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【第二章】赤い地球
第七十話……惑星地上戦! サイクロプス発艦せよ!
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「やむをえん! 惑星戦を開始する!」
「「了解!」」
ハンニバルは惑星ドラグニルの衛星軌道上まで歩を進める。
「惑星より高エネルギー反応!」
「電磁障壁出力最大!」
「了解!」
惑星ドラグニルから16条の光の束がハンニバルに命中する。
激しい振動が艦を揺する。
「第8・第24装甲区画被弾!」
「密閉用リキッド注入急げ!」
「対艦ミサイル群接近中!」
「迎撃ポコ! VLS発射ポコ!」
ハンニバルを襲ったミサイル群は迎撃ミサイルで撃ち落としたが、相手がどこから撃ってきているかが分からない。
惑星ドラグニルは有人惑星なので、衛星軌道上から無差別爆撃という訳にはいかなかった。
「提督! 敵はタイタンシステムを使っていますわ!」
「タイタンか……」
タイタンシステムとは、対宇宙戦闘艦用の大型軌道対空レーザー砲やミサイルランチャーなどを複数統合して運用する迎撃システムだった。
大型対空レーザー砲やミサイルランチャーは射撃した後、地下のトンネル内の軌道上を走って移動するため、上空からは狙いが定まらなかった。
「よし、艦載機で攻撃する!」
「あと装甲機動歩兵も出そう!」
「了解ですわ!」
ハンニバルは全長25mの艦載機24機と、全長3mのスペースアーマーを装備した装甲機動歩兵を50機搭載していた。
「私が直接観測してくる! 艦は頼んだ!」
「かしこまりましたわ!」
私はヘルメットを被り、艦載機に乗り込む。
この艦載機はサイクロプスという全天候型の帝国軍最新鋭の制空型戦闘機だ。
お値段は一機8000万帝国ドル(概算80億円)の高価な機体である。
対艦対地攻撃タイプの艦載機はギガンテスといい、今回ギガンテス隊の指揮はマルガレーテ嬢に任せた。
「足を引っ張らないでニャ♪」
「抜かせ!」
コックピット内でいつになく気分が高揚する私。
昔から戦闘機に乗りたかったんだよなぁ……。
惑星ベルにて訓練を一通りはしていたが、あまり操縦に自信がある訳では無かった。
「こちらサイクロプス中隊隊長ヴェロヴェマ、ハンニバルへ発艦許可を願う!」
「こちらハンニバル了解!」
「電磁カタパルトシステムグリーン!」
発艦用の電磁カタパルトのシグナルが赤から青に変わる。
「発艦!」
電磁カタパルトによる射出により、物凄い加速Gが体にかかる。
座席に押し付けられる感覚が痛い。
射出された空間は成層圏であり、空は暗かった。
「こちらサイクロプス中隊長機! 各機3機で一編隊を組め!」
「「了解!」」
各機、定められたパートナーと編隊を組む。
「ギガンテス隊発艦完了ニャ♪」
「了解!」
「ギガンテス隊は宇宙港施設や飛行場を破壊せよ!」
「了解ニャ!」
マルガレーテ嬢の機はバンクして我々と別れた。
「隊長! 太陽の中に敵機です!」
「了解! 各小隊、散開迎撃せよ!」
「「了解!」」
制空戦闘機の戦いは、昔から太陽を背にして攻撃するのがセオリーだった。
相手からは逆光となり、視認率など有利な点が多かったのだ。
私は敵の第一撃目をダイブしてかわす。
すぐ脇を敵の機銃の曳光弾が流れる。
その後、敵が反転する際にすかさず後ろをとる。
『ロックオン!』
『アクティヴAAM・攻撃しますか? Y/N』
『YES 発射ファイア!』
戦術管制AIに攻撃を指示。
敵にミサイルが命中し、火を噴いた後に四散した。
「ハンニバル応答せよ!」
「どうぞ!」
「これからV-852へ敵機を追い込むので支援射撃を要請する!」
「了解! 無事を祈る!」
コチラの戦闘機部隊の方が数は少なかったが、機体性能はコチラの方が数段良く、更にはハンニバルの正確な射撃支援も得て、敵の迎撃戦闘機部隊を撃破することに成功する。
――その後、各機低空を飛行。
森林に潜むタイタン型対空システムを探した。
『いた!』
「ハンニバルへ! 敵砲台はD89ブロック! データを転送する!」
「了解! 感謝する!」
数秒後、私が見つけた砲台はハンニバルの砲撃で消し飛んだ。
その後、各機手分けして、レーダーサイトやミサイル発射施設、大型対空砲台を見つけ次第にハンニバルへ地形データを転送。
戦闘機隊のデータに基づきハンニバルが地上へ砲撃を行う。
これを繰り返し、潜んでいたタイタン型対空システムを無力化した。
対空施設を壊滅したあと、バフォメットさんが率いる装甲機動歩兵が降下を開始する。
装甲車や空挺戦車などの装備もパラシュートにて投下していった。
「DZ82区画対地支援おねがいメェ!」
「了解ニャ!」
降下した装甲機動歩兵中隊を、艦上攻撃機であるギガンテスが支援する。
敵陸上部隊に爆弾やミサイルの雨を浴びせていった。
☆★☆★☆
私の機も対地支援を行う。
我々の地上部隊の数はごく少数だったからだ。
「対戦車ミサイル発射ファイア!」
敵戦車と陣地に目掛け火力を集中する。
その甲斐もあり、航空機とハンニバルの対地攻撃支援によって、敵地上部隊は次々に降伏していった。
……しかし、ドラグニルの王太子と彼の親衛隊は、地下深い要塞に逃げ込んだようだった。
「突撃メェ!」
重火器を装備したバフォメットさんの装甲機動歩兵中隊が地下部へ侵入。
激しい攻防戦となっていった。
こちらは敵より武装がかなり良かったのに互角といった感じであった。
流石は戦闘に優れた民族である。
……しかし、地下戦だと優位な航空支援ができない。
このまま無理押しするとコチラに被害がかなりでる見込みだった。
「わかった、降伏しよう!」
降伏勧告を行い、王太子の身柄を保全するとの条件で、彼と彼の親衛隊は降伏した。
これはハンニバルと私にとって、初めての惑星地上戦での勝利だった。
「「了解!」」
ハンニバルは惑星ドラグニルの衛星軌道上まで歩を進める。
「惑星より高エネルギー反応!」
「電磁障壁出力最大!」
「了解!」
惑星ドラグニルから16条の光の束がハンニバルに命中する。
激しい振動が艦を揺する。
「第8・第24装甲区画被弾!」
「密閉用リキッド注入急げ!」
「対艦ミサイル群接近中!」
「迎撃ポコ! VLS発射ポコ!」
ハンニバルを襲ったミサイル群は迎撃ミサイルで撃ち落としたが、相手がどこから撃ってきているかが分からない。
惑星ドラグニルは有人惑星なので、衛星軌道上から無差別爆撃という訳にはいかなかった。
「提督! 敵はタイタンシステムを使っていますわ!」
「タイタンか……」
タイタンシステムとは、対宇宙戦闘艦用の大型軌道対空レーザー砲やミサイルランチャーなどを複数統合して運用する迎撃システムだった。
大型対空レーザー砲やミサイルランチャーは射撃した後、地下のトンネル内の軌道上を走って移動するため、上空からは狙いが定まらなかった。
「よし、艦載機で攻撃する!」
「あと装甲機動歩兵も出そう!」
「了解ですわ!」
ハンニバルは全長25mの艦載機24機と、全長3mのスペースアーマーを装備した装甲機動歩兵を50機搭載していた。
「私が直接観測してくる! 艦は頼んだ!」
「かしこまりましたわ!」
私はヘルメットを被り、艦載機に乗り込む。
この艦載機はサイクロプスという全天候型の帝国軍最新鋭の制空型戦闘機だ。
お値段は一機8000万帝国ドル(概算80億円)の高価な機体である。
対艦対地攻撃タイプの艦載機はギガンテスといい、今回ギガンテス隊の指揮はマルガレーテ嬢に任せた。
「足を引っ張らないでニャ♪」
「抜かせ!」
コックピット内でいつになく気分が高揚する私。
昔から戦闘機に乗りたかったんだよなぁ……。
惑星ベルにて訓練を一通りはしていたが、あまり操縦に自信がある訳では無かった。
「こちらサイクロプス中隊隊長ヴェロヴェマ、ハンニバルへ発艦許可を願う!」
「こちらハンニバル了解!」
「電磁カタパルトシステムグリーン!」
発艦用の電磁カタパルトのシグナルが赤から青に変わる。
「発艦!」
電磁カタパルトによる射出により、物凄い加速Gが体にかかる。
座席に押し付けられる感覚が痛い。
射出された空間は成層圏であり、空は暗かった。
「こちらサイクロプス中隊長機! 各機3機で一編隊を組め!」
「「了解!」」
各機、定められたパートナーと編隊を組む。
「ギガンテス隊発艦完了ニャ♪」
「了解!」
「ギガンテス隊は宇宙港施設や飛行場を破壊せよ!」
「了解ニャ!」
マルガレーテ嬢の機はバンクして我々と別れた。
「隊長! 太陽の中に敵機です!」
「了解! 各小隊、散開迎撃せよ!」
「「了解!」」
制空戦闘機の戦いは、昔から太陽を背にして攻撃するのがセオリーだった。
相手からは逆光となり、視認率など有利な点が多かったのだ。
私は敵の第一撃目をダイブしてかわす。
すぐ脇を敵の機銃の曳光弾が流れる。
その後、敵が反転する際にすかさず後ろをとる。
『ロックオン!』
『アクティヴAAM・攻撃しますか? Y/N』
『YES 発射ファイア!』
戦術管制AIに攻撃を指示。
敵にミサイルが命中し、火を噴いた後に四散した。
「ハンニバル応答せよ!」
「どうぞ!」
「これからV-852へ敵機を追い込むので支援射撃を要請する!」
「了解! 無事を祈る!」
コチラの戦闘機部隊の方が数は少なかったが、機体性能はコチラの方が数段良く、更にはハンニバルの正確な射撃支援も得て、敵の迎撃戦闘機部隊を撃破することに成功する。
――その後、各機低空を飛行。
森林に潜むタイタン型対空システムを探した。
『いた!』
「ハンニバルへ! 敵砲台はD89ブロック! データを転送する!」
「了解! 感謝する!」
数秒後、私が見つけた砲台はハンニバルの砲撃で消し飛んだ。
その後、各機手分けして、レーダーサイトやミサイル発射施設、大型対空砲台を見つけ次第にハンニバルへ地形データを転送。
戦闘機隊のデータに基づきハンニバルが地上へ砲撃を行う。
これを繰り返し、潜んでいたタイタン型対空システムを無力化した。
対空施設を壊滅したあと、バフォメットさんが率いる装甲機動歩兵が降下を開始する。
装甲車や空挺戦車などの装備もパラシュートにて投下していった。
「DZ82区画対地支援おねがいメェ!」
「了解ニャ!」
降下した装甲機動歩兵中隊を、艦上攻撃機であるギガンテスが支援する。
敵陸上部隊に爆弾やミサイルの雨を浴びせていった。
☆★☆★☆
私の機も対地支援を行う。
我々の地上部隊の数はごく少数だったからだ。
「対戦車ミサイル発射ファイア!」
敵戦車と陣地に目掛け火力を集中する。
その甲斐もあり、航空機とハンニバルの対地攻撃支援によって、敵地上部隊は次々に降伏していった。
……しかし、ドラグニルの王太子と彼の親衛隊は、地下深い要塞に逃げ込んだようだった。
「突撃メェ!」
重火器を装備したバフォメットさんの装甲機動歩兵中隊が地下部へ侵入。
激しい攻防戦となっていった。
こちらは敵より武装がかなり良かったのに互角といった感じであった。
流石は戦闘に優れた民族である。
……しかし、地下戦だと優位な航空支援ができない。
このまま無理押しするとコチラに被害がかなりでる見込みだった。
「わかった、降伏しよう!」
降伏勧告を行い、王太子の身柄を保全するとの条件で、彼と彼の親衛隊は降伏した。
これはハンニバルと私にとって、初めての惑星地上戦での勝利だった。
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