上 下
83 / 138

81 凄い美形が来た(ゲスト回

しおりを挟む

「カオス?」

「カオスだねぇ」

「混沌としているね」

「ひぇ」


 嵯峨さんのお店に落合君と一戸君、それから何処かで見た様な背の高いモデルの様な美形な男性と何処かほんわかした雰囲気の可愛らしい男の子が四人入店し、開口一番発言。
 因みに「ひぇ」は可愛い男の子の口から出て来た。
 彼等の服装はこの街に1つしか無いαとΩ専用、バース性の学園の制服。
 何でも昨年は隣町に有名なαが入学すると言う噂が広がり、Ωの入学がたった二人しか居なかったと一戸君から聞いた。尚、Ωの片方は一戸君の双子の妹さんだそうだ。

 そんな状態であの学園大丈夫か?と思っていたが、昨年とは違って今年は何名もΩが入学して来たそうだ。…噂の有名人αが隣町に在籍して居なかったことで此方の街の学園にいると知り、此方へ来たのではないかという話もあるとか無いとか。
 流石有名人、大変だな。
 しかもその有名人が有名財団の御曹司とかで、目の色を変えて追い掛けているΩや女も居るらしく、お陰で学園の警備は厳重らしい。
 頑張れ、警備員。

 今、喫茶ロインに入って来た学生四人は俺の後輩ってことだ。
 もう何年も前のだけど。
 …年の差とか考えたくないので、これ以上は考えないことにする。

 そうして喫茶ロインの店内を見渡す。
 確かにカオスだ。

 お店の奥では数名のお客さんが末明さんに椅子に正座しながら(流石に床だと問題が)説教をされていて、不破さんはその様子を見ながら注文されたメニューを幾つも同時に制作中。お手伝いさんも居るけど明らかに手が足りていない。

 更にカウンター奥では双子達の御機嫌が下がって来ている様で愚図りがち。ベビーシッターさんも大変だ。


「マスター朝からマグロ丼ってやっている?」

「すいません。朝はモーニングだけで頼む」

「えー此処の店の名物だって聞いたから来たのに」

「ごめんな~」

「おっし、それじゃモーニング食ってから夜にまた来ようかな」

「すまんな」

「マスターその分サービスして~」

「値段分のサービスだけなら受け付け中」

「あっはっは、それ頼むわ」

「あいよ」


 そんな最中、俺はせっせとお客さんが食べた食器類を下げてから机を拭く。
 次いでお皿を片付け…


「小林さん、重いものは俺がやりますから水を出して来て貰えますか」

「あ、ハイ」


 嵯峨さんがテキパキと俺に指示をして重い物を重点に引き受けていく。
 例えばアイス珈琲大(多分500ML以上ある)とか、アイス珈琲特大(1リットル)とか。って、1リットルあるんだ…誰が頼む?と思って見たら、先程入って来た落合君と一戸君が二人仲良くストローを入れて飲んでいた。
 どう見てもカップル用じゃない無骨なコップなのに、カップル用に見えると言う高等技術。
 流石だ。

 どうでも良いけど飲み物は普通に朝から注文オッケーなんだね、流石喫茶店。


「珈琲は俺の自慢だからね~!とは言えマグロ丼も創業当時からの自慢の一品なのだけど、朝イチはどうしても忙しくてね」


 確かに忙しい。何せ俺まで手伝って居る状態だから。
 もしかして普段からモーニングの時間帯は混雑して居るのかな?


「言っとくけど店長ちゃんのお店が開いている日はこんなに混まないから。それに普段来ない奴等迄来て店長ちゃんの姿を見て安心して居るよ」


 昨日の件もあるだろうけど店長ちゃん人気だねぇと言いつつ、一切手を止めること無く動かしながら不破さんがニコニコと此方を見て微笑んで来る。イケメンの笑顔ご馳走様です。
 そうして俺、今更気が付く。
 少し前迄不破さんの姿が見えたりするとときめいたりしたけど、今はイケメンだな~と思うだけに留まる。他の感情一切無し。昔はそんな状態の不破さんを見ると思わず拝みたくなったりしたのにな、不思議。


「所で末明ちゃん、此方戻って来てくれないかな?そろそろ雪羽と晃明のご飯の時間だし、そっちを優先してくれると助かる」





 ※

 ・今回のツッコミどころ

 入店して来た四人組の男子。
 倉敷優樹、皇恭介、落合行弘、一戸京夏の『ある日突然Ωになってしまったけど、僕の人生はハッピーエンドになれるでしょうか』の主人公と準主人公達。彼等はあの作品から一年経過している為、二年生へと進級している(落合は三年生)。また、何故朝のうちに喫茶ロインに来たのかと言うと、学園が臨時休校だから。(この時期にある中間テスト前の先生方による会議の為)
 その為、学園の食堂やカフェが大混雑したために四人でダブルデートしつつ朝御飯を食べに来た、と言う裏設定。

 尚四名制服で来た理由は諸々裏設定を考えたのだが、京夏曰く「制服でダブルデート♪」と言い出した理由が一番らしいので此方を採用。京夏は落合と付き合ってから堅苦しい人から悪戯好きな自由人へとクラスチェンジ。落合自身も諸々クラスチェンジしている。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

転生先が意地悪な王妃でした。うちの子が可愛いので今日から優しいママになります! ~陛下、もしかして一緒に遊びたいのですか?

朱音ゆうひ
恋愛
転生したら、我が子に冷たくする酷い王妃になってしまった!  「お母様、謝るわ。お母様、今日から変わる。あなたを一生懸命愛して、優しくして、幸せにするからね……っ」 王子を抱きしめて誓った私は、その日から愛情をたっぷりと注ぐ。 不仲だった夫(国王)は、そんな私と息子にそわそわと近づいてくる。 もしかして一緒に遊びたいのですか、あなた? 他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5296ig/)

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後

空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。 魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。 そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。 すると、キースの態度が豹変して……?

実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います

榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。 なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね? 【ご報告】 書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m 発売日等は現在調整中です。

(完)そんなに妹が大事なの?と彼に言おうとしたら・・・

青空一夏
恋愛
デートのたびに、病弱な妹を優先する彼に文句を言おうとしたけれど・・・

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! 本編完結しました! 時々おまけを更新しています。

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

婚約者である皇帝は今日別の女と結婚する

アオ
恋愛
公爵家の末娘として転生した美少女マリーが2つ上の幼なじみであり皇帝であるフリードリヒからプロポーズされる。 しかしその日のうちにプロポーズを撤回し別の女と結婚すると言う。 理由は周辺の国との和平のための政略結婚でマリーは泣く泣くフリードのことを諦める。しかしその結婚は実は偽装結婚で 政略結婚の相手である姫の想い人を振り向かせるための偽装結婚式だった。 そんなこととはつゆ知らず、マリーは悩む。すれ違うがその後誤解はとけマリーとフリードは幸せに暮らしました。

処理中です...