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229話 アーリアside

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あまりにも冷たい声に、頭がついてこなくて

「へ?」

と間抜けな声を出す私に、お父様は追い打ちをかけるかのように

「陛下には既に了承してもらっているし、今回のことは全て報告済みだ」

さっきと同様に淡々とした口調で、そう言ってきたわ。

え、えーっと.......陛下には既に了承を、って.......お父様はずっと家にいたはずよね!?

それなのに、いつそんな時間があった、っていうのよ!

しかも、今回のこと、って?

一体どのことを指しているのかわからないけど、お父様が報告をした、ということはお母様関係のこと?

色々とわからないことばかりで、呆然としていると、お父様は

「とはいえ、アーリアはこの家の後継者だからな。本当は経営のことについて教えてからにしたかったが、お前はいつまで経っても愚行を辞めようとしない。もう限界だ」

大きくため息をつきながらそう言ってきたんだけど、まるで私のことを諦めている、というか.......見捨てたかのような、そんな話し方をしているけど.......。

いや、そんなわけがないわよね?

実の娘に対して、厳しくしないと、と思って普段よりも少し強い口調で言っているだけよ。

そう思った私は、冷たい視線を向けるお父様に

「で、でもお父様......私はお父様の娘だし、まだ婚約者が居ないのに投げ出されても.......」

恐る恐る、そう声をかけたわ。

だって、今から婚約者の用意をしてもらおうと思っていたのは事実だし.....ほら、お父様だって、娘がいつまで経っても結婚しない、っていうのは心配になるでしょう?

だから離婚するとしても、最後に親の務めとして私の婚約者くらいはどうにかしてくれるはずよ。

そう思いながら、縋るような気持ちでお父様を見つめていると

「婚約者?」

私の言葉にただただ一言そう呟いたお父様だったけど、その目は完全に怒っている目をしていて、恐怖のあまり言葉を失ってしまったわ。

そんな私に気付いているのに、構うことなく

「今まで散々自分の母親のように男漁りをしては他の人に迷惑をかけて、まだ婚約者が、などと話すのか?」

そう言ったお父様は完全に怒っていて、このタイミングで婚約者の話を出してしまった数秒前の自分に怒りたくなったけど、言ってしまったんだもの。

取り消すことも出来ないし、ここはなんとか婚約者を用意する、という方向に持って行くしか切り抜ける方法もないわ。

ただ、そうは言ってもこれほどまで怒っているお父様を見るのは初めてだし、どうしたらいいのか、も分からない私は

「め、迷惑なんて......私はただ........」

と言うのが精一杯なのよね。

ただ、男漁りをしている、なんてあまりにも失礼だとは思わない?

私は、ただ自分の婚約者を探していただけで、そもそもお父様が最初から婚約者を用意してくれたらこんなことにならなかったのよ。

それなのに、全て私のせい、みたいな話し方をして........納得が出来ないわ!

そう思った私は何か言ってやろうと、お父様の顔をジッと見つめた。

でも、お父様の

「もうお前たち2人の尻拭いをするのはうんざりだ。こうなったのも、何度も注意したのに変わらなかった自分たちのせいだ」

という言葉と、その時の顔を見て怒りたくて仕方がなかったはずなのに一気にその怒りが引いて行ったわ。
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