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残ったのは京弥・夏樹・三郎と四郎・周太郎・昴に冬弥。
「さてと。玲、あなたはうちの兄と夏樹さんを守ってください。得意でしょう?」
「もうバレてるしな」
「三郎と四郎はこのあたりの社狐を確認して、社に戻してあげてください。その後は一旦家に戻ってみんなを守ってください」
「周太郎、戻りますか?」
「わわ私は坊ちゃんの側におります!」
「二人は無理はしないこと。昴さん、私は雪翔と社の内外を調べますから、周辺を頼みます。合流はここでいいですか?」
任せとけという言葉と共にみんなが動き出したので、危険じゃないのかと冬弥に言うも、これだけの人混みで、早々に術を使っては来ないだろうと、外の壁から調べ始める。
「この社も古いですから、隠し通路とか昔はあったみたいですよ?」
「だったらそこにいるってことは無いの?」
「無いでしょうねぇ。ただ、秋彪の性格だとすべての通路を知っていてもおかしくないんですけど、一つだけこの社には入れない通路があるんです」
「なんで冬弥さんが知ってるの?」
「秋彪が来るまで、色々とこのあたりを調べてましたから。うちの社の地下に、いつ出来たのかわからない通路がありましてね、その先も通れないんですよ。横の脇道はいくつか繋がっていて、この近くにも出れるので、中とも繋がってます。冬も南も同じでした。今からその開かなかった通路の入口に行きます」
一旦社の周辺を周り、何も無いと確認してからこっそりと本殿の横の扉から中に入る。
中は、本殿の真下に当たるようで、色々とものが置いてあり、なにかの祭事に使うのであろう小物から、掃除用具に至るまで様々整理されておいてあり、奥に置いてある棚を冬弥と周太郎で動かすと下に降りる床下収納のような扉が出てきた。
「ここから入るの?」
「ここの事くらいは宮司も知ってると思いますよ?だから棚で隠してあってんでしょうし。後で直しておけばいいでしょう。はい!」
「え?やだ……」
冬弥がしゃがみ、おんぶの格好をしたので、嫌だと言ったが、自力では降りるすべがない……
「雪翔、ヤダじゃなくてですね、結構奥深いんでせめてぶら下がってもらわないと。周太郎ではガタイが大きいので無理でしょう?」
「うう……」
仕方なく冬弥の肩に掴まって、おんぶをしてもらい、下に続く階段を降りていく。
おぶさっていても急な坂になっていることはわかるため、なるべく動かないように注意するが、冬弥も背が高いので、上の梁の部分にたまに頭をぶつけて、「痛っ!狭いっ!」と文句を言いながら降り、下についてやっと車椅子に戻された時には、冬弥の手から狐火がいくつも出ていた。
「藍狐、明かりを頼みます」
「はいな」
いくつもあった狐火が一つになり、藍狐の持つ提灯の中に収まると、電気がついたように明るくなり足元を照らしてくれる。
「ここまでは普通に通路なんですけど、進めない所まで行くと、狐の国に行くような岩戸の形になってるんです。まずそこまで行きましょうか。周太郎、怖くなったらいつでも言ってくださいよ?」
「冬弥様!私も三郎たちに習って稽古をしてきました。ちゃんと坊ちゃんを守ります。それに怖くなんてありません」
「心強いです。ですが、逃げろと言われたら、雪翔を置いてでも逃げなさい」
「へ?坊ちゃんを置いてですか?」
「そうです。雪翔は冷静にしていれば、護法童子や金や銀が守ってくれます。しかし、周太郎は戦えても自分を守るすべがありません。私達が守りきれない場合もあります」
「それじゃあタダの役立たずになってしまいます」
「そんなことはありません。周太郎の役目はみんなに知らせること。とても大事な役目です。勿論、雪翔を連れて逃げるのが一番ですけど、周太郎、お前は自分を犠牲にしてまで雪翔を守ろうとするでしょう?それは認めません。必ず誰かに知らせなさい」
「分かりました」
「さてと。玲、あなたはうちの兄と夏樹さんを守ってください。得意でしょう?」
「もうバレてるしな」
「三郎と四郎はこのあたりの社狐を確認して、社に戻してあげてください。その後は一旦家に戻ってみんなを守ってください」
「周太郎、戻りますか?」
「わわ私は坊ちゃんの側におります!」
「二人は無理はしないこと。昴さん、私は雪翔と社の内外を調べますから、周辺を頼みます。合流はここでいいですか?」
任せとけという言葉と共にみんなが動き出したので、危険じゃないのかと冬弥に言うも、これだけの人混みで、早々に術を使っては来ないだろうと、外の壁から調べ始める。
「この社も古いですから、隠し通路とか昔はあったみたいですよ?」
「だったらそこにいるってことは無いの?」
「無いでしょうねぇ。ただ、秋彪の性格だとすべての通路を知っていてもおかしくないんですけど、一つだけこの社には入れない通路があるんです」
「なんで冬弥さんが知ってるの?」
「秋彪が来るまで、色々とこのあたりを調べてましたから。うちの社の地下に、いつ出来たのかわからない通路がありましてね、その先も通れないんですよ。横の脇道はいくつか繋がっていて、この近くにも出れるので、中とも繋がってます。冬も南も同じでした。今からその開かなかった通路の入口に行きます」
一旦社の周辺を周り、何も無いと確認してからこっそりと本殿の横の扉から中に入る。
中は、本殿の真下に当たるようで、色々とものが置いてあり、なにかの祭事に使うのであろう小物から、掃除用具に至るまで様々整理されておいてあり、奥に置いてある棚を冬弥と周太郎で動かすと下に降りる床下収納のような扉が出てきた。
「ここから入るの?」
「ここの事くらいは宮司も知ってると思いますよ?だから棚で隠してあってんでしょうし。後で直しておけばいいでしょう。はい!」
「え?やだ……」
冬弥がしゃがみ、おんぶの格好をしたので、嫌だと言ったが、自力では降りるすべがない……
「雪翔、ヤダじゃなくてですね、結構奥深いんでせめてぶら下がってもらわないと。周太郎ではガタイが大きいので無理でしょう?」
「うう……」
仕方なく冬弥の肩に掴まって、おんぶをしてもらい、下に続く階段を降りていく。
おぶさっていても急な坂になっていることはわかるため、なるべく動かないように注意するが、冬弥も背が高いので、上の梁の部分にたまに頭をぶつけて、「痛っ!狭いっ!」と文句を言いながら降り、下についてやっと車椅子に戻された時には、冬弥の手から狐火がいくつも出ていた。
「藍狐、明かりを頼みます」
「はいな」
いくつもあった狐火が一つになり、藍狐の持つ提灯の中に収まると、電気がついたように明るくなり足元を照らしてくれる。
「ここまでは普通に通路なんですけど、進めない所まで行くと、狐の国に行くような岩戸の形になってるんです。まずそこまで行きましょうか。周太郎、怖くなったらいつでも言ってくださいよ?」
「冬弥様!私も三郎たちに習って稽古をしてきました。ちゃんと坊ちゃんを守ります。それに怖くなんてありません」
「心強いです。ですが、逃げろと言われたら、雪翔を置いてでも逃げなさい」
「へ?坊ちゃんを置いてですか?」
「そうです。雪翔は冷静にしていれば、護法童子や金や銀が守ってくれます。しかし、周太郎は戦えても自分を守るすべがありません。私達が守りきれない場合もあります」
「それじゃあタダの役立たずになってしまいます」
「そんなことはありません。周太郎の役目はみんなに知らせること。とても大事な役目です。勿論、雪翔を連れて逃げるのが一番ですけど、周太郎、お前は自分を犠牲にしてまで雪翔を守ろうとするでしょう?それは認めません。必ず誰かに知らせなさい」
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