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第71話『濃厚なバターのクリームパン』①
しおりを挟むチ───────ン!!
オープンキッチン内に、いつもの電子音が響く。
そして……取り出した、天板の上には……焼きたてのパンが。
電気釜に入れて、ほぼ一秒での出来事はいつも通りだけど。初回の人から見ると、顎があんぐり開いてしまうくらい……驚きの出来事なのは仕方がない。
「……おい」
「……信じられん」
ロイズさんと……僕のポーション技術の上でのお師匠さんになった、ヴィンクス=エヴァンスさん。
幼馴染みのおふたりは、揃って顎をあんぐりと開けちゃったんだよね? ロイズさんには前々から説明はしてたけど、見るのは初めてだったから。
「え……っと、こんな感じです」
焼いたのは……冷めると少しだけ固くなるソフトフランスって言う種類のパン。
これは、とあるクリームをサンドしたり、お惣菜系のパンにするために焼いたのだ。
ステータスは、僕とラティストとロイズさんには見えているだろうけど……お師匠さんには、鑑定のスキルがないのでただのパンにしか見えない。
けど、効果とかはカレーパンを食べたことで実感してもらっているからね? 少し浮浪者ぽい格好から美系の青年になったんだもん。ラティストには程遠いが、普通以上にかっこいい。
その顔が崩れるのは、ちょっと面白いけど。
「傷大回復。体力も同様……ケント。これはこのまま出すのか?」
「いいえ。さらに美味しくします」
美味しさを知ったら、病みつき間違いなしの……特別なクリーム。
これは、日本だとある県特産のパンなんだよね?
コンビニでも、似たのは売っていたんだけど。
「……なんだ。この大量のバターは」
収納の魔法の中から、無塩のバターを大量に取り出して……プラスチック製のボウルの中に適当な大きさに入れたのに、お師匠さんは驚いていたんだ。
僕と同じ、前世は日本人だったけど……これだけだとわかんないよね?
「お師匠さん、質問です」
「なんだ、ケント」
僕がお師匠さんと呼ぶと、ヴィンクスさんは機嫌が良くなるようだ。利害一致の関係とは言え、僕のような人間でも弟子が出来たのが嬉しいみたい。
「お師匠さんの出身地はどの辺りでしたか?」
「ん? 山梨だが?」
「……じゃあ、お隣の長野県にある菓子パンはご存知でしょうか?」
「……ん? ん~……すまん、最近の君と違って薄れている部分はある」
「そうですか。えっ……と、『牛乳パン』と言うのに似たのを作るんです」
「牛乳パン?」
「なんだそりゃ?」
「ふふふ。病みつきになりますよ?」
「『「「ゴクリ」」』」
おふたりもだけど……ラティストやまだ釜状態のカウルまで、唾を飲み込んじゃった……。
とりあえず、パンは乾燥の生活魔法を使って水分を飛ばし。ラティストには切れ目を入れるのをお願いしてから……僕は僕で、加熱のような生活魔法を電子レンジの要領で行い……バターを室温で柔らかくするようにゆるませた。
これを、オープンキッチン常備の業務用電動ミキサーを使い……白っぽくなるまで泡立てます!!
「は?」
「……む。もしや、バタークリームの部類か?」
「お師匠さん、正解です」
今回のクリームは……乳製品でも、バターがメインのクリーム。
それこそが、『牛乳パン』の重要な部分なんだよね?
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