。)





「アニキ! こいつらも頼むわ!」



 王子にバンと背中を叩かれた人は、周辺星域の大身の商人たち。

 アルベルト王子は王族であるだけあって、人脈が凄かった。



 意外と悪い人じゃないのかもしれない。





「初めまして、私……と申します!」

「……あ、こちらこそよろしくお願いします」



 次々に紹介された方と名刺の交換をする。

 王太子様にドラグニル星系周辺の名士さんを紹介してもらって、ハンニバル開発公社としては大助かり。



 仕入れ先と販売先が一気に拡大できるチャンスを得た。

 惑星リーリヤまでの交易路がバラ色のドル箱になりそうな予感だ。





 こうして、ドラグニル星系にもハンニバル開発公社の貿易営業部門は大きく躍進していった。

 他にも、レオナルド星系にも次々に販路を拡大。



 辺境連合国家の星域において、ハンニバル開発公社は貿易商として確固たる地位を築いていったのである。



 彼の親衛隊である3000人の新規雇用負担に少し悩んだが、彼らの家族のほかにも沢山の移住者を惑星ベルに招き入れることにも成功した。



 結果オーライだったのである。







☆★☆★☆



「総員駆け足!」

「総員、……第二種戦闘訓練開始!!」



「「「了解!」」」



 アルベルト王子の率いる3000名の部隊は、ドラグニル陸戦隊と呼称することになった。

 依然の貧弱な兵装と違い、今はカリバーン帝国軍正規兵装に身を包む。



 彼等は毎日、自主的に厳しい訓練を自らに課す。





 ……今戦ったら、まず勝てそうにない。



 多分、兵数が同じだったら、カリバーン帝国本国の特殊部隊にも勝てそうな気がする。

 見るからに身体的にも、精神的にも恐ろしく強そうな陸戦部隊だった。







☆★☆★☆



【ドラグニル陸戦隊・DATE】



指揮官・アルベルト=ドラグニル



・兵員3000名

・空挺戦車50両

・装甲車150両

・兵員輸送車200両

・牽引式野砲25門

・牽引式高射砲15門

・医療車両5台



他・炊飯車両など装備多数。
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