私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ

榎夜

文字の大きさ
116 / 344

115話 カインside

しおりを挟む
セリスティア嬢が隣国に行ってから、早くも4ヶ月が経過した。

これほどまで時間が経つと、今では

「どこへ行ってしまったのか」

という疑問よりも

「セリスティア嬢は戻ってくるのか」

の方に皆の興味が移っているらしく、様々な憶測が学園で飛び交っていた。

まぁ、そうはいっても領地が残っているからな。

最終的には、領地が国に返還されたら戻って来ない、ということで皆考えることをやめている、というのが今の現状だな。

そう思いながら、今日も生徒たちの会話を盗み聞きしながらエリザベートとのお茶を楽しんでいた。

盗み聞きなんて趣味が悪い、と思われるかもしれないが、これも貴族たちの間で今話題に上がっていることは何か、しっかりと把握しておくために必要なことだ。

好き好んでしているわけではないから勘違いしないで欲しい。

なんて思っていると、優雅にお茶を飲んでいたエリザベートが

「セリスティア様から手紙は届いていますの?」

と目をキラキラさせて聞いてきた。

なぜかわからないが、エリザベートはセリスティア嬢のことを気に入っているんだよな......。

もしかしたら、何か似ているものを感じたのかもしれないが、それにしても少し嫉妬してしまうくらいには名前を出してくる。

だから言うか言わないか、一瞬悩んだが、黙っていてもバレたら拗ねてしまうことはわかっているから

「あぁ、届いている。そういえば、つい最近婚約したと手紙に書いてあったな」

とつい最近届いた手紙のことを話した。

それを聞いたエリザベートは

「まぁ!それは喜ばしいですわね。戻ってきたらお祝いをしないとですわ!」

まるで自分のことのように喜んでいるが.......一応2人は一度しか話したことがないくらい関係が薄いんだぞ?

それなのに、この反応......少しおかしいとは思わないか?

まぁ、俺としても婚約が決まった、という手紙が届いたとき父上と一緒に喜んだから、あまり人のことは言えないかもしれないが......。

なんて思いながら

「相手は隣国の公爵子息らしいからな。あのバカたちも下手に手を出すことは出来ないだろう」

そう言ってニヤッと笑うと、

「とはいえ、家に乗り込んできた......とかがあったら、また面倒なことになりますわよ?」

本気で心配しているんだろうな。

物凄く不安そうな顔をしながらそう言ってきたではないか。

気持ちは物凄くわかるし、俺も同じことを思ったから不安なのもわかる。

だが

「俺もそう思ったんだが、どうやら婚姻するまでは離れて暮らす、ということで相手もセリスティア嬢も納得しているらしい」

と答えると、エリザベートはホッとした顔をして胸を撫で下ろしていた。

「まぁ、後2ヶ月ほどで戻ってくるんだ。それから3ヶ月で卒業。それと同時に婚姻すればどうにかなるだろう」

そう言って話を締めくくると、エリザベートは何度も頷いて、嬉しそうにお茶を口に含んでいた。

後2ヶ月、か。

一応不安に思っていたことは解決に向かっていると思ってはいるが........まぁ、1人だけ面倒な男がいるからどうにかしておく必要があるよな。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

幼馴染の婚約者を馬鹿にした勘違い女の末路

今川幸乃
恋愛
ローラ・ケレットは幼馴染のクレアとパーティーに参加していた。 すると突然、厄介令嬢として名高いジュリーに絡まれ、ひたすら金持ち自慢をされる。 ローラは黙って堪えていたが、純粋なクレアはついぽろっとジュリーのドレスにケチをつけてしまう。 それを聞いたローラは顔を真っ赤にし、今度はクレアの婚約者を馬鹿にし始める。 そしてジュリー自身は貴公子と名高いアイザックという男と結ばれていると自慢を始めるが、騒ぎを聞きつけたアイザック本人が現れ…… ※短い……はず

夫の妹に財産を勝手に使われているらしいので、第三王子に全財産を寄付してみた

今川幸乃
恋愛
ローザン公爵家の跡継ぎオリバーの元に嫁いだレイラは若くして父が死んだため、実家の財産をすでにある程度相続していた。 レイラとオリバーは穏やかな新婚生活を送っていたが、なぜかオリバーは妹のエミリーが欲しがるものを何でも買ってあげている。 不審に思ったレイラが調べてみると、何とオリバーはレイラの財産を勝手に売り払ってそのお金でエミリーの欲しいものを買っていた。 レイラは実家を継いだ兄に相談し、自分に敵対する者には容赦しない”冷血王子”と恐れられるクルス第三王子に全財産を寄付することにする。 それでもオリバーはレイラの財産でエミリーに物を買い与え続けたが、自分に寄付された財産を勝手に売り払われたクルスは激怒し…… ※短め

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

(完)そんなに妹が大事なの?と彼に言おうとしたら・・・

青空一夏
恋愛
デートのたびに、病弱な妹を優先する彼に文句を言おうとしたけれど・・・

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

処理中です...