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98話
しおりを挟むカティ様からの質問攻めのようなものにあいながらも、なんとか馬車に乗り込んだ私は、改めてさっき言われたカティ様の言葉を思い出していましたわ。
あの優しいレオンハルト様が令嬢をこっ酷く振る、ですか......。
想像してみましたが、カティ様の言う通りの人だとはやっぱり思えませんわ。
だって、どちらかというとレオンハルト様は穏やかで人に対して強く言えない、というようなイメージを持ちましたもの。
ただ、カティ様の言っていることがもし本当だとしたら........結婚してから裏の顔が見える、とかそういうことではありませんわよね?
そう思った私は、レオンハルト様と婚約が出来て嬉しい、と思っていた気持ちが急に冷めていくような気がしましたわ。
そんな私を見て、ユーリは
「お嬢様...........」
と小さく呟くだけですし.....。
ユーリもさっきの話は驚きですわよね。
なんて思っていると
「き、きっと、その令嬢があまりにもレオンハルト様に対して失礼なことを言ったんじゃないでしょうか?」
そう私の声をかけてきたユーリは無理をして明るく振舞おうとしているのが伝わってきますわ。
だって、その証拠と言わんばかりに表情が引きつっていますもの。
まぁ、私のことを気遣って、のことなんでしょうけど.....それはわかっていますが、気分が落ちてしまった、ということもあって
「失礼なことって、例えば......?」
とユーリに聞いてしまいましたわ。
こんなの、ユーリ側からすると知らないです!って話ですわよね。
ですが、無意識にぽろっとそんな言葉が出てしまいましたの。
案の定、私にそんなことを言われると思っていなかったユーリは
「え、えーっと......それは、そのー........」
と戸惑っていますしね。
はぁ.......レオンハルト様のことを良いな、と思っていた分、ショックが大きいですわ。
なんて思っていると、私の言葉に考え込んで黙っていたユーリが
「あ、ほら、その年齢で婚約者が居ないなんて可哀そうね、みたいなことじゃないですかね?」
やっとのことで捻りだした言葉を言ってきましたが、思わず
「そうだとしても、状況によって人が傷つくことを平然と言ってしまう、ということでしょう?」
と言ってしまいましたわよ。
本当に可愛げのない令嬢ですわよね。
こんなのユーリに八つ当たりしているのと変わらないじゃないですか。
そう思いながらも、無意識に出て来る可愛げのかけらもない言葉にユーリは
「それはそうかもしれませんが........」
と半泣き状態になってしまっていますわ。
それを見た私は、やっとのことで我に返って
「ご、ごめんね?なんだかショックで我を失っていたわ」
そう言うと、ユーリは本当にホッとしたみたいで、張り付けていた空気が一気に解れていったのがわかりましたわ。
な、なんだか私自身初めてのことだったので、何があったのか、という感じですが、とにかくユーリには申し訳ないことをしてしまいましたわ。
本当にごめんなさい。
そう心の中で謝罪をしながら、まだ目に涙を浮かべているユーリに
「気になることがあったら伯母様に聞けばいいだけだもの。こういうことは深く考えるだけ難しくなるわよね」
そう言うと、大きく頷いてくれましたわ。
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