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14 魔王候補生と黒幕は、踊る。

14―1 俺の子供だ!

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 14ー1 俺の子供だ!

 俺をスィラは、ぎゅうっと抱き締めた。
 マジですか?
 俺は、突然の展開についていけずにパニクっていた。
 何?
 もしかして、俺の回りには、昔から俺を狙ってる奴しかいなかったわけですか?
 俺は、ぐっと両手に力を込めるとスィラを押し退けた。
 「もう、お前がなんで、俺の側にいたかとか、どうでもいい」
 俺は、ぎん、とスィラを睨み付けた。
 「ここに俺を連れてきたことも許してやる。俺も、あんたの叔父さんには、言いたいことが山ほどあるしな」
 「ほう。何が言いたい?」
 背後から不意に声が聞こえた。
 俺たちが振り向くと、そこには、あの忘れもしない銀髪のイケオヤの姿があった。
 奴は、ゾッとするような冷たいアイスブルーの瞳で俺を見つめていた。
 体が。
 動かない。
 声も出ない。
 飲まれちゃ、ダメだ!
 俺は、ぱんぱん、っと両手で自分の頬を叩いた。
 しっかりしろ、俺!
 もう、こいつの好き勝手はさせない!
 「エイダス・・俺の子供を返してもらおうか」
 「君の子供?」
 エイダスが気だるげに俺を見下ろした。
 「我々の子供、の間違えだろう?セツ」
 「なっ!」
 俺は、エイダスに向かい合った。
 心臓が。
 バクバク暴れだした。
 なんか、苦しい。
 俺は、呼吸を乱して立ち尽くしていた。
 「どうした?セツ。顔色が悪いぞ?」
 エイダスが音もなく俺の方へと歩み寄ってきた。
 「私に言いたいことがあったのではないのか?我が妻よ」
 「だ、誰が、お前の妻だっ!」
 俺は、エイダスが俺に触れようとして伸ばしてきた手を払いのけた。
 「俺は、あんたの妻でもなんでもねぇしっ!」
 「だが、お前は、私の物だ、セツよ。お前の心臓には、私のものである証が刻まれているのだからな」
 「なっ!嘘つけ!」
 俺は、叫んだ。
 「俺は、魔王連合ギルドの物だし!他の誰のものでもない!」
 「はっ!」
 エイダスが満足げに微笑んだ。
 「ずいぶんと従順になったものだな。アザゼルに可愛がられたか?セツ」
 「う、うるせぇっ!」
 俺は、頬が熱くなってくるのを隠そうと、声を荒げた。
 「はやく、俺の子供を返せ!人拐いが!」
 「実の父親が子供を迎えようとすることがいけないことかね?」
 エイダスは、いけしゃあしゃとほざいた。
 俺は、きっと奴を睨み付けた。
 「あんたは、俺の子供の父親じゃない!」
 「ほう」
 エイダスは、なんだか、変だった。
 俺を見る目が、なんだか、変。
 目を細めて、まるで、愛おしい者を見つめるような目だった。
 「私が父親でなければ、いったい誰が父親なんだね?」
 「俺、だよ!俺」
 俺は、シャウトした。
 「あの子は、俺の子供だ!」
 
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