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279話 レオンハルトside
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正直、僕たちの知っているユースティン様というのは、礼儀正しくて気が利いて、皆に平等で優秀、という令嬢として完璧なものだった。
あぁ、もちろん上には上がいるもので一番優秀なのは次期王妃であるシャリア様だけどね?
ただ、令嬢の中でも上位にいるのは確かだったからこそ、コルストン公爵の言葉には驚いてしまった。
いや.....よく考えてみると、ユースティン様とは幼馴染とはいえ、詳しくは知らないんだよね。
好きな食べ物、花、色、どれか1つでもわかっていないとおかしいくらい長い付き合いだというのにパッと頭に浮かんでこないというのを考えると、僕とユースティン様の付き合いというのは長いだけで物凄く薄いものなんだ、と改めて思ったよ。
だからこそ、セリスティア様に危害を加えてまで僕の婚約者になろうとしているユースティン様のことが余計に理解が出来ないんだけど.......。
なんだか表の顔よりも先に裏の顔を知ってしまった気分だよね。
なんて思いながら、公爵たちの会話に耳を傾けると
「とにかく、こうなってしまってから悔いても仕方がない。絶縁すると決めたのなら私も止めないし、陛下にもそう報告をしよう」
そう言った公爵は、ユースティン様に処罰が下ることが確定したからなのか、最初の時よりも上機嫌になっているようにも思えた。
隣に座る夫人もニコニコと微笑んでいるのは変わらないが、最初とは雰囲気が全く違うし、ブレイド様も普段通りの笑みに戻っているし.......気付いた時には最初のあの居づらい空気はなくなっていて、なんだかホッとしてしまった。
それはコルストン公爵たちも同じことを思ったらしく、今までは遠慮気味に、顔色を窺うように公爵たちに話しかけていたが
「それで、捕らえた従者たちのことだが.....」
と言ったコルストン公爵は普段パーティーで見るような堂々としたものに戻っていたし、顔色が物凄く悪かったコルストン公爵夫人も今では随分と良い顔色になっていた。
はぁ......ずっと最悪な雰囲気だったから、これで多少は話もしやくすなったでしょう。
なんて思いながら、何かを発することなく黙って公爵たちの話に耳を傾けていると
「あぁ、ユースティン嬢に命令されて仕方なく行動した3人だろう?」
「全てユースティンが悪いんだ。あの3人は仕方なく聞いただけで......どうか、重たい処罰を下すのは勘弁してくれないだろうか?」
そう言ったコルストン公爵は、申し訳なさそうな顔をしているせいもあってか、縋るようなそんな目で公爵のことを見ていた。
そんなコルストン公爵に対して公爵よりも先に夫人の方が
「私としては首謀者には大した処罰がないと思っていたのに絶縁されて平民になったんだから、あの3人はそこまで重たい処罰にしなくていいと思うのだけど」
とコルストン公爵の頼みに対して賛同するようにそう言うと
「それは私も同感だが、我々が全てを決めるわけにもいかないだろう。なるべく軽いものになるようお願いはするが最終的に決めるのは陛下だ」
公爵はそう言って苦笑した。
きっと公爵としても出来ることならコルストン公爵のお願いを聞いてあげたいところだけど、そうもいかない、という複雑な心境なんだろうね。
それはコルストン公爵もわかっているみたいで
「わかっている。陛下に言ってくれるだけでいいんだ」
と申し訳なさそうにしながらも、公爵の言葉に頷いていた。
あぁ、もちろん上には上がいるもので一番優秀なのは次期王妃であるシャリア様だけどね?
ただ、令嬢の中でも上位にいるのは確かだったからこそ、コルストン公爵の言葉には驚いてしまった。
いや.....よく考えてみると、ユースティン様とは幼馴染とはいえ、詳しくは知らないんだよね。
好きな食べ物、花、色、どれか1つでもわかっていないとおかしいくらい長い付き合いだというのにパッと頭に浮かんでこないというのを考えると、僕とユースティン様の付き合いというのは長いだけで物凄く薄いものなんだ、と改めて思ったよ。
だからこそ、セリスティア様に危害を加えてまで僕の婚約者になろうとしているユースティン様のことが余計に理解が出来ないんだけど.......。
なんだか表の顔よりも先に裏の顔を知ってしまった気分だよね。
なんて思いながら、公爵たちの会話に耳を傾けると
「とにかく、こうなってしまってから悔いても仕方がない。絶縁すると決めたのなら私も止めないし、陛下にもそう報告をしよう」
そう言った公爵は、ユースティン様に処罰が下ることが確定したからなのか、最初の時よりも上機嫌になっているようにも思えた。
隣に座る夫人もニコニコと微笑んでいるのは変わらないが、最初とは雰囲気が全く違うし、ブレイド様も普段通りの笑みに戻っているし.......気付いた時には最初のあの居づらい空気はなくなっていて、なんだかホッとしてしまった。
それはコルストン公爵たちも同じことを思ったらしく、今までは遠慮気味に、顔色を窺うように公爵たちに話しかけていたが
「それで、捕らえた従者たちのことだが.....」
と言ったコルストン公爵は普段パーティーで見るような堂々としたものに戻っていたし、顔色が物凄く悪かったコルストン公爵夫人も今では随分と良い顔色になっていた。
はぁ......ずっと最悪な雰囲気だったから、これで多少は話もしやくすなったでしょう。
なんて思いながら、何かを発することなく黙って公爵たちの話に耳を傾けていると
「あぁ、ユースティン嬢に命令されて仕方なく行動した3人だろう?」
「全てユースティンが悪いんだ。あの3人は仕方なく聞いただけで......どうか、重たい処罰を下すのは勘弁してくれないだろうか?」
そう言ったコルストン公爵は、申し訳なさそうな顔をしているせいもあってか、縋るようなそんな目で公爵のことを見ていた。
そんなコルストン公爵に対して公爵よりも先に夫人の方が
「私としては首謀者には大した処罰がないと思っていたのに絶縁されて平民になったんだから、あの3人はそこまで重たい処罰にしなくていいと思うのだけど」
とコルストン公爵の頼みに対して賛同するようにそう言うと
「それは私も同感だが、我々が全てを決めるわけにもいかないだろう。なるべく軽いものになるようお願いはするが最終的に決めるのは陛下だ」
公爵はそう言って苦笑した。
きっと公爵としても出来ることならコルストン公爵のお願いを聞いてあげたいところだけど、そうもいかない、という複雑な心境なんだろうね。
それはコルストン公爵もわかっているみたいで
「わかっている。陛下に言ってくれるだけでいいんだ」
と申し訳なさそうにしながらも、公爵の言葉に頷いていた。
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