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九回戦(山ルート) ギシアンルーレット 後編
しおりを挟むセックスキャンプの翌日、午前十時頃。
「すんませーん……予約していたフジワラとサカキでーす……チェックインお願いしまーす……」
「しまーす……」
グロッキーな俺達は一先ず予定通り、とある山間の温泉旅館へ来ていた。
「大丈夫ですか……? お荷物お持ちしますよ?」
「ああ、ありがとう、ございます」
「ではご案内します、どうぞこちらへ」
仲居さんに案内され部屋に辿り着くなり、両者共ドサッと重い身体を畳の上に下ろし、疲労感を露わに息を吐く。
「あ゛ぁー…………つかれたぁ……」
「運転ありがとなサクマ……はは……」
「はぁーもう、ペーパーにゃ山道の運転大変なんだぞちくしょう……もっとお礼しろ」
「仕方ないだろ……この身体じゃ……」
「へへ、ペダルに足届かないしなー」
「それは言い過ぎ……座席ズラせば届くよ、多分……」
ここに来るまでに女体状態の不便さを幾度となく痛感した。運転出来ないのは感覚の違いで怖いからというだけなのでさておき。この身体、やはり男の時と比べると体力、筋力的にとても困る。
「そっちは女になってもあんまり縮まなくていいよなー、はーくそっ……あー腕ぷるぷるする……いたい……」
「そりゃ強がって重い荷物運ぼうとしたりするからだろうが……」
「いや、サクマに任せるの不安だったから……」
「そこは信じてくれよ」
「信じられないよ、折角買ったテント壊しかけたし……」
「それは悪かった……」
此方が女の状態で撤収する事になったから、不勉強なサクマにテント解体の一部を任せる事になったり、自分の荷物を一部運んで貰うことになったのだが……彼の筋力不足、並びにそもそもの学習不足が露呈し幾つかトラブルが発生。少し険悪になったりもしたので、意地を張って頑張っては見たものの、結果はこの通り。
「ったく、少しは筋肉付けろよほんと……」
「いやー、あんまゴリゴリになると女の子にひかれちゃうからさーははは……」
そう言っているが関係無い。どの道彼は運動全般苦手なので、鍛えるという事をあまりしたがらないのだ。それ故にこの細マッチョ体型は実質普通のガタイから単純に体脂肪率を絞っただけのハリボテである。付き合っている女の子達には内緒にしているらしいが、彼が走ったり重い物を持ち上げたりする姿は正直かなりかっこ悪い。
「はぁ……」
さておき、兎にも角にも度重なる無茶なセックスと以上の原因が重なってほとほと疲れ果ててしまった。俺は思う。
「……なんていうか、キャンプ一泊、旅館二泊で正解だったな」
「癪だけど、そうだな……」
本末転倒気味なプランだ、なんて行く前は揉めたものの、我ながら良くブレずに押し通せた。キャンプは甘くない。山は普通に景色で楽しもう。そうしよう。
そのまま暫くして。両者ある程度身体が休まると、話はこれからどうするか、という方へシフトする。
「なあ、まだ昼食まで時間あるよな?」
「ん、まあ、そうだな……」
時計をチラッと見た。まだ一時間程余裕がありそうだ。
俺の返事を聴いてサクマは一つ伸びをして提案する。
「……ひとっ風呂入るか?」
丁度自分もそう思っていた所だ。「そうすっか」と手放しに同意する。が、直後に気付く。
「あ、でもちょっと待て。もしかして、今の俺……女湯⁉︎」
この現象、今まであまり考える余裕が無かったから忘れていた。そうだ、こういうメリットもあったんだ。
しかし、微かにワクワクする此方に対し、
「……それはうらやまけしからんな。しゃーない、カイは部屋風呂で我慢だな」
とサクマは思いの外まともな事を言い張った。
「は? いやいや……別に良いだろ、ちょっとくらい。気持ちは分かるだろ、ほら……」
「いやお前、よく考えてみろ。女になって女風呂覗きましたって、それ後々尾を引いてくるぜ? 罪悪感ってより、気色悪さがな」
「うっ……嫌に常識的な……」
少し想像して、確かに、と思ってしまった。
「勿論、女のまま生きていくって覚悟が出来たんなら、別に良いとは思うけどな」
「ぐっ、うう……」
結局、なんだか上手く言いくるめられてしまい、俺の留守番は決定。
「まっ、そういう事だ。俺だけでちょっくら先、いってくらぁ。一時間したら帰ってくっから」
浴衣に着替え、大手を振って風呂場に向かう彼を見送ったのだった。
✳︎
____部屋風呂も悪くなかったな……露天で気持ち良かった。
一時間後、昼食の時間。風呂から上がった俺は、大きめのサイズの浴衣に袖を通しお湯の感想に思いを馳せる。
なんか肌がよりもちもちすべすべになった気がする……しっかしこのおっぱい、ほんとお湯に浮くよなぁ。
下らない方向にシフトした所で丁度コンコンとノックが来て、配膳の用意が整ったと声がした。跳ねて驚いた後、冷静を取り繕って了承すると、入ってきた中居さんによってスピーディーな配膳が始まり、俺はただ机に美味しそうな食べ物が並んでいくのを目で追ってひたすら感嘆する。
「おー…………」
最中、カイが遅れて帰還。つやつやした顔で和かにただいまと笑った。ムッとした顔で「おかえり……」と返してやったが、当然、此方の不機嫌よりもまず料理の方に目が行ってしまう様だ。
「うおっ、うまそー!」
「ははは、同意するよ……」
何事も空腹には勝てない。俺達はそのまま席に着き、直ぐに食事を始めた。そしてある程度胃袋に収めた所で漸く、風呂場はどうだったとか、その辺の会話になる。
「いやー、良い湯だわ! 疲れめっちゃ取れたし!」
「まあ、そうだね。部屋風呂も結構良かったよ」
「おっ、そうか。でも、あの露天大浴場は中々……」
コイツほんと良い性格してる。
「意地悪やめろ」
「わりいわりぃ。てか、勝手に行ってるもんだと思ってたわ。真面目だなぁカイは」
煽りを受けてオレの箸を持った手が震える。「むっ、ムカつく……! ああ言われたら行ける訳無いだろが!」と、睨みをきかせて怒りをぶつける。
「ははっ、悪かったっ! 悪かったってばっ!」
賑やかなまま昼食は終了。御膳を纏めたら、話題は午後どうするかに移る。
「なんか一応ピンポンとかあるらしいぜ? 流石温泉だな」
「サクマ卓球なんて出来ないだろ」
「は? 出来なくはねえよ……最後にやったの滅茶苦茶昔だけど」
「だろうな……はぁ」
会話は尽きて微妙な間が開いて、変な空気が流れる。ここから夕食までは暇だ。ならば、という共通認識の中、背もたれに寄り掛かった俺の緩い浴衣がずり落ちたその瞬間が、互いに魔が刺す合図となった。
「うあっ……っ❤︎くっ、ふぅっ…………❤︎」
サクマはいきなり俺を押し倒して覆い被さると、浴衣の胸元から手を突っ込んで生乳を揉みしだいて来た。乱暴かと思いきやそうではない。真上からふにふにと豆腐を潰さない様な絶妙な力加減の圧迫だ。おまけに乳輪を人差し指でなぞったり乳首を掌で転がしたりと敏感な箇所を丁寧に扱いて来るので、それだけでもう下っ腹が引き攣って重くなる。
「うっ……そんなっ、がっつくなよっ……❤︎」
「何言ってんだっ、下着も付けず、こんなデカい浴衣着てっ……完全に誘ってんだろっ!」
「失敬なっ……パンツは穿いてっ、ぅっ❤︎」
くちゅっ。不意に彼の手がパンツの上から股間に触れて、はしたない音が立つ。
「ほんと濡れ易い便利な身体してんなぁ」
指摘されて「っ、っ~~~❤︎」と声にならない唸り声を上げ、羞恥を噛み殺しながらサクマを睨んだ。
「おっ、なんだその目はっ」
「っ❤︎るさいっ……❤︎」
お前のせいでこうなってるんだ。お前の、せいでっ……❤︎
身体はとっくにメスの快楽に堕とされているのに、より深く底へ堕とそうとその手を緩めてくれない。此方が女になるまで? いや、このまま自分が女になっても____
「んう゛っっっっ❤︎❤︎❤︎」
あっという間に荒れ狂う快感の波に呑まれ、朦朧とする中俺の身体は犯し尽くされた。
「はーーっ……はーーーっ……」
そして気付けば、今度は男の身体。頭の整理が付く前に、発情を引き継いだ肉棒が褐色の淫乱女を犯し、蕩けた喘ぎ声と、卑猥な肉同士の衝突音を響かせる。
「ぁっ♡ぁっ♡っ♡ぅっ♡ぁっ♡っ♡ぁぁっっ♡」
分かってしまう。何をどうすれば悦ぶのか、どうすれば、気持ち良いのか。女の立場からも、男の立場からも、サクマを知って、知り尽くしたから。
「んぁ゛あああああぁ♡♡♡」
女好きで狡くて、陽気で気さくな、俺とは正反対の友人。決して混ざり合いそうも無いのに、ドロドロに融けて、混ざり合って。それが当たり前になりつつあるのだから、本当に不思議だ。
ただ相手を知る程に、溶け合う程に、逆に分からなくなっていく。自分はどうしたいのか、どうなりたいのか。この関係を望んでいるのか、元に戻りたくないのか。
溶かしても溶かしても迷いは消えず、射精して射精されて。代わりばんこに数回ローテーションして一旦落ち着いた。
「あ゛ーー……♡っ、ぉ゛ぉーー……♡」
「はーー……もうギブ……休憩しよう……」
「なっ……やめるならっ、オレが、男の時にっ……」
「ワガママ言うな……俺もデカい風呂入りたいんだぞ……」
サクマが乗り上げて来るのを腕力で抑えながら、時計をチラと見て驚く。
「というか急いで掃除しないと……! もうすぐ夕飯だし……」
「えっ」
という事で強制中断し、食事の時間を迎える事に。
「…………うめぇ……」
「うん……」
疲弊感を露わにしながら、二人共言葉少なに舌鼓を打ち箸を進めていく。お互い言いたい事があるのに口に出ない感じだ。日本酒の力を借りてもそのつっかえは取れず、充足しつつも何処か味気ない、空虚な時間が過ぎる。
「っ、はぁ……ご馳走様」
食事を終えるなり先に席を立ち、俺はお風呂の準備をする。その行動を見たサクマは仔犬の様な目で俺を引き留めた。
「おいっ……」
はだけた浴衣、赤みを帯びた肌から、酒と食物の匂いに混じってギャルサクマの良い匂いがフワッと香る。明らかな誘い。だが、直接の言葉は幾ら待っても出てこない。
____迷いあるんだな、サクマも。
察した俺はそっと彼を引き離し、「風呂、行ってくる」とだけ言って逃げる様にその場を後にした。
✳︎
(少し冷たかったか……でも、お互い一人で考える時間も必要だろ)
早足でスタスタとスリッパを鳴らしながら風呂場に向かう中、俺は自分の今の行動を反省したり、正当化したりを繰り返した。
(だって、このまま闇雲にセックスを繰り返しても、擦り減って辛くなるじゃないか)
恐らくはもう運だけのロシアンルーレット。その直感がお互いを臆病にしているのは確かだ。覚悟していると強がってはいるが、その実二人共出来てない。人生を決定付けるその瞬間に、未来にビビりまくっているのだから。
折角の旅行だ。決戦中とはいえ、楽しくいきたいのに。
「はぁ……」
風呂場に着いて、服を脱いでいる最中もぐるぐる、ぐるぐる。どうにか上手い決着を得られないものかと思い悩むが答えは出ず。そのまま大浴場内へ入り、いっそ流してしまえないかと勢い良く湯を被るも、
「っ、くっ……」
温泉が淫紋に沁みて、それはより深くなる。
____昼間はこんな事無かったのに。
男の身体なのにこれとは。ちゃんとパウチ入りの御守りは側に置いてある。純粋に昂ってしまっているのか。
「うっ、ぐっ……」
湯船に浸かるともう下腹部と肉茎、乳首の四点が灼熱感を伴ってしまい、とてもじゃないがリラックス出来なかった。結局、俺は烏の行水で、身体だけ洗う様な形で上がる事に。
「はぁっ……っ……」
サクマも今、苦しんでいるんだろうか。早く、行かないと。
「っ…………」
気持ちは前に出るのに、足が付いて行かなかった。給水所で水を飲み、頬を叩いてみたりして気付けを行ってもそれは変わらず、俺は更衣室外、男湯の暖簾前のベンチに座って項垂れる。
____クソッ……何だこれっ、なんなんだっ……!
身体は張り詰めて、今すぐにでも射精したがっている。しかし、動けない。サクマの元へ行こうと思うと足がすくんでしまう。
「っっ…………!」
嫌な事に、腹痛に襲われたせいで便意の方に先に突き動かされた。すぐ近くの男子トイレに駆け込み、個室に入って洋式便座に座り込んだ。
そして用を足せば、また動けなくなる。
「はぁーっ……クソッ」
分からない。急にどうしたんだ、俺。
心と身体が合わない。バラバラだ。何故こうなっている。何故。
ゆっくりと深呼吸して落ち着こうとする。が、ダメだ。心臓はバクバク脈打って呼吸は全然整わない。続けて、何か拠り所に出来る事を思い浮かべようとする。
____サクマ……。
思い浮かんだのは、サクマの能天気な笑顔だった。
早鐘を打つ様だった心拍は、徐々にその質を変える。決して遅くはならないが、何処か心地の良いものへと変わっていく。
そこで、少し腑に落ちた。
「っ……ははっ……」
俺、サクマが好きになってるんだ。それも、男の方のが。
なんだそれ、気持ち悪いな。そう思って否定したくなる。しかし、どうもダメみたいだ。否定が出来ない。
決して女のサクマを嫌いな訳じゃ無い。性的には寧ろ大好きだ。でも、良くは分からないが、これは性的な好意とは少しズレた所に好感が存在するのだ。男のサクマの、サクマらしさとかがしっくりくるから、とかそういう理由なんだろうか。思い浮かぶ顔が、男の頃のサクマばかりで____いや、いやいやいや、男同士の付き合いの方が長いんだから当然だろ。
中々上手く解釈出来ず、より感情は錯綜した。煮詰まった頭は同じ考えを何度も行ったり来たりして、いつまで経っても苦しみから抜け出せない。
が、ある時ふと限界が来て、立ち戻る。
関係の変化は避けられない所まで来ている。それは割り切った筈なんだ。同性の友人では無く、異性の恋人になるんだと。だから、どの道そうなるなら運を天に任せてしまえば良いと、そう思っていた。
「…………いや」
でもきっと、変わって欲しくないんだ俺は。男好きでチャラ男なサクマの、その横で笑っていたいんだ。
きっと単純な理由じゃ無い。俺がコミュ障で環境の変化に弱くて、ギャルなサクマじゃ落ち着かないというのも間違い無くある。意思も弱いし、大学卒業後上手く社会で生きて行ける自信も無い。図体だけデカくても、彼女になった彼を護り切れる気がしないから、女の立場に甘えて____
「ちがうっ……!」
こじ付けじみたネガティブな理由は沢山あるだろう。そうじゃない。こうしたい、こうなりたいと思い描いてしまったんだ。
女として、男のサクマとずっと一緒に居たい。快楽の為じゃない。俺が、そう望んでいる。
自覚したその時にはもう、頭は女として犯されていた時の快感を反芻し、掌は肉茎を扱き始めていた。
「はぁっ……はぁっ……!」
天になんて任せてやるか。それで納得なんて出来っこないんだから。だから、俺が選ぶんだ。
沸いた一時の決心。それが鈍る前に、
「……っ、うっ!」
男性が、排出された。
縮んでいく。握っていた太い竿も、手も脚も。筋肉質な肉体が、丸く柔らかな物に変わっていく。
「…………っ、はぁっ……❤︎」
変化が終わった瞬間、胎の灼熱感が全身に広がるのを感じて、全てを察した。
「ぃっ……イかないとっ…………❤︎」
水を流し、緩んだ浴衣を片手で抑えながら、ふらりふらりとトイレの個室を出る。
っ、あ、れっ……っ?❤︎
真っ直ぐ歩けない。壁に手を付かないと立っていられない。歩む脚の、その付け根。股間がジュクジュクするせいだ。
「っ……はぁっ、っ、ぐっ❤︎」
それでも何とか腕を使って身体を引き摺り、廊下へ出た。しかしそこまでだ。力尽きて腰が抜け、壁に寄り掛かかる様にして崩れ落ちてしまった。
「ぅっ、くっ……っ……❤︎ふぅっ……❤︎」
しゃがみ込んだまま立ち上がれない。動く度、息をする度にひりついた肌から尋常じゃない快感が走る。脚に力が入らない。胎がズクン、ズクンと疼いて、脈打つ様な拍動の度、そこを中心に身体がどんどん熱く、重くなっていく。
「ふーーっ……❤︎っ……❤︎」
その様子を丁度見かけた通りすがりの若い男性が「大丈夫ですか?」と歩み寄って来る。反射的に大丈夫、大丈夫と答えるが、きっとそうは見えないのだろう。幾つか質問を投げ掛けた後、どうして良いかとあたふたしながら周囲の人間に助けを求め始めた。
「うぅっ……❤︎やめっ、て…………❤︎」
小声で首を振る。違うんだ、これは。頼むからそっとしてくれ。心の底からそう願った。
しかし、言葉が出てこない。声が張れない。腹に力が入らないのもあるが、そもそもの理由が理由だ。「どうしました?」なんて訊かれても答えられない。発情が原因なんて。恥ずかしくて、悟られまいと強張ってしまう。
男性の声で人が少しずつ集まって来る。羞恥と快感で震え、瞳から涙が溢れる。今すぐにでも逃げ出したい。しかし、身体が言う事を聞かない。
行かなきゃいけないのに。何で、こんな所で。
何でと振り返って気付く。自業自得だと。サクマから逃げずに、しっかり彼と自分に向き合っていればこうはならなかったのだ。
くそっ……いやだ……❤︎
虫がいいのは分かってる。それでも、俺は心中で助けを求めてしまった。
サクマ……たすけて____
「すみませんっ、ちょっと良いですかっ⁉︎」
「っ……ぇっ……?」
その時だ。思いに答えるが如く、疎らな人の壁を縫って一直線に此方へ向かって来るサクマの声がした。
「はっ、やっぱり。何やってんだカイっ!」
「っ、さくまっ……なんでっ……❤︎」
駆け付けるなり、サクマは「すみません、オレのツレです! 取り敢えず部屋に運んでいきますので! 皆さんお騒がせしました!」と集まった人達に頭を下げて、此方に背中を差し出す。
「ほれっ、背負うから」
「っ、う……❤︎」
促されるまま俺は肩に手を回し、その背へ体重を預けた。するとすぐ、太腿辺りを掌に支えられる形で身体が持ち上げられ、勢いで身体全面が、主に胸が擦られてイク。
「ッッッ⁉︎❤︎❤︎❤︎」
「しっかり掴まってろよ……っ」
そしてサクマは大慌てで元の部屋へ向かって走った。当然、その背で揺られる俺は何度も気をやりかけた。何でおんぶなんだ、などと文句を言いたかったがそんな余裕は無くて、必死でしがみ付き、顔を肩に埋めて声を堪えるしか無かった。
「はあっ……着いたぞ……」
部屋に着くなり、サクマは不在の間に中居さんが敷いたであろう布団の上に俺を降ろそうとする。しかし、俺は腕に力を入れて離れない。単純に離れたくない気持ちもあるが、彼の着ている物をぐっしょり濡らしてしまっている上、蕩け切った顔を見られたく無かった。
「っ、おいこらっ、離れろって……」
「んぅっ……いやだっ……❤︎」
駄々を捏ねると、彼は少し真剣なトーンで言った。
「ふざけんな。急に身体が変わって何が起きたか心配したんだぜこっちは……」
「ぅっ……ごめんっ……❤︎」
流石に気が引けて、大人しく腕の力を抜いて布団の上に降ろされる。浴衣で顔を隠すと、早速サクマの言葉が俺を責める。
「はぁ、まさか道端で行き倒れてるとは思わなかった。流石に焦ったわ」
「っ、ごめんってばっ……❤︎」
「で、何? 何でこうなったの?」
これは、答えないといけない。
「お風呂行ったんだけどっ……我慢出来なくて、上がってから、トイレでオナニーした……❤︎」
「…………マジか、だいぶやらかしたな」
「……ごめん」
やった事だけ話して謝った。ただ、彼の言葉はこう続く。
「そのせいか? お前の淫紋、凄え事になってんのは」
「っ、んぇっ……?❤︎」
首を傾げると、サクマは俺をスマホで撮影して写真を見せた。そこに写っていたのは、浴衣の下からぼんやりと桃色の模様を浮き立たせた、恥ずかしそうに顔だけ隠している妖艶な少女の姿だ。
「っ、うそっ……❤︎」
「ほんとだよっ!」
彼は喫驚する俺の浴衣の帯を解き、その全身を暴いた。すると、汗でぐっしょりと濡れた、痛々しい程に淫紋だらけの肌が露出。むわっと淫靡な甘いメスの香りが解き放たれる。
「ぁっ…………❤︎」
自分でも嗅いでクラクラしてしまう。男の要素など微塵も感じさせない、本当に、メスって感じの匂いだ。
「えっろ……」
「っ、いうなっ……❤︎
ピンクに染まった空気に晒されて、濡れた肌がよりじんじん疼く。身悶え内太腿を擦ると、股間の方は特に酷い事に気付く。
「すげぇぞお前、お股納豆みたいになってんぞ……」
「っ、ぅっ……❤︎」
少しムッとして顔を顰めたが、的をいた表現かもしれない。股座はくちゃあっとはしたない糸を浴衣いっぱいに垂らしていて酷い有様だ。
「納豆なら、お豆掻き混ぜてやらないとなっ……!」
「ぁっ、ゃっ……❤︎」
カメラのシャッター音を響かせた後、サクマは俺に覆い被さると、指でそこをくちゅり。
「っっっっっっ!❤︎❤︎❤︎」
触れられた瞬間、張り詰めた水風船が弾ける様にして快感が爆ぜ、腹の奥が激しく痙縮して身体が跳ねた。あまりに容易く、深く重くイかされたのだ。しかし触れる手指は容赦が無い。俺の暴れる腰を押さえつけながら掻き混ぜて来るので、絶頂が止まらない。
「ああぁぅぁっっ❤︎❤︎っくぁっ、あ゛ぁっ❤︎❤︎❤︎」
「ははっ、エロ過ぎっ……」
これではもう保たない____なんて事はサクマも分かっている様だ。少し弄ぶとすぐ、「とっとと挿れた方が、良さそうだなっ」と手を離し、反り勃った自身の肉茎を取り出すと、準備万端を通り越して煮詰まった蜜壺へと刺し挿れた。
ずにゅっ、ずっ、ずぷぷぷっ。
「っ、くっ、ぅあ゛っはぁっ❤︎❤︎」
緩み解れ切った媚肉は何なくその侵入を許し、開かれていく。その感触だけで気がおかしくなりそうだった。
「っ、とんだけどスケベなんだよ、このっ!」
「んぁ゛っっ❤︎❤︎❤︎」
ズンっと、脳天まで響く様な最初の一突き。それだけで身体は息も吐けない程に達し、頭がスパークして視界は真っ白になる。
「あ゛ぁあぁああぁっ❤︎❤︎❤︎ふぁ゛ああぁあぁあぁ❤︎❤︎❤︎」
「うぉっ! っ、締め付けすごっ……!」
上の口はだらしない嬌声を痙攣で揺らし、下の口はその都度咥え込んだ肉棒を咀嚼する。その行為に満たされる。まるでこれがあるべき形だと身体に教えられるみたいに。収まりが良くて、全身切なくて全く落ち着かないのに酷く安心する。
「ぁっっ❤︎❤︎あ゛ぁああぁっ……❤︎❤︎❤︎」
肉襞は剛直に絡み付き、最奥は勝手にその先端をちゅっちゅくちゅっちゅく、吸い付いては離れてを繰り返す。子種を求めてるとしか思えない動きを、何の躊躇も無く行ってしまう。
「少しは落ち着けっ……はむっ」
「あんっ❤︎❤︎んっ……ちゅっ……はんっ❤︎」
開きっぱなしで涎を垂れ流す唇が塞がれた。甘い唾液を流し込まれ、舌で舌を舐られる。頭が痺れて蕩ける。最中、胎の中の肉竿が膨らんで、どくっと脈動。先端から熱い液体を勢い良く解き放ち、最奥へと叩き付けて来た。
「んっ❤︎❤︎んぅぅっ、んっ❤︎んんんっ❤︎❤︎❤︎」
またイク。たださっきまでとは違う。暴れていた快楽の波の上にとろりと甘くて重い粘液が乗る様な、そんな感覚だ。微かに波が立ってもそれがキスによって均されて、より多幸感のある形に整えられていく。
「っ、はぁっ……」
「んはぁっ……❤︎っ……❤︎」
吐精が落ち着くと、暫しくっ付いたままだった唇が離れる。舌先に引いた糸が互いの荒い吐息で揺れる中、サクマは言う。
「はーっ……カイっ、どうしたんだお前っ……何か、変だぞっ……」
「はーーっ……❤︎はーーっ……❤︎っ、へんじゃ、ないよ……❤︎」
「どこがだよっ、何つーか……拒んだ感じとか、無理した感じが全くないっつーか……」
相変わらず妙に鋭い。ほんと、こんなとこまで俺とは真逆だ。
「んっ……❤︎ふーーっ……❤︎」
「お前、まさか…………」
そっと微笑みを返し、全てを受け入れる様に両腕を広げる。得体の知れない不安感は失せ、既に心は身体に素直になっていた。胸につかえていた言葉を遮るものはもう存在しない。
「しゃくまっ……❤︎おれをっ……さくまのっ❤︎おんなにしてっ…………❤︎」
自然と溢れたのは、あの時は上手く形に出来なかったセリフだった。
「っ…………!」
それを聴いてサクマの瞳孔が開いた瞬間、異変が起きる。何と、俺の全身に広がっていた淫紋が一気に胎に向かって収束したのだ。
「っ⁉︎❤︎ んぁっ❤︎っ……はぁっ……❤︎」
熱が集まったその箇所がぽぅっと暖かくなり、心地良い浮遊感に包まれていく。これまでの人生で一番の幸福を魂にまで深く刻み込まれる。
「……ははっ、成る程なっ」
何かを理解したサクマが深くゆっくりとピストンを開始した。ぱちゅっ、ぶちゅっ、ぱちゅっ。雌雄の混合液で満たされたドロドロの蜜壺は、掻き混ぜられる度そこで幸せを産む。
「んあ゛っ❤︎っ❤︎きもひっ、っ❤︎いぃっ❤︎ぅっ❤︎ぅぅっ❤︎」
「分かったよ、カイ。お前を、俺の女にしてやるっ」
「ぁ゛っ、っっっ❤︎❤︎❤︎」
耳元で囁かれると、自分の雌穴がぷしっ、しっと潮を噴き始めた。最奥にキスをされる度それは溢れて、止まらない。
「ぅあ゛っ❤︎❤︎❤︎あ゛あぁっ❤︎❤︎しゃくま゛ぁっ❤︎❤︎」
サクマの責めはそれを見て緩むどころか、より一層激しさを増す。「ほらっ、もっとだっ、もっと……女になれっ……メスになれっ……カイっ」と耳元で囁きながら、幸福の絶頂下にある胎を優しく愛撫したり、揺れる柔らかな胸を捏ねたりして来る。
「らめ゛っ❤︎❤︎ぇっ❤︎っ❤︎❤︎はっ❤︎あんっ❤︎それらめぇっ❤︎❤︎っあ゛っ……っ❤︎❤︎おかしくっ……おかしくな゛るぅ゛っ❤︎❤︎」
「なれよっ、おかしくなれっ……俺だけのっ、俺無しじゃ生きていけない、淫乱女になっちまえっ」
うれしい、きもちいい、うれしい、しあわせ。気持ちが懇々と溢れ出る。どこまでも、どこまでも。
「あ゛ぁっ❤︎❤︎もっ、むりっ❤︎おんなになるっ❤︎❤︎っ❤︎もどれな゛っ❤︎っ❤︎もどれなくなるっ❤︎❤︎❤︎」
「それでいいんだよ戻れなくなれっ、未来永劫っ、俺の女になれっ」
サクマの本気の腰使いで畳が軋む。ギシッ、ギシッ、その音と、祝福の拍手の如き人肌の打ち合う音、淫靡な水音と嬌声と、全て混ざり合い溶け合い、一つになる。
何処まで膨れ上がるんだろう。何処までイクんだろう。そんな疑問も何もかも、どうでも良くなる。ただ愛おしくて、切なくて、彼の名前を呼んでしまう。
「しゃくまっ❤︎しゃくまっ、しゃくま゛っ❤︎しゃくまっ❤︎❤︎」
「カイっ……!」
抱き締めて、全身でサクマを感じる。名前を呼ぶ度イク。イってもイっても、延々と上り詰めて終わりが無い。
もうずっとこのままで良い。心からそう思った。
しかし、終わりは来る。サクマのピストンが更に加速し、身体と心は限界を迎え、破滅的なまでの痙縮に襲われる。
「ぁっ❤︎ぁっ❤︎らめ゛っ❤︎❤︎っ❤︎しんじゃっ❤︎ぁっ❤︎」
「はぁっ……射精すぞっ、カイっ……!」
壊れる。バラバラになってしまう。やだ、こわい。終わりたくない。
俺は必死に快感にしがみ付いた。しかし必死になれば成る程、それは大きく膨れ上がって____
「やだっ❤︎ゃっ❤︎っ❤︎ぁっ❤︎いぐっ❤︎ぃっ❤︎いくいくいくいくいくっ……❤︎❤︎」
「ぐっ……!」
刹那、爆ぜた。
「いっっっ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」
それからの記憶は暫く真っ白で、何も分からなかった。分かるのは、その後。意識が戻った時、俺の身体は小さな女のままで、サクマの腕の中に抱かれて眠っていたという事だけ。
窓から差し込む白い光の中、自覚する。
____ああ。
俺、サクマの女の子になったんだ。
✳︎
俺は起きてから暫く、静かに彼の横顔を眺めていた。何故だか不思議と飽きなくて、眺めながら昨日の行為を思い返すだけで胸の中が幸せで一杯になる。
「んっ……❤︎」
お腹の奥のポカポカは継続している。凄まじい充足感だ。かなり爛れた性行為だった気がするが、何というかその全てが満ち足りていた。今もまだ身体はその多幸感の中にある様で、何処かふわふわしている。
と、その時、ごそごそとサクマがこっち向きに寝返りを打ったかと思えば、「んー…………」と唸り、ゆっくりと目を開く。目と目が合う。
「……あっ」
「っ…………!」
気恥ずかしくなって数秒も合わせていられなかった。視線を逸らし窓の方を向く。すると、サクマは「はははっ」と少し笑って、俺の身体を転がし向き直らせて「おはよっ」と言う。
「ぅっ……おは、よ……」
もじもじ返事すると、恥ずかしさが伝染したらしい。威勢の良かった向こうも視線を逸らし、顔を赤らめて照れる。
「はっ、ははは…………」
お互い暫し照れ隠しで笑い合うしか無かった。ただずっとそうしている訳にもいかないので、打開の為にまず俺は辿々しく言う。
「……お風呂、入りません?」
「あっ……そ、そうだな」
行為の後そのままだったので、お互い身体はドロドロのまま。殆どの汚れを引き受けた浴衣をどうするかはさておき、一先ず全身を洗い流して一息吐く事に。
「っ、はぁ…………」
湯舟に肩まで浸かって脱力した。すると、おっぱいが湯に浮かんで、サクマにガン見される。
「っ、見んなバカっ」
「うっ、すまん……」
微妙な距離感で二人並んで入浴する。少しずつゆったりとしていく時間の中、暫し間を置いてから、先にサクマの方が口を開いた。
「なあ……お前、ほんとに、女の子になっちまったの……?」
ちょっと拍子抜けしてしまって、若干キレ気味に返す。
「何だよそれ……そうだよ、多分。あんだけ射精されたのに、元に戻らないんだからな。これで、決まっちゃったんだろ」
「だよな……」
寝ぼけているんだろうか。彼は改まって、
「って事は、お腹に、赤ちゃん出来たって事なんだよな……」
と確認を求めて来る。
「…………そうなん、じゃない?」
言われてみて少し不安になった。そこまでの実感があるかといえば、正直微妙な所だ。
(確かめるには、妊娠検査薬とかか……? でもあれってすぐ分かるもんじゃ……うわっ、何か考えてるだけでめっちゃ恥ずかしい。嫌だ嫌だ)
薬局で買い求める所や、実際におしっこを掛けて判定する所を想像して抵抗感に身悶えた。と、その時、背後から伸びる魔の手が、むにゅっと胸を揉んだ。
「んぅっ❤︎」
甘い快感が走って変な声が漏れてしまった。ここは屋外だ、いけない。声を押し殺して抵抗する。
「おいバカよせっ、ここはダメだってっ❤︎」
「ここじゃなきゃ良いのかよ?」
確信犯だコイツ。寝ぼけてなんかいない、最低だ。
「そういう意味じゃっ……ぁっ❤︎やめろってっ❤︎なんで急にっ❤︎」
「いや、母乳出たら分かるかなーって……」
いや、やっぱ寝ぼけてるわ。というか単に年中バカなだけか。ふざけんな。
「出る訳ないだろっ❤︎孕んでたとしてもっ、もっとお腹っ、おおきくなって、からっ……❤︎」
頑張って振り払おうとしたが、ダメだ。この身体では力で全く敵わないし、次第に快感に流されていってしまう。
「やっ、やめろっ……❤︎んっ……❤︎」
昨日の今日で酷く敏感な上、抱き締められると頭が幸せになって……ああ最悪だっ。
「んっ……んんんっ❤︎」
揉みしだきながら乳輪や乳首を転がす無駄に器用なテクニックで丁寧に責められて、胸の先がどんどん張り詰めていく。
母乳とか言われて意識したせいだろうか。妙な事に今までと感覚が若干違う。
「んんっ……ちょっとっ、まじでやめてっ……❤︎なんかきてる、きてるからっ❤︎」
周りから集まる熱い何かが胸の中に溜まって、今にも迸ってしまいそうな____
刹那、こちらの限界を知り尽くした男の手は乳首をキュッと摘みながら乳を搾るように揉んだ。
「ぅあ゛っっっ⁉︎❤︎❤︎❤︎」
達した。それと同時に、何という事か、乳首の先から白い液体が噴き出たではないか。
「ぁっ……あぁっ…………❤︎❤︎」
涙を流し震える俺の後ろで、悪魔が微笑んだ気がした。
旅館を二泊にしたのは間違いだったかもしれない。その日、孕んで女の子になった事が確定した俺は一日中性的な悪戯の餌食となり、これまでが生温く思える様な激しいセックスによって身も心も徹底的にメスに堕とされたのだった。
____いや、関係ないか。旅行中に限らず、これからはもう、ずっと…………❤︎
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