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43話 神官たちの哀れな最後
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マクレミーサは泣き喚きながら、必死になってタルパから逃げ回ってる。彼女の表情を見るだけで、もう余裕がないと理解できる。私はタルパ共をヒールで攻撃しながら、彼女のもとへと向かう。
「サンクチュアリ!!」
マクレミーサが一瞬だけ発動させたおかげで、ギフトの効果で魔法を取得し、魔法原理やその効果が私の頭に入ってきた。発動した途端、私を中心とする直径10メートル、高さ5メートルの半円形のシールドが形成される。
マクレミーサは、私の魔法に呆気にとられ動きを止める。
「どうして、貴方が高位の聖魔法を詠唱もなく使えるのよ。どうして…私を助けるのよ…私は貴方たちを…」
さっきまでの威勢を、全く感じ取れない。
大量のタルパたちが、シールドを叩くけどビクともしない。
この中にいれば、安全だ。
「私は、あなたと違うもん。あなたのような人間になりたくないから助けるの」
マクレミーサは悔しげな顔で私を軽く睨むけど、文句を言ってこない。
「そこから動かないで」
「は? え? あ…なんで出られるのよ」
サンクチュアリ、この魔法を放つと、通常術者も出られないとジェイコブ先生や聖女様に習った。でも、お兄ちゃんのおかげで、そんな固定概念が綺麗さっぱりなくなった。多分、基点さえあれば、魔法は持続されるはずた。私は予備の武器でもある短剣に聖属性を付与させ地面に突き刺し、円の外に出た。
「そんな…どうして発動したままなのよ」
「そんなの自分で考えて」
私はそれだけ言うと、リノアの方へ向かった。そこからしばらくの間、タルパと戦闘を続けていると、上空から一際強い気配を察知すると同時に、タルパの大群も動きを止め、空を仰ぐ。
「リノア」
「うん、親玉の登場だ」
始めは小さな黒い点だったものが、高度を下げてくるうちに、気配がどんどん強くなっていき、その輪郭も鮮明になっていく。
あれは何?
人の形態をした闇、大きさは大人の男性と同じくらいだけど、あれから憤怒、憎悪、怨恨といった様々な負の感情を感じる。でも、闇の視線は私やリノア、マクレミーサ、神官でもなく、邸内の2階を見てる。あそこに、誰かいるの?
あれって、タルパ?
よくわからないけど、私たちより強いのがわかる。
「リノア…これ、無理じゃない?」
「うん、無理だね。私たちだけじゃあ、倒せない」
親玉の視線が2階から私たちや神官たちに向けられると、右手人差し指を空に向けて、そのまま振り下ろされる。
何だろう?
空から、強い力を感じる。
「サンクチュアリ!! ジェイコブ先生は、この結界の中に入って!! 神官様たちは、急いでマクレミーサ様のいる結界内へ入って!!」
何かよくわからないものが、空から降ってくる。先生はすぐ近くにいるから大丈夫だけど、あの人たちはここから遠い。神官様たちも少し遅れて気づき、慌ててマクレミーサのいるもとへと向かう。
「ルティナ、結界維持に集中して」
「うん」
リノアはタルパだから大丈夫だけど、あの神官たちは間に合わない、自分たちの魔法で何とか対処してね。
私たちの真上に、真っ黒い雨がパラパラ降ってくる。
少しずつだけど、量が多くなってきてる。
これが攻撃?
私がそう思った途端、神官たちが叫び声を上げる。
「え、どうしたの?」
「あ~~~~~」
「なんだ、この雨は!?」
「痛い痛い、なんか変だぞ~~~」
あ、神官たちの身体から煙が出てる!!
「ルティナ、ジェイコブ先生、絶対に結界から出ないで!!」
「え?」
「リノア、どういうことだい?」
ジェイコブ先生も意味がわからないのか、リノアに質問してる。
「この黒い雨、私や神官たちだけでなく、周囲にいるタルパたちを溶かして食べようとしてる。私は対抗魔法を持ってるから問題ないけど、神官様たちは急いで結界の中に……あ、だめだ、もう間に合わない」
「え…あ!?」「な!?」
う…嘘。
さっきまで私たちを襲っていたタルパの大群が喚き苦しみ出し、その形態が溶け出してる。叫び声をあげてる神官たちも、服と身体がどんどん溶けて崩れ落ちてきて、溶けてしまったタルパと神官たちが結合していき、最終的に1つの大きな黒い球になった。生き残ったのは、私、リノア、ジェイコブ先生、マクレミーサの4人だけ。マクレミーサはさっきの瞬間を目の前で見たせいで、顔が真っ青だ。
「き…気持ち悪い」
「さ…最悪」
「なんて化け物だ。どうして、あんな化け物が王都に…」
黒い球になったものたちが宙に浮き、人の形態をとる闇の魔物のもとへ向かい、魔物はそれらをぺろっと飲み込むと、あいつから感じる威圧感や気配が更に深くなった。
あんなの…勝てっこないよ。
人の形をした闇の魔物が、こっちを見る。
右手を私に向けて……え?
大きな黒い球を発射してきた!!
「ルティナ、先生、避けて~~~~~~」
あれは…無理だ。
お兄ちゃん…助けて。
「サンクチュアリ!!」
マクレミーサが一瞬だけ発動させたおかげで、ギフトの効果で魔法を取得し、魔法原理やその効果が私の頭に入ってきた。発動した途端、私を中心とする直径10メートル、高さ5メートルの半円形のシールドが形成される。
マクレミーサは、私の魔法に呆気にとられ動きを止める。
「どうして、貴方が高位の聖魔法を詠唱もなく使えるのよ。どうして…私を助けるのよ…私は貴方たちを…」
さっきまでの威勢を、全く感じ取れない。
大量のタルパたちが、シールドを叩くけどビクともしない。
この中にいれば、安全だ。
「私は、あなたと違うもん。あなたのような人間になりたくないから助けるの」
マクレミーサは悔しげな顔で私を軽く睨むけど、文句を言ってこない。
「そこから動かないで」
「は? え? あ…なんで出られるのよ」
サンクチュアリ、この魔法を放つと、通常術者も出られないとジェイコブ先生や聖女様に習った。でも、お兄ちゃんのおかげで、そんな固定概念が綺麗さっぱりなくなった。多分、基点さえあれば、魔法は持続されるはずた。私は予備の武器でもある短剣に聖属性を付与させ地面に突き刺し、円の外に出た。
「そんな…どうして発動したままなのよ」
「そんなの自分で考えて」
私はそれだけ言うと、リノアの方へ向かった。そこからしばらくの間、タルパと戦闘を続けていると、上空から一際強い気配を察知すると同時に、タルパの大群も動きを止め、空を仰ぐ。
「リノア」
「うん、親玉の登場だ」
始めは小さな黒い点だったものが、高度を下げてくるうちに、気配がどんどん強くなっていき、その輪郭も鮮明になっていく。
あれは何?
人の形態をした闇、大きさは大人の男性と同じくらいだけど、あれから憤怒、憎悪、怨恨といった様々な負の感情を感じる。でも、闇の視線は私やリノア、マクレミーサ、神官でもなく、邸内の2階を見てる。あそこに、誰かいるの?
あれって、タルパ?
よくわからないけど、私たちより強いのがわかる。
「リノア…これ、無理じゃない?」
「うん、無理だね。私たちだけじゃあ、倒せない」
親玉の視線が2階から私たちや神官たちに向けられると、右手人差し指を空に向けて、そのまま振り下ろされる。
何だろう?
空から、強い力を感じる。
「サンクチュアリ!! ジェイコブ先生は、この結界の中に入って!! 神官様たちは、急いでマクレミーサ様のいる結界内へ入って!!」
何かよくわからないものが、空から降ってくる。先生はすぐ近くにいるから大丈夫だけど、あの人たちはここから遠い。神官様たちも少し遅れて気づき、慌ててマクレミーサのいるもとへと向かう。
「ルティナ、結界維持に集中して」
「うん」
リノアはタルパだから大丈夫だけど、あの神官たちは間に合わない、自分たちの魔法で何とか対処してね。
私たちの真上に、真っ黒い雨がパラパラ降ってくる。
少しずつだけど、量が多くなってきてる。
これが攻撃?
私がそう思った途端、神官たちが叫び声を上げる。
「え、どうしたの?」
「あ~~~~~」
「なんだ、この雨は!?」
「痛い痛い、なんか変だぞ~~~」
あ、神官たちの身体から煙が出てる!!
「ルティナ、ジェイコブ先生、絶対に結界から出ないで!!」
「え?」
「リノア、どういうことだい?」
ジェイコブ先生も意味がわからないのか、リノアに質問してる。
「この黒い雨、私や神官たちだけでなく、周囲にいるタルパたちを溶かして食べようとしてる。私は対抗魔法を持ってるから問題ないけど、神官様たちは急いで結界の中に……あ、だめだ、もう間に合わない」
「え…あ!?」「な!?」
う…嘘。
さっきまで私たちを襲っていたタルパの大群が喚き苦しみ出し、その形態が溶け出してる。叫び声をあげてる神官たちも、服と身体がどんどん溶けて崩れ落ちてきて、溶けてしまったタルパと神官たちが結合していき、最終的に1つの大きな黒い球になった。生き残ったのは、私、リノア、ジェイコブ先生、マクレミーサの4人だけ。マクレミーサはさっきの瞬間を目の前で見たせいで、顔が真っ青だ。
「き…気持ち悪い」
「さ…最悪」
「なんて化け物だ。どうして、あんな化け物が王都に…」
黒い球になったものたちが宙に浮き、人の形態をとる闇の魔物のもとへ向かい、魔物はそれらをぺろっと飲み込むと、あいつから感じる威圧感や気配が更に深くなった。
あんなの…勝てっこないよ。
人の形をした闇の魔物が、こっちを見る。
右手を私に向けて……え?
大きな黒い球を発射してきた!!
「ルティナ、先生、避けて~~~~~~」
あれは…無理だ。
お兄ちゃん…助けて。
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