加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護

文字の大きさ
44 / 61

44話 危機一髪

しおりを挟む
「なんだ、あの人の形をした闇の魔物は?」
「あれは、憎悪の塊に支配されたタルパの成れの果てさ」

前世の世界では、怨霊と呼ばれているものだ。魂が憎悪、怨恨といったあらゆる負の感情に支配されることで、その根源となる人物を殺しても成仏できす、半永久的に現世を漂い続ける悲惨な幽霊さんだ。

「あれがタルパだと?」

どうやら、ヒライデン伯爵にとって、初めての出会いのようだ。あれが出現したとなると、あそこにいるメンバーだけでは倒せそうにない。

「伯爵、あれを見ても共闘しないと?」

「ふん、知らんな。あんなもの、神官や巫女に任せればいい。私は、自分の目的を果たすまでだ」

同調してわかったけど、伯爵はあの怨霊の正体を知っている。それなら、この事件の真相を知るためにも、ここで怨霊を討伐させるわけにはいかない。

どうやら、攻撃を始めたようだ。あれは、僕の魔術[暴食]と似ている。あ~あ、神官たちは判断に遅れたせいで、奴の餌になってしまったか。

「なら、もう何も言いません。伯爵は、ここで見ていて下さい。僕が、奴と戦います」
「は? お前が?」

僕は窓を開けて、庭へと降り立つ。すると、怨霊がルティナ目掛けて、闇の球を放った。

「配置転換、僕と結界の位置を転換する」

配置転換の隠し機能、それは自分や掌握したもの同士の位置を転換させることが可能というもの。この場合、僕とサンクチュアリだ。魔法範囲内に人がいる場合は、それらも転換対象となる。

そのためギフトを発動させた途端、僕の目の前には、直径50センチほどの闇の球が迫っていた。この敷地に入った時から、不可視の暴食を皮膚に張り付かせて発動させているので、球が膜に触れた途端、暴食に食われ消滅した。僕の力の方が優っているけど、それでも相手はかなり強い部類に入る。

「リョウトさん?」
「リノア、安心しろ。2人は君の後方にいる」

僕の降り立った場所に結界があり、その中にルティナとジェイコブ神官がいる。2人は突然だったこともあり、何が起きたのか理解していない。

「やっと、黒幕の登場か。負の感情に囚われ、自我を完全に無くしたか」

魔力を黒幕のいる場所へ散布し、怨恨の関係で同調に時間を要したけど、あれが何者なのかも分かった。この地に到達するまで、黒幕は心に怨みを募らせながら、ここへ目指し歩いてきたが、怨恨が深いが故に心が耐えきれず、自我を失った。そして、目的地に到達すると、今度は大量のタルパ共を誘引し食していき、時には利用して神官や巫女たちを誘き寄せ、タルパを使い弱らせてから、身体そのものや魔力だけを食していったことで、ここまでの力を身につけたと推測できる。

「あれって、私と同じタルパ?」

この世界に、怨霊という言葉はない。

「一応、タルパに分類されるよ。あいつには、自我を取り戻してもらう必要があるから、奴を覆う漆黒のベールを全て排除しよう。おっと、ここじゃあ色々と問題があるから、それは邸内でやろう」

「そっちの方が問題になるんじゃあ?」

「いいや、これから起こる面倒を一気に引き受けてくれる人が書庫にいるから、そこに運ぶ。暴食!!」

僕は黒い輪っかを奴の真上に出現させ、輪を通し、輪の内側全てに棘を作成させてから、お腹付近でぐっと絞る。棘がお腹まわりに突き刺さる。輪っかには黒い紐が付いており、僕がその先端を持っている。突き刺さった瞬間、暴れようとするが無駄な足掻きだ。

「捕縛完了。悪いようにはしないから、僕についてこい」

奴は僕を視認すると、数えきれないほどの漆黒の槍を宙に出現させ、それらを僕目がけて飛ばしてくる。

「君さ、さっきの見てなかったの?」

僕は、前面に暴食の膜を形成させ、全弾を食い尽くす。

「命令を聞けないのなら、内部を攻撃させてもらおう」

奴の内部には、僕の魔力が混入しているので、内から怨念の根源を砕いていき、ジュースを吸うように、輪っかの棘から力を吸い出し食べていく。う~ん、初めて食べたタルパと比較すると、恨みも深いせいか、ブルーベリージュースを飲んでいるかのような濃厚さを感じる。奴は異変を感じ取ったようで、自我がなくとも力の差に気づいたのか、観念し僕についてくるようになった。

「リノアは、ルティナやジェイコブ先生のところへ行って、マクレミーサをどう扱うか話し合うといい。神官たちの溶かされた瞬間を目の前で目撃したから、戦意も喪失している。下手な抵抗もしないだろう」

「わ、わかった。気をつけて」

僕はルティナにも声をかけておく。

「お兄ちゃん、助けてくれてありがとう。そいつ、どうするの? 食べるの?」

「恨みに関しては美味しく戴くけど、こいつを成仏させるために、今から邸内に入って、侵入者と話し合ってくる」

「侵入者?」

「そ、こいつはその侵入者の知り合いなんだ。ジェイコブ神官、自己紹介が遅れました。僕はルティナとリノアの保護者で、リョウトと言います。この黒幕に関しては、解決次第説明しますので、それまではマクレミーサを見張っておいてください」

彼はこの事態に追いついていないのか、反応がかなり遅れてやって来る。

「あ…ああ…君が保護者で2人の師匠なのか…あれを押さえつけるなんて…わかった…君を信じよう」

さてと、あとはこの黒幕と、ヒライデン伯爵を引き合わせるだけでいい。怨みを除去すれば、自我を取り戻し、真実を話してくれるだろう。

しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

処理中です...