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280話
しおりを挟むさて、その後の道中ですが、特に何の問題もなく国に戻ってくることが出来ました。
公爵家の領地を出てすぐの時は物凄く重たかった空気も、時間が経つにつれて普段通りに戻りましたし、今はとにかく早く家に帰りたい、という気持ちが前に出ている、という状況になっていますわ。
ただ、やっぱり領地がどうなっているのか、気になるところではありますわよね。
手紙の方では特に問題がない、と書いてありましたし大丈夫だと思っていますが、叔父様がどこまで出来ているのか.......。
叔父様よりも年齢が下の私が何を言うか、と思われるかもしれませんが、子爵家の状況を見ても私の方がマシな経営をしているとしか思えませんしね。
家に帰って仕事が大量に溜まっている、とかだったらどうしましょう.....。
そう思いながら、ジッと窓の外を眺めましたわ。
既に門が見えている門を抜けたら、我が家の領地に入るんですが、それまでの時間が長いようで短いような、なんだか不思議な気分になっていると、
「この領地を抜けたら侯爵家の領地に入りますね」
ユーリが独り言の方にポツリとそう呟きましたわ。
そんなユリの言葉に、今までボーっとしていたミリアとディアは一瞬ハッとしたような顔をしたかと思ったら、
「なんか思ったよりも早かったですね!やっと帰れるんだって気分が上がります!」
ディアは満面の笑みでそう言いましたわね。
きっと何も考えずに窓の外を眺めていたので、急に話しかけられて我に返ったんでしょう。
私もついさっきまでボーっとしていたので気持ちはわかりますわ。
なんて思いながら、ニコニコとしているディアの言葉に頷いていると、ミリアの方はディアの言葉に
「私はなぜかわからないけど緊張するわ。ここまで長くお屋敷から出たことがなかったからかしら?」
と言って首を傾げていますわね。
確かに、私も紀文が上がるというよりはミリアと同じような感じがしますわ。
緊張するといいますか.......自分でも表現しにくい感情なんですのよね。
そう思いながら3人のやり取りを眺めていると
「家の方はあの人達を追い出すことに成功したんですよね。あの人たちが勝手に雇った人達は解雇になっているんでしょうか?」
とディアがミリアに質問していますわね。
確か、私が聞いた話だとメイド長があの2人の雇ったメイドを育てている、とのことだったけど、ディアは聞いていなかったんでしょうか?
一緒に居るときに話したと思ったんですが.....。
「さぁ?根性を叩き直している、と手紙で書いていたから、自分から辞めない限りは家にいると思うけど......」
というミリアに対して、ユーリは
「でも、私はお嬢様に嫌がらせをしていた人と仕事したくないですよ」
そう言うと、私にどう思うのか、と言わんばかりに視線を向けてきましたわね。
嫌がらせ......まぁ、確かにあの2人に可愛がられていたメイドの行動は少し行き過ぎていたことがありましたわよね。
ただ、私も舐められないように毅然とした態度をとっていたら話は違ったかもしれませんし、調子に乗せてしまったあの2人が一番の原因です。
いきなり解雇にしても困るでしょうし、態度を改めてくれるのであれば解雇にはしなくていいと思っています。
なので、
「私からすると、あの人たちが命令していたんだろう、っていう気持ちもあるからなんとも言えないわ」
と言って苦笑すると、ユーリは不服そうにしていたとはいえ、それ以上は何も言ってきませんでしたわ。
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