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「凄い人だね」
「秋彪も大変だな。玲も手伝いに来てると思うんだが姿も見えないし、上にいるはずの秋彪も居ないし」
「普通はどこにいるの?」
「本殿の上か中だが気配もない」
「神輿の方に行ったとか?」
「有り得ん。冬弥も気づいてると思うんだが、それにしては連絡が無いし……」
「那智、ここは私で大丈夫です。すぐ冬弥と連絡を取りなさい。何かあれば狐をよこしてくれたいいので。雪翔は檪と白達がいつでも出られるように。航平君は那智が帰るまでは私がなんとかします。周太郎、雪翔を頼みますよ?」
京弥の采配で一旦社の裏手に回ることになり、人気のないところに移動すると、既に栞たちが待っていた。
「探してたの。今冬弥様が探しに行ったから入れ違いね」
「どうなってるの?」
「二人もいないんじゃ。何かあったと考えるのが普通じゃろう。ほかの社狐も至る所で倒れておった。その側にやはり木片があってのぅ」
「どうしよう。怪我とかしてないかな?」
しばらく待っていると、冬弥が玲も連れて戻ってきて全員が集まり、玲から何があったのか聞けることになった。
「せっかくの祭りなのに悪い」
「何があったの?」
「色々とあったから、祭りでは気を付けないとと周りの社狐にも見回りをしてもらってたんだが、基本的に秋は社から動けない。そこを狙われたんだ」
「まさか……」
「ああ、あの雪翔を連れてった奴だ」
「ですが、これだけの結界の中どうやって……」
「あの男の気がわからないから、全部を遮断することが出来なくて、ほかの狐たちに入口を見てもらってて、俺は秋のそばに居たんだ。祭りが始まって、宮司が祝詞をあげている最中、社狐がここを離れられないことを知ってたのか、その時に……連れていかれた」
「そんな……」
「何か言ってませんでしたか?」
「本と交換、洞窟には雪翔が一人で来ること。そうすれば解放すると」
「憎ったらしいやつじゃの!して、奴はどこに行ったんじゃ」
「それが、雪翔の時と同じようにいきなり黒い渦みたいなのが出てきて、その中に……」
「その空間、色々使い方があるようですねぇ」
「何を感心しとるんじゃ!早う行かんとあの小童が「分かってます!」」
「とにかく、祝詞の途中まではいたんだな?」
「居ました」
「なら、祭りの祈願は大丈夫だ。影は?」
「ついて行ってます」
昴の質問に玲が答え、そのまま栞や祖母は一旦自宅で待機という形になり、祖父が付き添う事になった。
「雪翔も帰してあげたいんですけど、あの男と一番接触が多かったのは雪翔です。何かこの社の辺りでおかしいと感じる場所があれば教えてください。三郎と四郎、周太郎は雪翔についてて下さい。航平は那智と兄上たちと一緒に戻りなさい」
「嫌です。雪翔が危険かもしれないのに帰れません」
「みんな付いてます。それぞれの役割を果たしましょう。航平、無理をしない程度に秋彪を探してください。あの術で」
「俺が?」
「そうですねぇ。那智、社の中に秋彪のものが何かあるはずですから、それを媒介に出来ませんかねぇ?」
「分からんが試して見よう。行くぞ航平!」
「でも……」
「でもじゃない。お前にしかできないだろ?少しでも手がかりが欲しいんだ。頼むからわがまま言わないでくれ」
「わかった……」
「那智と航平二人で平気ですよね?」
「自分の息子くらい守れる。行くぞ!」
「秋彪も大変だな。玲も手伝いに来てると思うんだが姿も見えないし、上にいるはずの秋彪も居ないし」
「普通はどこにいるの?」
「本殿の上か中だが気配もない」
「神輿の方に行ったとか?」
「有り得ん。冬弥も気づいてると思うんだが、それにしては連絡が無いし……」
「那智、ここは私で大丈夫です。すぐ冬弥と連絡を取りなさい。何かあれば狐をよこしてくれたいいので。雪翔は檪と白達がいつでも出られるように。航平君は那智が帰るまでは私がなんとかします。周太郎、雪翔を頼みますよ?」
京弥の采配で一旦社の裏手に回ることになり、人気のないところに移動すると、既に栞たちが待っていた。
「探してたの。今冬弥様が探しに行ったから入れ違いね」
「どうなってるの?」
「二人もいないんじゃ。何かあったと考えるのが普通じゃろう。ほかの社狐も至る所で倒れておった。その側にやはり木片があってのぅ」
「どうしよう。怪我とかしてないかな?」
しばらく待っていると、冬弥が玲も連れて戻ってきて全員が集まり、玲から何があったのか聞けることになった。
「せっかくの祭りなのに悪い」
「何があったの?」
「色々とあったから、祭りでは気を付けないとと周りの社狐にも見回りをしてもらってたんだが、基本的に秋は社から動けない。そこを狙われたんだ」
「まさか……」
「ああ、あの雪翔を連れてった奴だ」
「ですが、これだけの結界の中どうやって……」
「あの男の気がわからないから、全部を遮断することが出来なくて、ほかの狐たちに入口を見てもらってて、俺は秋のそばに居たんだ。祭りが始まって、宮司が祝詞をあげている最中、社狐がここを離れられないことを知ってたのか、その時に……連れていかれた」
「そんな……」
「何か言ってませんでしたか?」
「本と交換、洞窟には雪翔が一人で来ること。そうすれば解放すると」
「憎ったらしいやつじゃの!して、奴はどこに行ったんじゃ」
「それが、雪翔の時と同じようにいきなり黒い渦みたいなのが出てきて、その中に……」
「その空間、色々使い方があるようですねぇ」
「何を感心しとるんじゃ!早う行かんとあの小童が「分かってます!」」
「とにかく、祝詞の途中まではいたんだな?」
「居ました」
「なら、祭りの祈願は大丈夫だ。影は?」
「ついて行ってます」
昴の質問に玲が答え、そのまま栞や祖母は一旦自宅で待機という形になり、祖父が付き添う事になった。
「雪翔も帰してあげたいんですけど、あの男と一番接触が多かったのは雪翔です。何かこの社の辺りでおかしいと感じる場所があれば教えてください。三郎と四郎、周太郎は雪翔についてて下さい。航平は那智と兄上たちと一緒に戻りなさい」
「嫌です。雪翔が危険かもしれないのに帰れません」
「みんな付いてます。それぞれの役割を果たしましょう。航平、無理をしない程度に秋彪を探してください。あの術で」
「俺が?」
「そうですねぇ。那智、社の中に秋彪のものが何かあるはずですから、それを媒介に出来ませんかねぇ?」
「分からんが試して見よう。行くぞ航平!」
「でも……」
「でもじゃない。お前にしかできないだろ?少しでも手がかりが欲しいんだ。頼むからわがまま言わないでくれ」
「わかった……」
「那智と航平二人で平気ですよね?」
「自分の息子くらい守れる。行くぞ!」
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