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#14
しおりを挟む――あっ……。
彼から逃げるには、逃げ場が狭過ぎた。
アダムの部屋の寝台よりは遥かに広いが、所詮はベッドの上だ。あっと言う間にシドの腕の中に納まってしまう。
「痛いことするの?」
「薬を飲んだから大丈夫だろう」
「……ん…っ」
唇が重ねられると、柔らかな舌が唇をなぞった。
顎を取られ口を割られ、気持ちの良い刺激が脳を襲い、アダムは必死に彼の舌の動きに応えた。
この数日で覚えてしまった悦楽に屈してしまう自分が情けなく思うのに、
どうしても拒めなかった。
口づけをしながら、器用にシドの手がシュルシュルとアダムの衣類を剥し始めると、前回の行為を思い出した。
「やだ……っ、また食べるの?」
「嫌なのか?」
「嫌です、神様に仕える資格を失ってしまう……」
煩悩、特に性欲は捨てなくてはいけない、あんな行為は神に怒られてしまうと、シドに説明をすると彼の肩が揺れる。
そんなに可笑しなことを言ったわけでは無いのに、ずっと笑っている彼を見て、アダムは頬を膨らませた。
「驚いたな、神が怒るからダメなのか?」
「はい……、あ…っ」
「神は、ここを触ってはいけないと?」
「……っ、だ、め、です」
ツッー、と布越しに、少し主張し始めたアダムのアレをシドが擦る。
触ってはいけないのに、彼は毎回いけないことばかりしてくる、ゆっくり擦られ、思わず甘く声が漏れると、少しだけ強く握られた。
「神にダメだと言われたのに、随分と大きく膨れて来たな」
「……っ、だって…」
「触ってるだけだろう? どうして膨れる?」
なんて意地の悪いことを言うのだろう。
優しく触れながら、笑みを浮かべる彼を見て、アダムは何故か涙が滲んできた。
零れ落ちる涙を彼の指が掬うと、仕方がない子だと溜息を吐き出し、シドはアダムを膝に抱き抱えた。
「困ったものだな……」
「うぅー……」
「こんなに芳香を出して、俺を誘っていると言うのにな」
「違うのに、誘ってないのに……」
自分の意思で芳香が出ているのか、シドのせいで出ているのか分からない、ただ、どうしようもなく、身体が反応しているのは確かだと思った。
「ジークに同じことをされる方がいいか?」
「ジークさんに?」
「ここに触れられ、食われる」
「やだ、嫌です」
想像するだけで寒気が走った。
とても怖いと思うし、痛いことをすると言ったシドにも多少の恐怖はあるが、それとは別の嫌悪感のような物がジークに対しては湧いて来る。
「俺も嫌か? 無理に強要はしたくはないが」
そう言ったシドは耳が少し横を向き、大きな犬が悲しそうな顔をしているように見えた。だから、アダムはつい譲歩の言葉を溢してしまった。
「痛いことはしないで……」
「薬を飲んだから大丈夫だと言っただろう?」
彼がサイドチェストに積んである、丸い果実に手を伸ばし摘まみ、アダムの前に持って来ると、ツっと口元に近付けた。
「なにするの?」
「口を開けてみろ」
言われるまま口を開けると果実が入れられ、噛むとトロっとした果汁が溢れる。
「美味いか?」
「美味しい…です」
「これを食べると気分が良くなる」
シドの優しい手がアダムの頭を撫でると、脱ぎかけの衣類を全て脱がし、胸元に唇を押し付け、小さな突起に舌が触れた。
「……っ」
その瞬間、甘く痺れる快感が走り、以前とは比べ物にならない程に気持ちが良い刺激に、思わず背中が仰け反った。
敏感に尖った飾りはシドの舌が往復する度に、感度が増して行く気がして、舌で突かれる度に腰に刺激が伝わる。
そして先程触れていたアダムの性器に、なぞるように彼の指が優しく上下する。
「どうだ?」
「あ、ぁ、……」
「気持ちが良いか?」
「う、ん」
クスっと笑う吐息が反響して聞え、シドの声が二重にも三重にも聞える、視界もゆらゆらと揺れ、身体がふわっとして、とても気分が良かった。
「そのうちコレも好きになる」
彼が鮮やかな笑みを見せると、後孔にプルっとした感触を感じ、次第にヌルヌルとした液体が広がり始めると、そのまま何かが挿れられ、得も言われぬ違和感が押し寄せた。
「あっ、な、に? 変なことしないで……」
「変なのは最初だけだ」
タップンと出入りする異物が、アダムの何かを刺激した。
下肢がガクガクと震え始め、甘い鳴き声が止まらなくなる、シドの首にしがみ付き押し寄せる快楽に耐えた。
「どうした?」
「っ…、ぁ……、ぁあ……」
その問いに頭をふるふると振った。
ずっと痺れる快感が背筋を走り抜けて、このままでは狂ってしまいそうだと思う、彼に止めて欲しいと訴えたが、また片手で果実に手を伸ばすと、後孔に新たな液体が広がった。
「もう一本入りそうか……」
その時、自分の後ろ孔に出入りしている異物が、シドの指だと気が付き手を止めようと思ったが、しがみ付くことで精一杯だった。
その指に擦られる度に、自分の身体が、心と切り離されて行くようで怖くなる。
「怖い……っ」
「俺がいる…」
そう、シドがいる。
心強い言葉にアダムは気が緩んだ瞬間、彼の指は自分の中で暴れ、とても卑猥な音が部屋に反響して、心がかき乱される。
後孔を刺激される度に腰が動き、自分の性器がシドの硬い腹に当たり擦れて気持ちがよく、勝手に動いてしまう。
リズムよく襞を擦られながら、時に凄く気持ちのいい場所に指が当たると、それを見抜かれたのか、シドがその場所をクっと引っ掻き、思わず大きな声が出た。
アダムの身体が跳ね上がり、ポタポタと自分の性器から白濁した液が零れた。
――…きもち、いい……。
ふわふわと身体が浮くのは本当に浮いているからだった。
ゆっくりと彼がベッドへと寝かせてくれ「今日は気を失うなよ…」と呟く。
息が上がって達したばかりの、ぼーっとする思考では、彼の言っていることは正しく理解出来ないけど、彼のすることは、何故か良いことだと思ってしまう、そして覆い被さってくる彼に羽が見えた。
――……あ、ぁ、神様だ…。
美しく黄金に輝く羽が、アダムを包み込むよう広がる。
神様が微笑んでくれるなら何も怖くないと、彼の顔に手を伸ばせば、ふっと彼の顔が近付き、唇が重なると同時に足を割られた。
「自ら俺を誘うとは、悪い子だな」
「悪、い子……」
悪い子だと言われ、ならば罪を償わなくてはいけないと、アダムは胸元で手を組んだ。
割られた足に彼の腰が当り、まだ少し痙攣する蕾に熱いモノがあてがわれ
「少しだけ我慢だ」と彼が甘く囁くと、大きな異物が身体に入ってくる。
違和感と圧迫感が強くアダムは思わず仰け反った。
そして、ゆっくりと身体の中に押し入って来るソレに、呼吸が止まりそうになる。
「は…っ、……っ」
「まだだ…」
胸元で組んでいた手を取られ、指が絡み強く握られると、彼の呼吸が少し荒くなり始め、その切ない顔を見ていると、アダムは胸が締め付けられるように苦しくなる。
そして硬く熱いモノがアダムの中に全て収まった瞬間、それは見事なほど、優越を表した美しい顔で見下ろされた。
「大丈夫そうだな」
彼がゆらゆらと揺れ始めると、その動きが確実にアダムの奥の芽を刺激する。
「――ぅ、ふっ……ふ…っ」
あまりの圧迫感に呼吸するので精一杯だった。
体が悲鳴をあげ震える、彼の腰が叩きつけられる度に、例えようのない刺激が駆け抜ける。
肉襞が啼き始め彼のモノを締め付けると、シドから甘い息が吐かれ、それが更にアダムの何かを煽った。
「ぁ、あ……、だっ…め」
――もう許して欲しい。
悪い子だと言われ、罰を受けていると分かっているが、せり上がる絶頂の波に恐ろしくなる。
「ほら、俺の手を持て…」
「あ…、ぁ……手…」
「そのまま握っていろ」
ぎゅっと指を絡ませ握った手が、強く温かくて安心した。
ふわっと彼に抱き上げられると、自分の中にいる熱いモノに突き上げられ、騒めく快感で気が遠くなる。淫らな音が響き、何もかもどうでもいい、そう思った瞬間、また白濁した液がトクトクと零れた。
虚ろな思考回路のまま視界と意識が戻ると、柔らかなベッドにまた寝かされていた。
黄金に輝く長い髪がゆらりと動き、先程と同じ痺れる感覚に呼び覚まされる。
「少し気を失ったか…」
「……っ、ぁ」
自分は悪い子だと言われたことで、これが罰なのだと受け止めながら、初めて味わう快楽が、アダムの心を蝕んでいく、身体が、もっとして欲しいと啼き喚いているようだった。
「やめるか?」
「…あぅ……ンっ」
何を言われても、耳鳴りで言葉がぼんやりとしか聞こえない、きっと自分は悪い子か? と聞かれている。
アダムは首を横に振った、悪い子では無いと、だから、もう罰を止めて欲しいと彼に手を伸ばしたが、その手は彼の胸元の飾りに触れて、彼から甘い吐息が吐かれた。
「随分と色っぽいことをする……」
愉悦に微笑みながら、シドがアダムの腰を持ち激しく揺さぶってくる。
内襞を抉るように、彼の熱い杭で擦られると、身体が痙攣して腰がゾクゾクと震え出す。
あまりの快感に身を捩るが、自分を見下ろす彼は、それすら許さないと強く抱き抱えた。
もう、どれだけ熱を吐き出したか分からない、腰回りは、アダムから零れた白濁した液でトロトロに濡れ、厭らしく光輝いていた。
――…もっ、許…して…
アダムは早く自分の罪が消えるよう祈りながら、混沌の中へと埋もれていった――――。
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