私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ

榎夜

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281話

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うーん......まぁ、私のことを一番近くで見てきたユーリからするとあの2人と関わりのある人、ということ時点であまりいい印象は持てませんわよね。

私の方も、あのように言いましたが、まだあの2人と関りがあるのでは?と変に警戒してしまいますし、家に戻って今までと別人のように変わっていたとしても少し怖く感じてしまいますわ。

そう考えると、解雇というのが一番いいのかもしれませんが、そうすることによって職をなくし路頭に迷わせてしまうのもなんだか気分が悪いですわよね。

うーん.....子爵家の方で雇ってもらう、というのが一番いい解決策だと思うんですが、叔父様と離婚してしてしまった、とのことなので、我が家とは関係がなくなってしまいましたのよ。

なので、我が家のメイドを子爵家の方に、というのも難しくなってしまいましたのよね。

はぁ.....最初から最後まで余計なことしかしない人ですわ。

なんて思っていると、

「そろそろ門を抜けますよ」

という馬車の操縦をしているネイトの声が聞えてきましたわ。

門を抜ける、ということは我が家の領地に入る、ということですか.....。

なんだか楽しみのような、領民たちからどう言われるか怖いような.......凄く複雑な心境ですわね。



門を抜けると、すぐに領地の端の方に住んでいる人たちの家があるんですが、

「セリスティア様!おかえりなさい!」

と言って1人の女の子が馬車に駆け寄ってきてくれましたわ。

この馬車には家紋がついていなかったので、私が帰宅することを知っていなければ気付くわけがない、と思っていたんですが、カーテンを開けていたこともあって、意外にもそとから私の姿をハッキリと見ることが出来たみたいですわ。

その証拠に

「ただいまですわ」

と女の子に微笑んでいると、周りの領民も私が返ってきたことに気付いたらしく、馬車に近付いて来てくれましたもの。

ただ、あまりにも凄い勢いで馬車に駆け寄ってくるものなので、何か私に話したいことがあるのか、と戸惑ってしまいましたわ。

もしかして、陛下達が把握していなかっただけで領民たちの間では私が居ない間に問題が起こっていた、とか?

そうだとしたら、本当に申し訳ないですわよね。

なんて思いながら、とりあえず馬車の中から微笑みながら手を振って様子を窺っていると私の考えとは裏腹に領民たちは

「セリスティア様!良く帰ってきてくれました!」

「お待ちしてました!」

「おかえりなさいっ!」

と満面の笑みで私を迎え入れてくれているだけみたいですわ。

どうやら私が帰ってくるのを待っていてくれたみたいで、今までにないくらい凄く歓迎されているのがわかりますわ。

その様子に流石のユーリ達も

「な、なんだか皆凄く喜んでいますね」

「お嬢様が帰ってきたことがそんなに嬉しいんでしょうか?」

と驚いた顔をして外の様子を見ていますわ。

ネイトの方からは、というと

「す、すみませんっ!流石に馬車を動かせないですっ」

という慌てた声が聞えてきますわね。

まぁ、ここまで大人数の領民に囲まれるとは誰も思っていませんでしたし、驚くのも無理はありませんわ。

ただ、なぜ領民たちはこんなにも出迎えてくれたのか不思議で仕方がありませんけどね。

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