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第十八章 出戻り④

第3話 絶体絶命のピンチ①

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 鬼人オーガを倒した後ろに、下の階層へ行く階段と言うか……不思議な棒と穴があった。

 穴もだけど、上から下までしっかり固定されているような……一本の棒。これはなんだろうか??


「何だあ?」

「これに……つかまって降りる??」

「ですの」

「そうとしか思えないですよね……」


 けど、誰が先に降りてみる? と悩んだが……身軽に動き回れる僕が先に降りて行くことになった。足場はないけど、フランツと連携して飛び跳ねることも出来ると言うことで。

 レイザーさんとマシュさんには、僕が軽業を出来るって嘘をつきました。


「気ぃつけろよ?」

「いってきます」


 ジェフさんに声掛けをしていただいてから、僕は棒を掴んで下に降りてみた。降りる前に灯りか何かが必要だと思ったので、フランツにお願いして灯してもらっている。

 なのに、下の階層はとっても暗く見えた。


【逆に、灯りを吸収する魔法かもしれん】


 じゃあ、どうすれば? とゆっくり降りながらテレパシーでやり取りしていると、フランツが提案してくれた。


【ワイがマスターの目になったる】


 って、言ってすぐに……真っ暗だった僕の周りに見えていたものが、他の階層のように明るく見えた。

 それまではまだよかったんだけど!!?


「!!!??」


 上でマシュさんが倒した鬼人オーガじゃない。

 けどそれは……多分、モンスター。

 首が三つもあり、体も大きい。

 僕に気づいていないのか、はあはあと息をしながらよだれを垂らしていた。

 フランツの目を借りているので、僕は距離があっても何とか見えたけれど。これはやばいと、棒を上へ上へ登ってジェフさん達に知らせようと急いだ。

 それが、逆にいけなかった。



 グルァアアアアアアア


 キシャァアアアアアア


 ゴルァアアアアアアア



 首のそれぞれが、吠えた。

 そして、僕が登っていた棒を……吠えた声だけでパキッと折ってしまった!!?


【マスター!?】


 上に跳んでみようにも、蹴る対象が少ないので無理だった。手を無駄に伸ばしても……上の穴には到底届かない。

 だから、仕方なく地面へ怪我をしないように着地した。


「…………フランツ、これ危ないよね?」

【危ないどころか、絶体絶命のピンチや】


 フランツの目はまだ繋がったままだから、モンスターの様子は見えていた。

 向こうも僕らが見えているからか、獲物を狙うような獰猛な目で三つの首とも僕らを見ていたのだった。


「…………ジェフさんに連絡は?」

【出来なくないが、アークはんのこと……マシュの嬢ちゃんはともかく、魔眼のにいちゃんにどう説明するんやろ】

「…………倒せる、かなあ?」

【再生考えると、ワイらだけでいけるかやけど】


 でも、やるしかない。
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