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3話 託宣の儀式

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僕と家族は、現在女神像の祀られている教会内の席に座っており、誰も言葉を発することなく、進行役の司祭様が扉から現れるのをじっと待っている。今日の午前中に執り行われる託宣の儀は、貴族専用となっているため、周囲の座席には、儀式のために新調したとされる貴族服または清涼感のある慎ましいドレスを着た男女が合わせて3名(男1名、女2名)とその家族たちが座っていて、誰もが儀式の開始を静かに待ち望んでいる。

前世の記憶に目覚めて以降、僕は外出することを許されない身の上となっていて、15歳となる今日まで、ずっと落ちこぼれ扱いを受け、屋敷内で軟禁生活を強いられたため、知り合いは1人もいない。今日の結果次第で、そういった生活が激変することになるだろう。

司祭が登場し、儀式が始まった。

呼ばれた者は司祭の前へと赴き一礼をしてから、女神像の下へ行き、祈りを捧げる。僕が最後のようで、他の3人が祈りを捧げていくと、身体全体が淡く白く輝く。男は自分の望む物を授かったようで、『よし』と小さな声を出し、ガッツポーズをしながら、意気揚々と両親のところへ戻り、女2人は感情を表に出すことなく、優雅な佇まいで席へと戻る。

スキル【鑑定】があれば、相手のステータスを覗けるけど、こういった神聖な儀式でそんな不埒な行為をすると、神の怒りに触れてしまい、これまで得たギフト、スキル、魔法全てが没収される。そのため、大半の人間は何も言わず、静かに教会を去り、家に戻ってから家族に発表するのが常識となっている。

この儀式において、先程の男性の行為は失礼に値する。
その証拠に、彼が席へ戻ると、父親に小突かれていた。

「リョウト・ヒライデン」
「はい!!」

僕も呼ばれたので、司祭に一礼してから女神像の下へ行き、祈りを捧げる。

『女神フォルテシア様、僕にとって今日こそが、人生初の大きな分岐点と言えるでしょう。最後の儀式で貰えるギフト、その効果の全てを家族に話すか話さないかで、道筋が大きく変化します。どちらを選択するかは既に決めているので、あなたは天上の世界から、僕の生き様を見ていて下さい』

お、身体が仄かに暖かくなってきた。
これでステータスを見られるけど、両親に睨まれたくないので我慢する。

僕は司祭様にお辞儀し、無表情のまま席へと戻る。ここからは司祭様による儀式終了のお言葉が始まるので、表情を保ったまま、今のうちにステータスを確認しよう。

種族:人間
名前:リョウト・ヒライデン
性別:男
年齢:15歳
HP: 1629/1629
MP: 17790/17790
魔力量:7790→17790          *NEW 魔力加算+10000
ギフト:【成長促進】【配置転換】  *NEWギフト【加工】

戦闘系スキル:剣術・体術
強化系スキル:身体強化
察知系スキル:気配察知
遮断系スキル: 気配遮断・隠密・認識阻害
侵入系スキル:ピッキング
補助系スキル:隠蔽偽装・動態予知・思考加速・並列処理・闇夜の目
耐性スキル:精神耐性
魔法:未習得

NEW ギフト【加工】 
理論上、あらゆるものを自分のイメージ通りに加工できる。所持者の技量次第でバランスブレイカーとなりうるギフトのため、その代償として全ての魔法を習得できない。


転生前に聞いていた通り、ギフト【加工】を入手したけど、おまけ特典の効果で、魔力が1万も加算されている。

魔力量を過大に加算させることで、ギフトの扱い方を試そうとしているのか?
とりあえず、魔力加算分も合わせて偽装しておこう。

魔力量:17790→3790(偽装)

司祭様が儀式終了の言葉を宣言したことで、皆が席を立ち始める。
両親も僕を無言で睨みながら、席を立つ。

僕は終始無表情を保っているけど、内心はかなり緊張している。何故なら、僕にとって人生の分岐点とも言えるイベントが、家に帰ってから始まるからだ。
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