下宿屋 東風荘

浅井 ことは

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居候

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雪翔を宮司に合わせ、手伝いの了承も得たので、千年祭までの事など宮司がおしえてくれるだろう。
その他の事は昼から毎日教えていけばいいだろう。

一度自宅に戻ってから表に出て、買い物へと出かける。

今日の買い物はいつもよりも多い。月に1度の月末まとめ買いだ。各店でつけを払いながら周るつもりで、日用品店から回っていく。他のものも一緒にと配達を頼んでから支払いを済ませ店を出る。

肉屋で豚肉や鶏肉など買い込み、魚屋でも同じように買い込んでいく。
良く朝餉で焼き魚を出すので、切り身より安ければ一尾ごと買って捌いてもらう事もある。

八百屋では塩コショウから生姜やカレー等の素、チーズや卵も多めに買い、豆腐屋や必要なところすべて回って、今日は日用品店に配達を頼んだと言い、つけの支払いと本日の支払いを終え、商店街を抜けた所にある喫茶店に入る。

封筒の中身を確認し、残りの残金を確認してから、ため息を一つ。

今月も何とかやり繰りは出来たなと、店員に紅茶を頼み、暖かい紅茶が来たところで、見ていた通帳を袖にしまう。

今下宿にいる子は6人。今日出ていく子が1人……昨年末から聞いてはいたが、送別会などはしないでほしいと言われ、午前の内に業者が来るとだけ前もって聞いていた。
夕餉でみんなに話さないといけないと思いながらも、今から銀行に行って記帳しても五人分の家賃しか入らない事を考えると、食費をどうしようかとさえ思ってしまう。

よく食べてくれるのは嬉しいが、もしもこれで米や野菜など田舎から送ってくる家がなかったら、家賃は夜のみ食事付き、朝昼自炊で8万は欲しいところだ。

今更家賃をあげますとも言えないので、しばらくは節約しかないだろうななどと考え、紅茶を飲み干す。

銀行までのんびりと歩いていき、記帳・確認してから必要な分だけ引き出し、今月残ったお金を違う口座へと入れる。
ほんの少しずつだが、一年で結構貯まるのでずっと続けているが、たまにはのんびりと温泉にでも行きたいものだ……などと思ってしまう。

下宿に帰るとちょうどお昼だったので、着物を日の当たらない影の方に干し直してから中に入る。

「おかえりなさい」

「きちんとお昼ですね。普段お昼は各自で取るのですが、みなさんが春休みになるまでは作ります。午後からは一部屋空いたので掃除を手伝ってください」

「え?誰が出たんですか?」

「ええ、前から決まっていたんです。就職先の寮に入ることになってた子なんですけど、研修が始まるそうで。皆さんとお別れが寂しいからと、午前中に」

「そうだったんですか」

「さて、昼餉は何にしましょうかねぇ」

「あの、僕余り物でもお茶漬けでもいいです」

「簡単なものにはなりますけど、それはダメですよ?成長期ですからねぇ……ちょっと辛いもの食べれますか?」

「はい」

「ではすぐ出来ますから待っててください」

鍋では無く、フライパンに湯を沸かし、スパゲティを茹でる。
今のは五分もかからないので、その間にベーコンと小松菜を適当な大きさに切り、レンジでチンしておく。

固めに茹で上がったパスタの湯を捨て、そのままオリーブオイルと刻んだ唐辛子、チンしておいた材料を入れて炒め、軽く塩と粗挽き胡椒をかけて、ペペロンチーノの出来上がりだ。
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