私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ

榎夜

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143話 義父side

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とりあえず、ユーミアが帰宅した瞬間捕まえて、今回の件はしっかりと問いただして今後の判断をする、ということで、この話は終わった。

本当なら取られたものを全て返す、と言いたいところだが、今の俺には奪われたものを全て準備出来る気がしなかったからな。

はぁ.......まぁ、とりあえず、ユーミアには慰謝料の支払いとか言う理由で、どこかの領地で働いてもらうとしよう。

そう思いながら、女たちの話は終わった、と判断した俺は、壇の上から降りようとスッと膝をついた。

だが、そんな俺にまだ他にも言いたいことがあるらしく、今度は別の女が

「すみません!もう1つお伝えしたいことがあります!」

と手を上げているのが見えてしまった。

正直、ユーミアの話だけで相当精神的にやられてしまったし、勘弁してくれ、と思うんだが.....。

そう思って女たちの方を見たが、皆今がチャンスだ!と言わんばかりに手を上げて目をキラキラと輝かせていた。

はぁ.....まだまだ戻ることは出来ない、ということか。

そうか覚悟を決めた俺は次に手を上げた女に

「なんだ?」

を質問をした。

すると、ユーミアの時は鈍い反応しかしていなかった人達が、交代したかのように

「それからお嬢様の方も相当暴走していますよ。私の家に押し掛けてきたと思ったらうちの息子と結婚させて欲しいと急に言われましたし、相手がいるからと断ったら暴言を吐かれました」

「それ、私もです!」

「私も!昨日お嬢様が家にきました!」

と一気に俺に言って来たではないか。

え、えーっと......?

なんだ?ユーミアは平民の既婚男性を漁っていて、その娘は独身の息子に声をかけている、ということか?

はぁ.......なぜ我が家の評判を下げる様なことばかりしているんだ!?

俺が必死に領地を立て直すために頑張っているのはあいつらもわかっていることだろう!?

それなのに、足を引っ張ることばかり....。

そう思った俺は、流石に苛立つ気持ちを我慢することが出来なかった。

その気持ちを領民の前だから、と無理やり抑え込んで、黙り込んだ俺を見ている女たちに

「今の話も全て本当なんだな?」

と念のために確認をしてみた。

あぁ、もちろん疑っている、というわけではなく、本当かどうか、の確認だけしたかっただけだ。

自分なりに覚悟を決めるため、みたいなものだな。

なんて思っていると、女たちは俺の目をしっかりと見ながら

「はいっ!もし信じられないのであれば、今日も家にやってきて怒鳴られましたし、明日も来ると思います」

「夫人の方もあの家にいるでしょうし、もし疑うのであれば案内します」

ハッキリとした口調でそう言ってきた。

.......俺も悩んでいたがこれは覚悟を決めないとだめなのかもしれないな。

なんて思いながら

「いや、そこまではしなくて大丈夫だ。教えてくれて感謝する」

そう言うと、俺が話を信じた、と判断したんだろう。

女たちはホッとした顔をして、一歩後ろへと下がったではないか。

そんな光景を見ながらも一応、最後に

「他には何か言うことがあるか?」

と質問してみたが、30人がこの2つの話の為だけに屋敷に来ていたみたいで、他に前に出てくる人はいなかった。

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