僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜

犬社護

文字の大きさ
上 下
6 / 38
第1章 誘拐騒動ともふもふとの出会い

6話 暗闇から聞こえてくる声

しおりを挟む
目が覚めると、床が揺れていて、ここが馬車の中だとすぐにわかった。でも、目隠しされているので、状況を全く把握できない。

「アキト…」

すぐ近くから、彼女の声が聞こえた。

「リリアナ…いるんだね?」
「あなたの隣にいると思う」

彼女の方が先に目覚めていたようだけど、案の定元気がない。誘拐されたと思ったら、別の悪人たちが僕たちを誘拐して、そいつらに強制的に眠らされ、気づけば移動中となっているのだから、元気がなくて当たり前だ。

「う…お腹減ったね」

2人揃って、お腹の音が鳴った。

「私たちの身体は正直ね。でも、食欲がないわ」
「同感」

手足も縛られ、目隠しもされているから、身体は不安と緊張に支配されている。これから、どうなるんだろう? 僕たちが声を出しても、あの覆面の男たちは誰も言葉を発しないから、多分周囲にはいないと思うんだけど…。

『そこの子供』

え? 今、リリアナとは違う女の子の声が聞こえたような?

「リリアナ、声が聞こえなかった?」
「声? いいえ、何も聞こえなかったわ」

彼女には聞こえていないの?

『私は運がいい。この危機的状況下で、私のパスと繋がる者と出会えたのだから。少年、私は君の心に語りかけている』

心に?

『そう…私は聖獣-白虎族のマグナリア。今は、力を封じられているせいで、声を出すことも不可。精霊の持つ感応波だけで、波長の合う者としか話せない』

聖獣? その言葉には聞き覚えがある。
両親から教わったんだ。

この世界には、魔が蔓延っていて、聖獣様はその魔や災厄から僕たちを守ってくれる尊き存在で、皆から崇拝されているんだよね。

その聖獣様が、この近くにいるの?
とにかく、僕も自己紹介だ。
僕は、人間族のアキト。

『アキト、この空間内の何処かに、布に覆われた牢屋があるはず』

ごめん、両手両足を縛られていて、おまけに目隠しされているからわからないよ。

『承知している。ここは馬車の中で、私たち3人だけしかいない。縛られている状態で動ける?』

なんとか。

『何処かに布があるから、それを引き剥がしてほしい。私が君たちを視認できれば、助けられるかもしれない』

ほんと!? 僕は、急いでさっきの内容をリリアナに小声で伝えると、彼女は不安がっていたけど、それでも声の様子から、少しだけ元気を取り戻したような印象を受けた。

「聖獣? 何故、聖獣様が囚われているの?」
「わかんないけど、奴らの言ってた任務って、拉致した聖獣様を誰かに引き渡すことなんじゃないかな?」
「ありうるわね。それじゃあ、その布を探しましょう」
「うん」

僕とリリアナは、芋虫のように床を這いずりながら、布を探していく。あ、何かそれらしきものに触れた!! 大きそうだし、これかな。それを口で噛んで引っ張ってみる。

「こら~~それは私のスカートよ!! 脱げちゃうから、早く離しなさい!!」
「あ、ごめん」

小声で、リリアナに怒られてしまった。そうだった、自分たちの着ている服も布のような素材だから気をつけないとね。あれから2人で這いずりながら捜索すると、ようやく大きな何かを見つけ出せた。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護
ファンタジー
交通事故で不慮の死を遂げてしまった僕-リョウトは、死後の世界で女神と出会い、異世界へ転生されることになった。事前に転生先の世界観について詳しく教えられ、その場でスキルやギフトを練習しても構わないと言われたので、僕は自分に与えられるギフトだけを極めるまで練習を重ねた。女神の目的は不明だけど、僕は全てを納得した上で、フランベル王国王都ベルンシュナイルに住む貴族の名門ヒライデン伯爵家の次男として転生すると、とある理由で魔法を一つも習得できないせいで、15年間軟禁生活を強いられ、15歳の誕生日に両親から追放処分を受けてしまう。ようやく自由を手に入れたけど、初日から幽霊に憑かれた幼女ルティナ、2日目には幽霊になってしまった幼女リノアと出会い、2人を仲間にしたことで、僕は様々な選択を迫られることになる。そしてその結果、子供たちが意図せず、どんどんチート化してしまう。 僕の夢は、自由気ままに世界中を冒険すること…なんだけど、いつの間にかチートな子供たちが主体となって、冒険が進んでいく。 僕の夢……どこいった?

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト) 前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した 生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ 魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する ということで努力していくことにしました

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。 しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた! 今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。 そうしていると……? ※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

処理中です...