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第1章 誘拐騒動ともふもふとの出会い
7話 微かな光明
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マグナリア~~~、あったよ~~~。
『ありがとう。それをどうにかして剥ぎ取って欲しい』
「リリアナ、マグナリアが剥ぎ取って欲しいだって」
「難しい注文だけど、やるしかないわね。アキト、私たち2人の力で同じ方向に引っ張りましょう」
「了解」
僕とリリアナは一致団結して、大きな布を口で加えて、少しずつ引っ張っていくと、途中でするっと、引っ張る力がなくなった。
『成功。2人を視認できた』
「やった、成功だって!!」
「マグナリア様、次は何をすれば?」
『ちょっと待って。外の気配を探ってみる。体感的に今は昼だから、奴らが休憩をとるかもしれない』
「マグナリアが外の気配を探るって」
「あ、その方がいいわね。ここまで頑張ったのに、奴らが入ってきたら怪しまれるもの」
『大丈夫。1時間程前に昼食をとったばかりだから、少なくともあと1時間は馬をゆっくりと走らせる予定』
てことは、次の休憩時間までの間に、行動に移さないといけないわけだ。
『アキト、何か起こる可能性もあるから、君たちの目隠しに関してはそのままにしておく。今から、私の事情を打ち明けるから、あとでリリアナに伝えて』
わかった。目隠しが外れた状態で、奴らが入ってきて顔を視認したら殺される。不安だけど、仕方のないことだと思う。
『私は精霊の中でも聖獣に位置するけど、運と魔力だけの落ちこぼれ。どんなに頑張っても、魔力量が増加するだけで、白虎族なのに戦闘はダメダメ、基本スキルしか扱えないし、魔法も幻惑しか使えない。精霊-白虎族は誇り高き戦士なのに、私は弱く、族長の父や仲間たちの期待を裏切ってしまった。2年前、私は弱いまま100歳を迎えてしまい、里の決まりで強制的に旅に出ることになった』
すっごく現実感のある話を聞いてしまったよ。
聖獣の世界も、人間と大差ないんだね。
『白虎族は、凛々しく気高き、成体であれば、体長も7メートル程あるけど、その姿で彷徨くと、すぐに発見され騒がれる。だから、我々は普段小型化していて、毛色も多少変化させて暮らしている』
7メートル!?
白虎族って、虎よりも大きいってことか。
『旅に出た私は、2年間幻惑魔法を駆使して、精霊と悟られずに人間たちと語り合い、魔物とも戦ってきた。だが、一人前の戦士とは程遠い存在で、今でも然程強くない。月日が経過する程、何の変化も見られない自分に嫌気が差し、惨めな気持ちにもなり、生きる気力をどんどん失っていき、ここ最近は森の中で暮らすようになっていた。10日間ほど徘徊しているうちに力も自然と弱まり、毛並みも汚れてしまい、3日前に川で水を飲んでいるところを人間族の悪人に見つかった。奴らは鑑定の上位スキル[鑑別]で私の正体を見破り、牢屋と首輪の二重封印を施した』
人間が、どうしてそんな酷い行為を?
『聖獣の力を欲する者は、どこにでもいる。ただ、奴らは私のことを、聖獣として未熟な存在と判断し、奴隷化後に鍛え直すと言っていたな。今、私は依頼人のもとへ運搬されている途中。君たちは誘拐されたようだけど、ここから逃げたい?』
逃げたい!!
どこに向かっているのか知らないけど、このままじっとしていたら、もっと危険な目に遭うと思うから。
『当たってる。奴らは私を依頼人に引き渡した後、君たちを奴隷商人のもとへ連れていき売却するつもりでいる』
奴隷!? あの人は僕たちを解放すると言ってたけど、そういう意味での解放だったの? てっきり、自由になって家に帰してくれると思ってたのに!!
まずいよ。
このまま何もしなければ、僕たちは解放され次第、奴隷になっちゃう。そうなったら、お父さんやお母さんに2度と会えなくなるのかな?
『会えないどころか、早死にする可能性が高い』
そんなの絶対に嫌だ!!
とりあえず、ここまでの内容をリリアナに伝えると…
「マグナリア様に、そんな事情が隠されていたのね。あと、あの男は敵ね。解放するとか言っておきながら、私たちを奴隷商人に売却って…最低よ。ちょっとでも、信じた私が馬鹿だったわ」
「うん、僕も騙された。今からマグナリアに、ここから先の行動を聞いてみる」
今の僕たちには何の力もない。お父さんやお母さんのようなギフトやスキル、魔法だって覚えていないから、どうやってここから抜け出すのか、その方法も全然思い浮かばない。
マグナリア、脱出方法を教えて。
『君は5歳くらいの割に、意志が強いし、冷静で賢い。もしかして、転生者?』
転生者?
『ここ最近、おかしな夢とか見なかった?』
『5歳の誕生日に、おかしな夢を見た。その後、何故か夢で経験したことや、知識の一部を記憶していて、偶に言葉に出ちゃう時もあるんだ』
『前世の記憶を一部だけ継承するタイプ。覚醒すると、現世の人格をベースに、記憶力や思考力、判断力、知能などを向上させる効果がある。その夢以降、手先が器用になったり、物覚えが良くなったり、大人の会話を理解できたりとかなかった?』
うん、その通り!!
凄いや、そこまでわかるんだ。
『君が転生者なら、まだ私たちにも希望がある』
え、どういうこと?
『ありがとう。それをどうにかして剥ぎ取って欲しい』
「リリアナ、マグナリアが剥ぎ取って欲しいだって」
「難しい注文だけど、やるしかないわね。アキト、私たち2人の力で同じ方向に引っ張りましょう」
「了解」
僕とリリアナは一致団結して、大きな布を口で加えて、少しずつ引っ張っていくと、途中でするっと、引っ張る力がなくなった。
『成功。2人を視認できた』
「やった、成功だって!!」
「マグナリア様、次は何をすれば?」
『ちょっと待って。外の気配を探ってみる。体感的に今は昼だから、奴らが休憩をとるかもしれない』
「マグナリアが外の気配を探るって」
「あ、その方がいいわね。ここまで頑張ったのに、奴らが入ってきたら怪しまれるもの」
『大丈夫。1時間程前に昼食をとったばかりだから、少なくともあと1時間は馬をゆっくりと走らせる予定』
てことは、次の休憩時間までの間に、行動に移さないといけないわけだ。
『アキト、何か起こる可能性もあるから、君たちの目隠しに関してはそのままにしておく。今から、私の事情を打ち明けるから、あとでリリアナに伝えて』
わかった。目隠しが外れた状態で、奴らが入ってきて顔を視認したら殺される。不安だけど、仕方のないことだと思う。
『私は精霊の中でも聖獣に位置するけど、運と魔力だけの落ちこぼれ。どんなに頑張っても、魔力量が増加するだけで、白虎族なのに戦闘はダメダメ、基本スキルしか扱えないし、魔法も幻惑しか使えない。精霊-白虎族は誇り高き戦士なのに、私は弱く、族長の父や仲間たちの期待を裏切ってしまった。2年前、私は弱いまま100歳を迎えてしまい、里の決まりで強制的に旅に出ることになった』
すっごく現実感のある話を聞いてしまったよ。
聖獣の世界も、人間と大差ないんだね。
『白虎族は、凛々しく気高き、成体であれば、体長も7メートル程あるけど、その姿で彷徨くと、すぐに発見され騒がれる。だから、我々は普段小型化していて、毛色も多少変化させて暮らしている』
7メートル!?
白虎族って、虎よりも大きいってことか。
『旅に出た私は、2年間幻惑魔法を駆使して、精霊と悟られずに人間たちと語り合い、魔物とも戦ってきた。だが、一人前の戦士とは程遠い存在で、今でも然程強くない。月日が経過する程、何の変化も見られない自分に嫌気が差し、惨めな気持ちにもなり、生きる気力をどんどん失っていき、ここ最近は森の中で暮らすようになっていた。10日間ほど徘徊しているうちに力も自然と弱まり、毛並みも汚れてしまい、3日前に川で水を飲んでいるところを人間族の悪人に見つかった。奴らは鑑定の上位スキル[鑑別]で私の正体を見破り、牢屋と首輪の二重封印を施した』
人間が、どうしてそんな酷い行為を?
『聖獣の力を欲する者は、どこにでもいる。ただ、奴らは私のことを、聖獣として未熟な存在と判断し、奴隷化後に鍛え直すと言っていたな。今、私は依頼人のもとへ運搬されている途中。君たちは誘拐されたようだけど、ここから逃げたい?』
逃げたい!!
どこに向かっているのか知らないけど、このままじっとしていたら、もっと危険な目に遭うと思うから。
『当たってる。奴らは私を依頼人に引き渡した後、君たちを奴隷商人のもとへ連れていき売却するつもりでいる』
奴隷!? あの人は僕たちを解放すると言ってたけど、そういう意味での解放だったの? てっきり、自由になって家に帰してくれると思ってたのに!!
まずいよ。
このまま何もしなければ、僕たちは解放され次第、奴隷になっちゃう。そうなったら、お父さんやお母さんに2度と会えなくなるのかな?
『会えないどころか、早死にする可能性が高い』
そんなの絶対に嫌だ!!
とりあえず、ここまでの内容をリリアナに伝えると…
「マグナリア様に、そんな事情が隠されていたのね。あと、あの男は敵ね。解放するとか言っておきながら、私たちを奴隷商人に売却って…最低よ。ちょっとでも、信じた私が馬鹿だったわ」
「うん、僕も騙された。今からマグナリアに、ここから先の行動を聞いてみる」
今の僕たちには何の力もない。お父さんやお母さんのようなギフトやスキル、魔法だって覚えていないから、どうやってここから抜け出すのか、その方法も全然思い浮かばない。
マグナリア、脱出方法を教えて。
『君は5歳くらいの割に、意志が強いし、冷静で賢い。もしかして、転生者?』
転生者?
『ここ最近、おかしな夢とか見なかった?』
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うん、その通り!!
凄いや、そこまでわかるんだ。
『君が転生者なら、まだ私たちにも希望がある』
え、どういうこと?
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