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東の浮遊城
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「雪翔、私達も影に下宿を任せてなるべくこちらに来ますし、那智達も交代できてくれます。冬休みの間だけで終わればいいんですけど、無理なのはわかってるでしょう?」
「うん……」
「早く終わらせましょう。こちらにいる間に、いろんなところを回ってみるのもいいと思いますよ?」
「旅行ってこと?」
「ええ。社から社に飛べますからねぇ。そこから学校に行ってもいいですし、旅をするにも受験になればできないでしょう?いい風に考えてみてください」
「僕、嫌だ!」
そう言って、横にいた重次に無理を言って外に連れ出してもらう。
後ろからは待ちなさいと聞こえてきたが、「みんなのバカ!」とあっかんべーとして滝まで走ってもらい、岩場に座らせてもらった。
「ごめんね。車椅子ごとじゃ重かったでしょ?」
「いえ、平気です。それよりいいんですか?」
「いいの。いつも僕の気持ちを聞かないで勝手に決めるんだもん。お爺ちゃんがこの家の一番偉い人ってのは分かるけど、一言くらい先に言ってくれたり、僕がどうしたいかとか聞いてくれたりなんでしないんだろう」
「きっと……お館様にはお考えが何かあるのだと思います。坊っちゃまをお守りしたいとの思いはみんな一緒です。この国では、大体がお仕えするお館様の命に従うので、私も今まで考えたことは無かったのですが、坊っちゃまの世界では、みんなで考え生きていく世界なのですね」
「うん。たしかに僕は子供だから、親のいうことは聞かないといけないけど、相談くらいはあるし……今回は僕のこの力のせいで起こった事なんだよ?僕だってみんなに迷惑かけたくないとか、いろんなこと考えてて、でも、何かを僕が話す前にすべてが決まってて。それが僕は嫌だったの」
「そうでしたか。ですが、お館様も頑固ですから、お聞き入れくださるかどうか……」
「重次さん、この浮遊城は出入りは簡単に出来るの?」
「いえ、無理です。私も帰る時には那智様に連れ帰ってもらわねばならないほどですし、簡単に来れる場所でもありません」
「そっか……」
「坊っちゃま?」
話していたら冬弥が「やはりここでしたか」と隣に腰を下ろしてくる。
「雪翔が怒るのも無理はありません。最初は私も反対したんですから。前にもあったでしょう?勝手に決めないでくれと。ですが、父上なりに雪翔が心配なんですよ」
「わかってる。でもずっとここにいるのは嫌だ」
「ですがまたあちらで何かあったらと思うと、私も昴さんもこれ以上反対できません」
見てて。と冬弥に言って車椅子に仕込んだ五芒星を発動させる。
「冬弥さん、なんでもいいから攻撃してみて。石投げるだけでもいいから」
「む、息子にそんなこと出来ません!」
「大丈夫だから!お願い」
そばにあった石を車椅子目がけて投げてもらうと、コンという音とともに落ち、小さな光の玉を足元に投げられたがそれも通過せず、少し考えたのだろうが、いくつもの光の玉を飛ばしたあと、重次を投げてきたが、それでも微動だにしない。
五芒星をとき、「これでも……僕が非力で守られるだけの子供だっていうならここに居てもいい。でも、少しでも認めてくれるなら、冬休みが終わったら帰らせてほしい。なんでも相談しようって、話をしようって言ったのは嘘だったの?」
「雪翔、いつの間に……」
「手加減してくれることはわかってたんだ。僕も長くあの状態でいられないし逃げられないから、白や黒の力を借りないといけないし。護法童子や金達、僕が認めた人はこの中に入れるし干渉できるみたい。まだそこまでしか分かってないけど」
「一つ聞きます。護衛は付けてもいいんですよね?」
「嫌だって言ってもつけるくせに」
「みんなに話してきます。もちろん那智や四社の狐は護衛は構わないが、雪翔のためにならないとごねてましたから、なんとかなると思います。これだけは覚えておいてください。雪翔を不自由にしようとか、そんなことは考えてません。父上なりの守り方なんです。雪翔は普通に暮らしたいだけなんですよね?」
「うん」
「ただ、あっかんべーは胡蝶さんたちには刺激が強すぎたようです。後で謝らないといけませんよ?」
「はい。でも、お爺ちゃんが許してくれるまで家に帰らないからね!」
「そういうと思いました。重次、この滝から右にまっすぐ進むと、小さな家があります。何も置いてはなかったので、本しか置いてありませんが、布団もありますし、小さい流しもありますから今夜はそこで。飲み物などは置いてありますから」
そう言いながら懐から薬を出して持たせてくれる。
「明日は大晦日のお祭りです。みんなで行きましょうね」
「大丈夫なの?僕、やっぱりワガママ言ったんじゃ……」
グシャグシャと頭を撫でられ、それでいいと言われ、冬弥と別れる。
「うん……」
「早く終わらせましょう。こちらにいる間に、いろんなところを回ってみるのもいいと思いますよ?」
「旅行ってこと?」
「ええ。社から社に飛べますからねぇ。そこから学校に行ってもいいですし、旅をするにも受験になればできないでしょう?いい風に考えてみてください」
「僕、嫌だ!」
そう言って、横にいた重次に無理を言って外に連れ出してもらう。
後ろからは待ちなさいと聞こえてきたが、「みんなのバカ!」とあっかんべーとして滝まで走ってもらい、岩場に座らせてもらった。
「ごめんね。車椅子ごとじゃ重かったでしょ?」
「いえ、平気です。それよりいいんですか?」
「いいの。いつも僕の気持ちを聞かないで勝手に決めるんだもん。お爺ちゃんがこの家の一番偉い人ってのは分かるけど、一言くらい先に言ってくれたり、僕がどうしたいかとか聞いてくれたりなんでしないんだろう」
「きっと……お館様にはお考えが何かあるのだと思います。坊っちゃまをお守りしたいとの思いはみんな一緒です。この国では、大体がお仕えするお館様の命に従うので、私も今まで考えたことは無かったのですが、坊っちゃまの世界では、みんなで考え生きていく世界なのですね」
「うん。たしかに僕は子供だから、親のいうことは聞かないといけないけど、相談くらいはあるし……今回は僕のこの力のせいで起こった事なんだよ?僕だってみんなに迷惑かけたくないとか、いろんなこと考えてて、でも、何かを僕が話す前にすべてが決まってて。それが僕は嫌だったの」
「そうでしたか。ですが、お館様も頑固ですから、お聞き入れくださるかどうか……」
「重次さん、この浮遊城は出入りは簡単に出来るの?」
「いえ、無理です。私も帰る時には那智様に連れ帰ってもらわねばならないほどですし、簡単に来れる場所でもありません」
「そっか……」
「坊っちゃま?」
話していたら冬弥が「やはりここでしたか」と隣に腰を下ろしてくる。
「雪翔が怒るのも無理はありません。最初は私も反対したんですから。前にもあったでしょう?勝手に決めないでくれと。ですが、父上なりに雪翔が心配なんですよ」
「わかってる。でもずっとここにいるのは嫌だ」
「ですがまたあちらで何かあったらと思うと、私も昴さんもこれ以上反対できません」
見てて。と冬弥に言って車椅子に仕込んだ五芒星を発動させる。
「冬弥さん、なんでもいいから攻撃してみて。石投げるだけでもいいから」
「む、息子にそんなこと出来ません!」
「大丈夫だから!お願い」
そばにあった石を車椅子目がけて投げてもらうと、コンという音とともに落ち、小さな光の玉を足元に投げられたがそれも通過せず、少し考えたのだろうが、いくつもの光の玉を飛ばしたあと、重次を投げてきたが、それでも微動だにしない。
五芒星をとき、「これでも……僕が非力で守られるだけの子供だっていうならここに居てもいい。でも、少しでも認めてくれるなら、冬休みが終わったら帰らせてほしい。なんでも相談しようって、話をしようって言ったのは嘘だったの?」
「雪翔、いつの間に……」
「手加減してくれることはわかってたんだ。僕も長くあの状態でいられないし逃げられないから、白や黒の力を借りないといけないし。護法童子や金達、僕が認めた人はこの中に入れるし干渉できるみたい。まだそこまでしか分かってないけど」
「一つ聞きます。護衛は付けてもいいんですよね?」
「嫌だって言ってもつけるくせに」
「みんなに話してきます。もちろん那智や四社の狐は護衛は構わないが、雪翔のためにならないとごねてましたから、なんとかなると思います。これだけは覚えておいてください。雪翔を不自由にしようとか、そんなことは考えてません。父上なりの守り方なんです。雪翔は普通に暮らしたいだけなんですよね?」
「うん」
「ただ、あっかんべーは胡蝶さんたちには刺激が強すぎたようです。後で謝らないといけませんよ?」
「はい。でも、お爺ちゃんが許してくれるまで家に帰らないからね!」
「そういうと思いました。重次、この滝から右にまっすぐ進むと、小さな家があります。何も置いてはなかったので、本しか置いてありませんが、布団もありますし、小さい流しもありますから今夜はそこで。飲み物などは置いてありますから」
そう言いながら懐から薬を出して持たせてくれる。
「明日は大晦日のお祭りです。みんなで行きましょうね」
「大丈夫なの?僕、やっぱりワガママ言ったんじゃ……」
グシャグシャと頭を撫でられ、それでいいと言われ、冬弥と別れる。
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