29 / 73
居候
.
しおりを挟む
雪翔を宮司に合わせ、手伝いの了承も得たので、千年祭までの事など宮司がおしえてくれるだろう。
その他の事は昼から毎日教えていけばいいだろう。
一度自宅に戻ってから表に出て、買い物へと出かける。
今日の買い物はいつもよりも多い。月に1度の月末まとめ買いだ。各店でつけを払いながら周るつもりで、日用品店から回っていく。他のものも一緒にと配達を頼んでから支払いを済ませ店を出る。
肉屋で豚肉や鶏肉など買い込み、魚屋でも同じように買い込んでいく。
良く朝餉で焼き魚を出すので、切り身より安ければ一尾ごと買って捌いてもらう事もある。
八百屋では塩コショウから生姜やカレー等の素、チーズや卵も多めに買い、豆腐屋や必要なところすべて回って、今日は日用品店に配達を頼んだと言い、つけの支払いと本日の支払いを終え、商店街を抜けた所にある喫茶店に入る。
封筒の中身を確認し、残りの残金を確認してから、ため息を一つ。
今月も何とかやり繰りは出来たなと、店員に紅茶を頼み、暖かい紅茶が来たところで、見ていた通帳を袖にしまう。
今下宿にいる子は6人。今日出ていく子が1人……昨年末から聞いてはいたが、送別会などはしないでほしいと言われ、午前の内に業者が来るとだけ前もって聞いていた。
夕餉でみんなに話さないといけないと思いながらも、今から銀行に行って記帳しても五人分の家賃しか入らない事を考えると、食費をどうしようかとさえ思ってしまう。
よく食べてくれるのは嬉しいが、もしもこれで米や野菜など田舎から送ってくる家がなかったら、家賃は夜のみ食事付き、朝昼自炊で8万は欲しいところだ。
今更家賃をあげますとも言えないので、しばらくは節約しかないだろうななどと考え、紅茶を飲み干す。
銀行までのんびりと歩いていき、記帳・確認してから必要な分だけ引き出し、今月残ったお金を違う口座へと入れる。
ほんの少しずつだが、一年で結構貯まるのでずっと続けているが、たまにはのんびりと温泉にでも行きたいものだ……などと思ってしまう。
下宿に帰るとちょうどお昼だったので、着物を日の当たらない影の方に干し直してから中に入る。
「おかえりなさい」
「きちんとお昼ですね。普段お昼は各自で取るのですが、みなさんが春休みになるまでは作ります。午後からは一部屋空いたので掃除を手伝ってください」
「え?誰が出たんですか?」
「ええ、前から決まっていたんです。就職先の寮に入ることになってた子なんですけど、研修が始まるそうで。皆さんとお別れが寂しいからと、午前中に」
「そうだったんですか」
「さて、昼餉は何にしましょうかねぇ」
「あの、僕余り物でもお茶漬けでもいいです」
「簡単なものにはなりますけど、それはダメですよ?成長期ですからねぇ……ちょっと辛いもの食べれますか?」
「はい」
「ではすぐ出来ますから待っててください」
鍋では無く、フライパンに湯を沸かし、スパゲティを茹でる。
今のは五分もかからないので、その間にベーコンと小松菜を適当な大きさに切り、レンジでチンしておく。
固めに茹で上がったパスタの湯を捨て、そのままオリーブオイルと刻んだ唐辛子、チンしておいた材料を入れて炒め、軽く塩と粗挽き胡椒をかけて、ペペロンチーノの出来上がりだ。
その他の事は昼から毎日教えていけばいいだろう。
一度自宅に戻ってから表に出て、買い物へと出かける。
今日の買い物はいつもよりも多い。月に1度の月末まとめ買いだ。各店でつけを払いながら周るつもりで、日用品店から回っていく。他のものも一緒にと配達を頼んでから支払いを済ませ店を出る。
肉屋で豚肉や鶏肉など買い込み、魚屋でも同じように買い込んでいく。
良く朝餉で焼き魚を出すので、切り身より安ければ一尾ごと買って捌いてもらう事もある。
八百屋では塩コショウから生姜やカレー等の素、チーズや卵も多めに買い、豆腐屋や必要なところすべて回って、今日は日用品店に配達を頼んだと言い、つけの支払いと本日の支払いを終え、商店街を抜けた所にある喫茶店に入る。
封筒の中身を確認し、残りの残金を確認してから、ため息を一つ。
今月も何とかやり繰りは出来たなと、店員に紅茶を頼み、暖かい紅茶が来たところで、見ていた通帳を袖にしまう。
今下宿にいる子は6人。今日出ていく子が1人……昨年末から聞いてはいたが、送別会などはしないでほしいと言われ、午前の内に業者が来るとだけ前もって聞いていた。
夕餉でみんなに話さないといけないと思いながらも、今から銀行に行って記帳しても五人分の家賃しか入らない事を考えると、食費をどうしようかとさえ思ってしまう。
よく食べてくれるのは嬉しいが、もしもこれで米や野菜など田舎から送ってくる家がなかったら、家賃は夜のみ食事付き、朝昼自炊で8万は欲しいところだ。
今更家賃をあげますとも言えないので、しばらくは節約しかないだろうななどと考え、紅茶を飲み干す。
銀行までのんびりと歩いていき、記帳・確認してから必要な分だけ引き出し、今月残ったお金を違う口座へと入れる。
ほんの少しずつだが、一年で結構貯まるのでずっと続けているが、たまにはのんびりと温泉にでも行きたいものだ……などと思ってしまう。
下宿に帰るとちょうどお昼だったので、着物を日の当たらない影の方に干し直してから中に入る。
「おかえりなさい」
「きちんとお昼ですね。普段お昼は各自で取るのですが、みなさんが春休みになるまでは作ります。午後からは一部屋空いたので掃除を手伝ってください」
「え?誰が出たんですか?」
「ええ、前から決まっていたんです。就職先の寮に入ることになってた子なんですけど、研修が始まるそうで。皆さんとお別れが寂しいからと、午前中に」
「そうだったんですか」
「さて、昼餉は何にしましょうかねぇ」
「あの、僕余り物でもお茶漬けでもいいです」
「簡単なものにはなりますけど、それはダメですよ?成長期ですからねぇ……ちょっと辛いもの食べれますか?」
「はい」
「ではすぐ出来ますから待っててください」
鍋では無く、フライパンに湯を沸かし、スパゲティを茹でる。
今のは五分もかからないので、その間にベーコンと小松菜を適当な大きさに切り、レンジでチンしておく。
固めに茹で上がったパスタの湯を捨て、そのままオリーブオイルと刻んだ唐辛子、チンしておいた材料を入れて炒め、軽く塩と粗挽き胡椒をかけて、ペペロンチーノの出来上がりだ。
0
あなたにおすすめの小説
下宿屋 東風荘 5
浅井 ことは
キャラ文芸
☆.。.:*°☆.。.:*°☆.。.:*°☆.。.:*゜☆.。.:*゚☆
下宿屋を営む天狐の養子となった雪翔。
車椅子生活を送りながらも、みんなに助けられながらリハビリを続け、少しだけ掴まりながら歩けるようにまでなった。
そんな雪翔と新しい下宿屋で再開した幼馴染の航平。
彼にも何かの能力が?
そんな幼馴染に狐の養子になったことを気づかれ、一緒に狐の国に行くが、そこで思わぬハプニングが__
雪翔にのんびり学生生活は戻ってくるのか!?
☆.。.:*°☆.。.:*°☆.。.:*°☆.。.:*☆.。.:*゚☆
イラストの無断使用は固くお断りさせて頂いております。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる