スライムからパンを作ろう！〜そのパンは全てポーションだけど、絶品！！〜

第540話 大精霊も褒める

「なかなかに勇ましい女なのだな」


　あとは寝るだけという状況になっていた時に、ラティスト様がそうおっしゃいましたの。

　わたくしのことと思いましたが、言葉のニュアンスから察するにリリアの事でしょう。陛下の反応を見られて、気にされていたのですわね？


「ええ。昔はもう少し装いも違いましたが、陛下への気持ちを諦め切れていないのですわ」

「エディの方も、かなり気にかけていたしな」


　ラティスト様と事実上は婚姻を迎えたのですが、まだ転身を迎える準備段階にまでは至っていません。まだ成熟していないわたくしの身体を気遣い、最低でも十九になるまで待とうと決めていただいたのです。

　ですが、その……軽い触れ合いはこの家に来てからは、多いのですわ！　きゃ！

　それはさておき、リリアのことですわね。


「時間の問題と言いますか。ケント様のフォローもあるでしょうし、これからの繋がりがうまくいけばリリアが王妃になるのも間違いありません」

「外見は精霊にも間違えやすいが、中は勇ましい。エディとの相性もいいだろう」

「まあ、わたくしは違うのですか？」

「そうは言っていない。俺の最上はルカリアだけだ」

「ふふ」


　こんな甘い言葉を告げてくださるラティスト様が目の前にいらっしゃるんですもの！

　嬉しくなって抱きつくのも、受け止めてくださいますわ！！


「エディにもそろそろ良い女が必要だと思っていたからな。見目もだが、腕の立つ女が側にいれば安心は出来るだろう」

「そうですわね。リリアでしたら相応しいですわ」

「お前はそういう話はなかったのか？」

「ラティスト様にお会いする前は、婚姻など考えていませんでしたの」


　たしかに、陛下の許嫁の候補にも上がりましたが、幼い頃から知っていた方ゆえに『違う』と確信していました。

　ですので、ラティスト様とお会いしてからは一変しました。

　この方の、隣に立ちたいという想いが生まれ……創始の大精霊という存在を知った時は諦めかけても。命を救ってくださったあの事件を機に、今がある。

　これ以上にない最上ですわ。

　己が幸せの今、帰国してきた親友も幸せになっていただきたいのです。そのお手伝いには全力で取り組みますわ。


「そうか。では、今日も……いいか？」

「……はい」


　そして今日も、最後までは行きませんが……ラティスト様に愛していただきます。蕩けるような触れ合いで、夢心地過ぎてとても幸せ。

　気づいたら朝なのがいつものことですが……それは仕方ありませんわ。

　仕込みに遅刻しなければ、ケント様も文句を言われませんもの。