17 / 50
15話 父と陛下
しおりを挟む
ユーグside
「旦那様、アバズリー男爵令嬢がいらっしゃいましたがいかが致しましょうか?」
いつもはあまり表情を崩さないノアであったが、今回ばかりは顔を酷く顰めて聞いてきた。
シエラが居なくなってから5日後、私は離婚の手続きを順調に進め、執務も無事にこなしていた。
普通は手紙でも何かしらの連絡を入れてから来訪するのが当たり前なのだが、男爵家で教わらなかったのだろうか?
「はぁ......面倒だが、仕方ないから客間に通しておいてくれ。茶などは出さなくていいぞ」
と言うと、ノアは、かしこまりました、と言って部屋を出ていった。
「全く...男爵家では娘の教育もまともに出来んのか......シエラはアイツのせいで...いや、私のせいでもあるか」
私は陛下に言われたことを思い出していた。
マノンは話をしてみると、リリー・アバズリーと関わらなければ真面目だし好感をもてるところがあった。
それに、マノンの両親から息子は改心してリリー・アバズリーと関わりを切った、と聞いたから婚姻を許した。
もちろん、その際には我が家の秘密部隊に調査をさせた。その時には本当に取り巻きから抜けていた為、改心した、というのは本当なんだと思っていた。
「はぁ...仕方ない。もう少ししてから客間に向かうしかないか」
と呟いて、頭が痛くなるのを必死に押さえ込んだ。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
陛下side
「これからどうすべきか...」
執務室で書類を片付けながら、シエラが居なくなってから毎日のように同じ言葉を呟いていた。
「やはり、国中の皆に聖女だ、と言っておいた方がよかったか?」
「...お言葉ですが陛下、前聖女はそれによって命を落とされています。どちらが正しい、とは決められないのでは?」
そう言うのは宰相である
「確かにその通りだが...」
前聖女のときは貴族から国民にまでその存在を示していた。その方が本人も肩身狭い思いをせずにいれると思ったからだ。
だが、国中に知られると必然的に他国にも伝わることになる。
我が国にも聖女の力を貸してほしい、という希望が殺到した。
前聖女に相談すると治療だけなら、という約束の元、医者では治せない重傷者の治療ばかりを行った。
その結果、他国との繋がりは強くなったものの力を使いすぎた前聖女は歳を若くして亡くなってしまった。
そんなとき、シエラが聖女として覚醒した。希望が見えたと同時に公表すべきか悩んだ。
その結果、前回のようにならないようにと、陛下、宰相、ハーヴェスト夫妻のみに伝えられた。
「はぁ......」
このような原因をつくった奴らに対する苛立ちが日が経つにつれて増えてきている。
それを気力として仕事をしていると言っても過言ではない。
まずはこの国が潰れないようにする方法を考えるしかない、ということはわかっているが方法が全く思いつかない。
今までナリス国は、聖女がいない時の方が少なかったから思いつかないのも無理はない。
「陛下、領主達から作物が育たなくなっている、ギルドから魔物が強くなっていると、それぞれ報告を受けています。......既に聖女がいなくなった影響が出てきています」
「それはわかっておる...。だが、どうすればいいんだ......」
「...他国がどのように作物を育てているのか聞いてみてはどうでしょう?」
宰相の言葉に、なるほど、と思ったが、なぜ前聖女が亡くなってすぐ聞かなかったのか、と疑われないだろうか?
しかし、それしか今は方法が無いのか...。
「はぁ......」
陛下は何度目かわからない溜息をついた。
「旦那様、アバズリー男爵令嬢がいらっしゃいましたがいかが致しましょうか?」
いつもはあまり表情を崩さないノアであったが、今回ばかりは顔を酷く顰めて聞いてきた。
シエラが居なくなってから5日後、私は離婚の手続きを順調に進め、執務も無事にこなしていた。
普通は手紙でも何かしらの連絡を入れてから来訪するのが当たり前なのだが、男爵家で教わらなかったのだろうか?
「はぁ......面倒だが、仕方ないから客間に通しておいてくれ。茶などは出さなくていいぞ」
と言うと、ノアは、かしこまりました、と言って部屋を出ていった。
「全く...男爵家では娘の教育もまともに出来んのか......シエラはアイツのせいで...いや、私のせいでもあるか」
私は陛下に言われたことを思い出していた。
マノンは話をしてみると、リリー・アバズリーと関わらなければ真面目だし好感をもてるところがあった。
それに、マノンの両親から息子は改心してリリー・アバズリーと関わりを切った、と聞いたから婚姻を許した。
もちろん、その際には我が家の秘密部隊に調査をさせた。その時には本当に取り巻きから抜けていた為、改心した、というのは本当なんだと思っていた。
「はぁ...仕方ない。もう少ししてから客間に向かうしかないか」
と呟いて、頭が痛くなるのを必死に押さえ込んだ。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
陛下side
「これからどうすべきか...」
執務室で書類を片付けながら、シエラが居なくなってから毎日のように同じ言葉を呟いていた。
「やはり、国中の皆に聖女だ、と言っておいた方がよかったか?」
「...お言葉ですが陛下、前聖女はそれによって命を落とされています。どちらが正しい、とは決められないのでは?」
そう言うのは宰相である
「確かにその通りだが...」
前聖女のときは貴族から国民にまでその存在を示していた。その方が本人も肩身狭い思いをせずにいれると思ったからだ。
だが、国中に知られると必然的に他国にも伝わることになる。
我が国にも聖女の力を貸してほしい、という希望が殺到した。
前聖女に相談すると治療だけなら、という約束の元、医者では治せない重傷者の治療ばかりを行った。
その結果、他国との繋がりは強くなったものの力を使いすぎた前聖女は歳を若くして亡くなってしまった。
そんなとき、シエラが聖女として覚醒した。希望が見えたと同時に公表すべきか悩んだ。
その結果、前回のようにならないようにと、陛下、宰相、ハーヴェスト夫妻のみに伝えられた。
「はぁ......」
このような原因をつくった奴らに対する苛立ちが日が経つにつれて増えてきている。
それを気力として仕事をしていると言っても過言ではない。
まずはこの国が潰れないようにする方法を考えるしかない、ということはわかっているが方法が全く思いつかない。
今までナリス国は、聖女がいない時の方が少なかったから思いつかないのも無理はない。
「陛下、領主達から作物が育たなくなっている、ギルドから魔物が強くなっていると、それぞれ報告を受けています。......既に聖女がいなくなった影響が出てきています」
「それはわかっておる...。だが、どうすればいいんだ......」
「...他国がどのように作物を育てているのか聞いてみてはどうでしょう?」
宰相の言葉に、なるほど、と思ったが、なぜ前聖女が亡くなってすぐ聞かなかったのか、と疑われないだろうか?
しかし、それしか今は方法が無いのか...。
「はぁ......」
陛下は何度目かわからない溜息をついた。
236
あなたにおすすめの小説
幼馴染の王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。
藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。
何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。
同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。
もうやめる。
カイン様との婚約は解消する。
でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。
愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません!
一度完結したのですが、続編を書くことにしました。読んでいただけると嬉しいです。
いつもありがとうございます。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。
殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。
和泉鷹央
恋愛
雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。
女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。
聖女の健康が、その犠牲となっていた。
そんな生活をして十年近く。
カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。
その理由はカトリーナを救うためだという。
だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。
他の投稿サイトでも投稿しています。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
私のことは愛さなくても結構です
ありがとうございました。さようなら
恋愛
サブリナは、聖騎士ジークムントからの婚約の打診の手紙をもらって有頂天になった。
一緒になって喜ぶ父親の姿を見た瞬間に前世の記憶が蘇った。
彼女は、自分が本の世界の中に生まれ変わったことに気がついた。
サブリナは、ジークムントと愛のない結婚をした後に、彼の愛する聖女アルネを嫉妬心の末に殺害しようとする。
いわゆる悪女だった。
サブリナは、ジークムントに首を切り落とされて、彼女の家族は全員死刑となった。
全ての記憶を思い出した後、サブリナは熱を出して寝込んでしまった。
そして、サブリナの妹クラリスが代打としてジークムントの婚約者になってしまう。
主役は、いわゆる悪役の妹です
婚約者が妹と婚約したいと言い出しましたが、わたしに妹はいないのですが?
柚木ゆず
恋愛
婚約者であるアスユト子爵家の嫡男マティウス様が、わたしとの関係を解消して妹のルナと婚約をしたいと言い出しました。
わたしには、妹なんていないのに。
【長編版】この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ
・めぐめぐ・
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。
アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。
『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。神聖魔法を使うことしか取り柄のない役立たずのくせに』
そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。
傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。
アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。
捨てられた主人公がパーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー長編版。
--注意--
こちらは、以前アップした同タイトル短編作品の長編版です。
一部設定が変更になっていますが、短編版の文章を流用してる部分が多分にあります。
二人の関わりを短編版よりも増しましたので(当社比)、ご興味あれば是非♪
※色々とガバガバです。頭空っぽにしてお読みください。
※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。
婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。
だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。
もしかして、婚約破棄⁉
何年も相手にしてくれなかったのに…今更迫られても困ります
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のアンジュは、子供の頃から大好きだった幼馴染のデイビッドに5度目の婚約を申し込むものの、断られてしまう。さすがに5度目という事もあり、父親からも諦める様言われてしまった。
自分でも分かっている、もう潮時なのだと。そんな中父親から、留学の話を持ち掛けられた。環境を変えれば、気持ちも落ち着くのではないかと。
彼のいない場所に行けば、彼を忘れられるかもしれない。でも、王都から出た事のない自分が、誰も知らない異国でうまくやっていけるのか…そんな不安から、返事をする事が出来なかった。
そんな中、侯爵令嬢のラミネスから、自分とデイビッドは愛し合っている。彼が騎士団長になる事が決まった暁には、自分と婚約をする事が決まっていると聞かされたのだ。
大きなショックを受けたアンジュは、ついに留学をする事を決意。専属メイドのカリアを連れ、1人留学の先のミラージュ王国に向かったのだが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる