スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ

文字の大きさ
上 下
539 / 603

第539話 お茶仲間との団欒

しおりを挟む


「ほう? 陛下にとうとう女の気配が?」

「でやんす」


 ケントの店が休日の時に、彼の獣魔でありポーションパンの要とも言えるレアスライムのカウルが遊びに来ている。

 私とは、ケントと別位置で友人のような間柄となったので、こうして遊びに来ることが多くなってきた。ケントと出会う前なら、モンスター……つまり、魔物と交友関係を築くなど絶対無理だと思っていたが。

 その凝り固まった常識を覆すくらい、江戸っ子気質のようなこのスライムを私は人間のと同じように気に入っていた。共に料理も作った仲だし、今では茶友達と言ってもいい。

 永久契約したジェイドもかなり気に入っているようだしな。


「へ~? あの王が? カウル、どんな子なの?」

「ふんわふわした感じでやんすけど、兄さんらが言うにはルカはんくらいお強いそうで」

「……ルカリア嬢と同等はすごいな」


 あの外見にして、陛下の護衛も担当出来る女性は早々にいない。それが同じかそれ以上の強者となると、エリザベスよりも腕が立つかもしれん。

 しかし、外見とのギャップがあり過ぎる気もするが、そこは個人的なことだからな。とやかく言っても意味がない。

 それよりも、なかなか婚約者を作らないでいた陛下が惚れたとは。

 昔から自由奔放過ぎて問題児手前だったのに。私も言えたことではないが、女性との縁が出来たことは喜ばしい。ケントも応援しているようだが、知己の間柄としては私も応援せねばな。


「ルカリアくらいに強いんだ~。王もなかなかに強いし、お似合いかもね」

「ジェイドはんはどなたかいないでやんすか?」

「里にも可愛い子はいるけど、僕のこの性格だからモテないモテない」

「……自覚しているのにか?」

「外見だけで寄ってくる子は基本お断り」

「そうか……」


 似ているようで、似ていた部分もあるのだな。私達は。

 今日はレイアの都合が悪いので、茶会はこのメンバーだが居心地が悪いわけではない。種族が違えど男だけの団欒も悪くないと思うくらいだ。


「可愛くて強い子か~。そう言うのなら、僕はシェリーみたいな子が好みだけど。あの子はジェフのだしね」

「ああ言うタイプがいいのか?」

「魔法のセンスもいいけど、腕っぷし強い子も嫌いじゃないよ」

「ジェイドはんの彼女はんになるお方は、なかなかに条件厳しいでやんすねー」

「カウルは単体生殖出来るから、ある意味子ども出来るもんね?」

「望むならでやんすけど……出来ればお嫁さん欲しいでやんす」

「君ほどのレアスライムに釣り合う子か~」


 スライムが性別問わずに生殖器官があるのは初耳だが。

 それをスルーするスキルを持ち合わせてきた、私もいい加減考えないとな。

 レイアのご両親に改めて挨拶に行く日取りも決まったし、あとはマーベラス殿に頼んで結婚指輪の調達だ。

 陛下の方は、あの方は行動派な上にバックアップもかなりついている。ケントの助力もあるから、婚約に行き着くのも時間の問題だ。なんとかなるだろう。
しおりを挟む
感想 63

あなたにおすすめの小説

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ

Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_ 【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】 後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。 目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。 そして若返った自分の身体。 美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。 これでワクワクしない方が嘘である。 そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。

前世は最強の宝の持ち腐れ!?二度目の人生は創造神が書き換えた神級スキルで気ままに冒険者します!!

yoshikazu
ファンタジー
主人公クレイは幼い頃に両親を盗賊に殺され物心付いた時には孤児院にいた。このライリー孤児院は子供達に客の依頼仕事をさせ手間賃を稼ぐ商売を生業にしていた。しかしクレイは仕事も遅く何をやっても上手く出来なかった。そしてある日の夜、無実の罪で雪が積もる極寒の夜へと放り出されてしまう。そしてクレイは極寒の中一人寂しく路地裏で生涯を閉じた。 だがクレイの中には創造神アルフェリアが創造した神の称号とスキルが眠っていた。しかし創造神アルフェリアの手違いで神のスキルが使いたくても使えなかったのだ。  創造神アルフェリアはクレイの魂を呼び寄せお詫びに神の称号とスキルを書き換える。それは経験したスキルを自分のものに出来るものであった。  そしてクレイは元居た世界に転生しゼノアとして二度目の人生を始める。ここから前世での惨めな人生を振り払うように神級スキルを引っ提げて冒険者として突き進む少年ゼノアの物語が始まる。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

契約結婚のはずが、気づけば王族すら跪いていました

言諮 アイ
ファンタジー
――名ばかりの妻のはずだった。 貧乏貴族の娘であるリリアは、家の借金を返すため、冷酷と名高い辺境伯アレクシスと契約結婚を結ぶことに。 「ただの形式だけの結婚だ。お互い干渉せず、適当にやってくれ」 それが彼の第一声だった。愛の欠片もない契約。そう、リリアはただの「飾り」のはずだった。 だが、彼女には誰もが知らぬ “ある力” があった。 それは、神代より伝わる失われた魔法【王威の審判】。 それは“本来、王にのみ宿る力”であり、王族すら彼女の前に跪く絶対的な力――。 気づけばリリアは貴族社会を塗り替え、辺境伯すら翻弄し、王すら頭を垂れる存在へ。 「これは……一体どういうことだ?」 「さあ? ただの契約結婚のはずでしたけど?」 いつしか契約は意味を失い、冷酷な辺境伯は彼女を「真の妻」として求め始める。 ――これは、一人の少女が世界を変え、気づけばすべてを手に入れていた物語。

処理中です...