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326話 アーリアside
しおりを挟むお母様が男性達と部屋に籠って3時間後。
私は、というと特にやることもないから部屋の中に閉じこもって、ただただボーっとしていたわ。
はぁ......気のせいかしら?
お父様とお母様が離婚してから、ため息をつく回数が物凄く増えた気がするわ。
お父様が家にいても話なんてしなかったし、お母様も普段と変わらない生活を送っているだけなのに、なぜなのかしら?
そんなことを思いながら、何度見ても変わらないのに机の引き出しを開けては閉めてを繰り返して、時間を潰していると、
「ちょっと!」
という声と共にバンッ!と大きな音を立てて急に部屋の扉が開いた。
これには驚いて、ビクッと体が大きく反応してしまったけど、お母様の前だということもあって、なるべく冷静に驚いてしまったことがバレないように声のした方に向きを変えた。
すると、そこにはあの下品な黒いドレスを脱いでタオルを体に巻き付けたお母様が立っていて、私のことを憎々しく睨みつけてきていたわ。
本当に貴族としてありえないわね。
例え家の中でもこんな格好で歩き回るなんて非常識すぎるわ。
そう思いながら、お母様が何を話しにきたのか、と言葉を待っていると、お母様は
「あんた、お母様である私に対して気持ち悪いって言ったわね」
私のことを睨みつけながら、そう言ったわ。
わざわざそれに対して文句を言いに来たのか、と思うとつい笑ってしまいそうになったけど、それと同時に、言ったからなんだろう、としか思わなかった私は、睨みつけて来るお母様に対して
「それがなに?本当に気持ちが悪いんだもの」
冷静に、淡々とした口調でそう言ってやったわ。
すると、そんな私の態度が気に食わなかったんでしょうね。
私の言葉に対してお母様は
「親に向かってその態度、あり得ないわ!」
まるで癇癪を起した子供のように地面をダンっと踏んでそう言ってきたわ。
はぁ........これが母親だと思うと本当に恥ずかしいわよね。
侯爵家に入り浸っていた頃はお母様のこんな姿を見ても何も思わなかったけど.......やっぱり1つ嫌なところが見えてしまうとダメなのかしら?
それとも、自分でも気付かないうちに、元々嫌だと思っていたけど見て見ぬ振りをしていた、とかそんな感じなのかしら?
なんて思いながら、怒っているお母様を冷静に、無感情で眺めていると
「お、奥様.........アーリア様........」
蚊の鳴く声のような、本当に小さな声で、扉の近くから私とお母様を呼ぶ声が聞えてきたわ。
この声に対して
「何よ!」
と叫ぶお母様を横目にメイドに視線を向けると、怒鳴られたことに対して涙目になりながらも
「そ、その.......役人がいらっしゃっています」
そう言って、私たちが何かを言う前に
「お、応接室に案内をしています!」
とだけ言い残してその場を後にしたわ。
きっと、お母様があまりにも不機嫌だったから長居したくなかったんでしょうね。
私でも、この面倒なお母様を早く追い出したいもの。
はぁ......なぜ役人が来たのかもわからないし.......なんだか面倒なことになるような気がしてきたわ。
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