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【第一章】青い地球
第四十二話……試射!『マイクロ・クエーサー砲』
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「……エネルギー臨界99.98%」
「薬莢内にガンマ線バースト確認!」
「目標! 前方小惑星!」
「マイクロ・クエーサー砲発射!」
「同軸リンク! 射撃オープン!」
ハンニバルの艦体下方より迫り出した超巨大長砲身砲塔から、とても明るい光軸が放たれる。
それは、エネルギー量からすると恐ろしいほど細く、まさに線であった。
放たれた光軸は岩石を鋭利にくり抜き、向こう側の闇の深淵へと吸い込まれた。
……しばしの沈黙。
――ゴゴゴ!
「!?」
「重力波! 激震確認!」
「エネルギー爆風来ます!?」
「判定……レッドモード!警戒態勢レベル4突破!」
「いかん! 緊急短距離跳躍!」
マイクロ・クエーサー砲のエネルギーは、確認できないほどの向こう側で炸裂。
その恐ろしいまでの爆風余波がハンニバルめがけて戻ってきたのだ。
辛うじて、次元を跳躍して脱出するハンニバル。
……マイクロ・クエーサー砲。
撃った自分がヤバいほどの威力の砲だった。
これが古代超文明の民が、今まで生き残っていない理由かもしれない。
撃った後、砲身自体に亀裂が確認され、現在は連続発射に耐えうる鋼材技術も無いことも判明した。
極めてなかなかに扱いにくい武器だった。
あまり必要かどうかも分からないが……。
ハンニバルはマイクロ・クエーサー砲の射撃実験を終え、エールパ星系目指して帰投した。
……艦橋の窓から見た星々は、その時も奇麗だった。
☆★☆★☆
「どうしたらこんなに壊れるクマ!?」
「す……すみません」
クマの整備長にシコタマ怒られる私。
爆発余波は避けたものの、発射時の衝撃で砲塔基部から艦本体のスタビライザーまで狂ってしまった。
発射の衝撃で艦のフレームが歪んだのが原因らしい。
ハンニバルは帝国軍艦船の中で最も丈夫な部類の船なのだが……。
クマ整備長が言うには、砲の衝撃を吸収するショックアブソーバーみたいなものが必要とのことだった。
現状況で撃つと、反動で船が壊れるというのである……。
ハンニバルの巨体を修繕する費用の捻出の為、星間ギルドのお仕事(おもに小惑星破壊)や蛮王様のお使いなどのバイトを二週間こなさなくてはならなかった。
「男爵の旦那! またバイトですかい?」
「えへへ、ちょっと船壊しちゃいまして……」
親の自動車をこすって、バイトする大学生みたいな構図だ。
我が公社のお金を使うと副長殿が怖かったので、二週間『忍』の一文字だった……( ˘ω˘)
☆★☆★☆
同じくグングニル共和国を敵とする、ルドミラ教国とカリバーン帝国は外交的立場が近かったのだが、懸案もあった。
帝国領のワイマール星系である。
ルドミラ教国としては『青い海と緑の木々の楽園』の聖地であり、帝国から譲渡してほしい案件であったが、帝国がこの件を渋った。
帝国の国防上大切な要所だったのだ……。
外務次官クラスの協議は難航し、遂には破談となった。
こうして共和国を敵とする二つの勢力は、結局手を結ばなかった。
それは共和国からすれば幸いであり、その他二つの勢力からしたら凶事であったかもしれない。
この世界の文明の中心は未だに共和国であり、その国力や経済力は大きく抜きんでていた。
推定で、帝国と共和国とルドミラ教国の国力比は、二対四対一。
帝国とルドミラ教国を足しても、共和国に及ばなかったのだ。
ここで帝国は第三世界へと外交の歩を進める。
以前にハンニバルが会合した新勢力、神聖レオナルド王国である。
☆★☆★☆
……PIPIPI
アラームが鳴る。
現実世界の布団から起きると、外にはうっすらと雪が積もっていた。
ここは本州の地方都市だが、二月になると雪が積もる。
小さいころはよく兄と雪遊びをしたものだ。
……うん?
――頬に傷がある。
……あ、
マイクロ・クエーサー砲を撃った時の衝撃でけがをした場所であった。
PCの電源を入れ、ゲームを紹介してくれた兄とビデオチャットで話す。
「……まぁ、そういうこともあるかもな?」
「ゲームの世界とはいえ、ゲーム中はカズヤの精神があるのは向こうの世界だろ?」
「そうだけど、体はこっちじゃない?」
「記憶が傷を覚えていたのかもな!」
兄は『ハハハ』と笑うだけだった。
こっちは結構心配しているのだが……。
――ピンポーン
玄関のチャイムが鳴る。
兄との通話を切り、玄関に出る。
「新しい世界を訪ねませんか?」
「……はぁ?」
宗教の勧誘だった。
手渡されたカードには赤い不思議な文様が描かれていたのが、変に頭に残った。
その後、私は近くのファミレスまで出向き、ハンバーグ定食を食べる。
……この世界でも、タヌキ軍曹殿と食べてみたいもんだな。
そう思いつつ、家に帰り再びゲームの世界に戻った。
☆★☆★☆
「……以上を君に任せる! 上手く行った暁には昇進もあるぞ!」
「はっ!」
超光速ビデオ通信を切る。
新しい任務だ。
これはどちらかと言えば、やりたくない任務であった。
内容は『神聖レオナルド王国を懐柔せよ!』である。
つまりかの国を『味方に付けろ』ということだった。
……なんだか情報部の仕事じゃないのか。
話下手な自分に務まるとは思えなかったが、任務は任務である。
軍人にNOはない。
再び危険宙域を通って女王アメーリアさんに会うのが仕事だった。
「装甲戦艦ハンニバル発進せよ!」
修理されたハンニバルは一路、神聖レオナルド王国を目指した。
「薬莢内にガンマ線バースト確認!」
「目標! 前方小惑星!」
「マイクロ・クエーサー砲発射!」
「同軸リンク! 射撃オープン!」
ハンニバルの艦体下方より迫り出した超巨大長砲身砲塔から、とても明るい光軸が放たれる。
それは、エネルギー量からすると恐ろしいほど細く、まさに線であった。
放たれた光軸は岩石を鋭利にくり抜き、向こう側の闇の深淵へと吸い込まれた。
……しばしの沈黙。
――ゴゴゴ!
「!?」
「重力波! 激震確認!」
「エネルギー爆風来ます!?」
「判定……レッドモード!警戒態勢レベル4突破!」
「いかん! 緊急短距離跳躍!」
マイクロ・クエーサー砲のエネルギーは、確認できないほどの向こう側で炸裂。
その恐ろしいまでの爆風余波がハンニバルめがけて戻ってきたのだ。
辛うじて、次元を跳躍して脱出するハンニバル。
……マイクロ・クエーサー砲。
撃った自分がヤバいほどの威力の砲だった。
これが古代超文明の民が、今まで生き残っていない理由かもしれない。
撃った後、砲身自体に亀裂が確認され、現在は連続発射に耐えうる鋼材技術も無いことも判明した。
極めてなかなかに扱いにくい武器だった。
あまり必要かどうかも分からないが……。
ハンニバルはマイクロ・クエーサー砲の射撃実験を終え、エールパ星系目指して帰投した。
……艦橋の窓から見た星々は、その時も奇麗だった。
☆★☆★☆
「どうしたらこんなに壊れるクマ!?」
「す……すみません」
クマの整備長にシコタマ怒られる私。
爆発余波は避けたものの、発射時の衝撃で砲塔基部から艦本体のスタビライザーまで狂ってしまった。
発射の衝撃で艦のフレームが歪んだのが原因らしい。
ハンニバルは帝国軍艦船の中で最も丈夫な部類の船なのだが……。
クマ整備長が言うには、砲の衝撃を吸収するショックアブソーバーみたいなものが必要とのことだった。
現状況で撃つと、反動で船が壊れるというのである……。
ハンニバルの巨体を修繕する費用の捻出の為、星間ギルドのお仕事(おもに小惑星破壊)や蛮王様のお使いなどのバイトを二週間こなさなくてはならなかった。
「男爵の旦那! またバイトですかい?」
「えへへ、ちょっと船壊しちゃいまして……」
親の自動車をこすって、バイトする大学生みたいな構図だ。
我が公社のお金を使うと副長殿が怖かったので、二週間『忍』の一文字だった……( ˘ω˘)
☆★☆★☆
同じくグングニル共和国を敵とする、ルドミラ教国とカリバーン帝国は外交的立場が近かったのだが、懸案もあった。
帝国領のワイマール星系である。
ルドミラ教国としては『青い海と緑の木々の楽園』の聖地であり、帝国から譲渡してほしい案件であったが、帝国がこの件を渋った。
帝国の国防上大切な要所だったのだ……。
外務次官クラスの協議は難航し、遂には破談となった。
こうして共和国を敵とする二つの勢力は、結局手を結ばなかった。
それは共和国からすれば幸いであり、その他二つの勢力からしたら凶事であったかもしれない。
この世界の文明の中心は未だに共和国であり、その国力や経済力は大きく抜きんでていた。
推定で、帝国と共和国とルドミラ教国の国力比は、二対四対一。
帝国とルドミラ教国を足しても、共和国に及ばなかったのだ。
ここで帝国は第三世界へと外交の歩を進める。
以前にハンニバルが会合した新勢力、神聖レオナルド王国である。
☆★☆★☆
……PIPIPI
アラームが鳴る。
現実世界の布団から起きると、外にはうっすらと雪が積もっていた。
ここは本州の地方都市だが、二月になると雪が積もる。
小さいころはよく兄と雪遊びをしたものだ。
……うん?
――頬に傷がある。
……あ、
マイクロ・クエーサー砲を撃った時の衝撃でけがをした場所であった。
PCの電源を入れ、ゲームを紹介してくれた兄とビデオチャットで話す。
「……まぁ、そういうこともあるかもな?」
「ゲームの世界とはいえ、ゲーム中はカズヤの精神があるのは向こうの世界だろ?」
「そうだけど、体はこっちじゃない?」
「記憶が傷を覚えていたのかもな!」
兄は『ハハハ』と笑うだけだった。
こっちは結構心配しているのだが……。
――ピンポーン
玄関のチャイムが鳴る。
兄との通話を切り、玄関に出る。
「新しい世界を訪ねませんか?」
「……はぁ?」
宗教の勧誘だった。
手渡されたカードには赤い不思議な文様が描かれていたのが、変に頭に残った。
その後、私は近くのファミレスまで出向き、ハンバーグ定食を食べる。
……この世界でも、タヌキ軍曹殿と食べてみたいもんだな。
そう思いつつ、家に帰り再びゲームの世界に戻った。
☆★☆★☆
「……以上を君に任せる! 上手く行った暁には昇進もあるぞ!」
「はっ!」
超光速ビデオ通信を切る。
新しい任務だ。
これはどちらかと言えば、やりたくない任務であった。
内容は『神聖レオナルド王国を懐柔せよ!』である。
つまりかの国を『味方に付けろ』ということだった。
……なんだか情報部の仕事じゃないのか。
話下手な自分に務まるとは思えなかったが、任務は任務である。
軍人にNOはない。
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