私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ

榎夜

文字の大きさ
143 / 344

142話 義父side

しおりを挟む


俺の質問に対して、女たちはどのような答えが来るか想像していたんだろう。

悩むことなく

「そりゃあ、決まっています。お金が欲しいから、ですよ」

という返事が返ってきた。

ただ、金が欲しい、なんて答えを聞いてもやはり納得できるわけがない。

だって、金のことなら別に家の金を大量に使っているじゃないか。

それも俺が知らないうちにな。

なのに、まだ他にも金が必要だというのか?

そう思った俺は、女の言葉に思わず眉を顰めながら

「なんだと......?」

と呟くと

「領主様は知らないと思いますが、夫人は自分で家を持っているんですよ。それもバレないように、とお屋敷からだいぶ離れた領地の端の方に」

そう言った女はホールの窓から家が見えるのか、とある方向に視線を向けた。

視線の先にあるのは、とある平屋でユーミアが絶対に好まない外観をしていた。

これは.....もしこの話が本当だとしても、ユーミアがあの家にいるとは思わないだろうな。

だって、家の周りには何かの植物のツタが巻き付いていて、相当古い作りをしている、というのもあるしぱっと見、物凄く不気味だ。

正直あの家にいることが出来るなら子爵家が狭くて古い、と文句を言うのがあり得ないほど酷い外観をしている。

だからこそ、女の言っていることは本当だ、というのは伝わってくるんだがなかなか理解することが出来なくて、何を言うか言葉に詰まらせていると

「前に様子を見るために家の中を覗きましたが、家具は新しいものばかりでしたし食料も沢山ありました。きっと家のお金を使うと領主様にバレてしまうので私たちから搾取しているんだと思います」

隣で話を聞いていた女が補足するかのようにそう付け足してきたではないか。

えーっと......?つまりは内装と外観では全く違う、ということ.....だよな?

そして、その家具や食料は全て平民から奪い取っていったもの、またはそれを売って新しく購入したものだ、と。

そのようなふざけたことを領主の妻がしていたとは.......。

そう思った俺は、女たちの訴えに

「なんということだ..........」

と言うのが精一杯だった。

いや、それ以外に言うことがでいなかった、というのが正しいな。

本当に知らなかった、というのもあるが、平民の半数ほどが税金を払えない、と聞いて何も調べなかった俺も悪い。

まさか自分の妻が関係していたとは......。

思わず膝から崩れ落ちそうになるがグッと足に力を入れて下を向いている俺に、代表で話をしている女は

「その様子だと本当に何も知らなかったんですね」

意外そうな反応を示したが、当然じゃないか。

知っていたらもう少し奴の暴走を止めていたし、ここまで領地経営が圧迫されなかったんだ。

そう考えると自分のことしか考えていないユーミアの行動に怒りがこみ上げてきて、何かを思いっきり殴りたい衝動にかられた。

だが、今は領民たちがいるんだ。

そんなことをするわけにはいかないな。

とりあえず、

「あぁ........すまない」

とは言ったが、これからどのように対応するべきか......。

くそっ......面倒事ばかり俺に押し付けてきやがって!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

幼馴染の婚約者を馬鹿にした勘違い女の末路

今川幸乃
恋愛
ローラ・ケレットは幼馴染のクレアとパーティーに参加していた。 すると突然、厄介令嬢として名高いジュリーに絡まれ、ひたすら金持ち自慢をされる。 ローラは黙って堪えていたが、純粋なクレアはついぽろっとジュリーのドレスにケチをつけてしまう。 それを聞いたローラは顔を真っ赤にし、今度はクレアの婚約者を馬鹿にし始める。 そしてジュリー自身は貴公子と名高いアイザックという男と結ばれていると自慢を始めるが、騒ぎを聞きつけたアイザック本人が現れ…… ※短い……はず

夫の妹に財産を勝手に使われているらしいので、第三王子に全財産を寄付してみた

今川幸乃
恋愛
ローザン公爵家の跡継ぎオリバーの元に嫁いだレイラは若くして父が死んだため、実家の財産をすでにある程度相続していた。 レイラとオリバーは穏やかな新婚生活を送っていたが、なぜかオリバーは妹のエミリーが欲しがるものを何でも買ってあげている。 不審に思ったレイラが調べてみると、何とオリバーはレイラの財産を勝手に売り払ってそのお金でエミリーの欲しいものを買っていた。 レイラは実家を継いだ兄に相談し、自分に敵対する者には容赦しない”冷血王子”と恐れられるクルス第三王子に全財産を寄付することにする。 それでもオリバーはレイラの財産でエミリーに物を買い与え続けたが、自分に寄付された財産を勝手に売り払われたクルスは激怒し…… ※短め

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

(完)そんなに妹が大事なの?と彼に言おうとしたら・・・

青空一夏
恋愛
デートのたびに、病弱な妹を優先する彼に文句を言おうとしたけれど・・・

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

処理中です...