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80 閑話 過去と現在
しおりを挟むside.ウンベルト
我社の社長、クラウディオ・レオーニが所用で母国へと帰国したのはつい先日のこと。
小さな頃から悪ガキだった俺達パオロ、ルーベン、ライモンドに俺の四人組は気が付いたらクラウディオを中心としたマフィアの一員となっていた。
元々イタリア南部に巣食っていた孤児等が集まった集団だったので落ちる所に堕ちたと言った所だが、何故か他所のマフィアとは違い、クラウディオの周囲は一寸だけ雰囲気が違っていた。
今となっては変態へと変貌したライモンド曰く、
「クラウディオは中々のお調子者だったからね~」
だそうで。
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所がそんな状態にも関わらず、更に年上(世代的には2世代上以上)の面子には何故か気に入られ可愛がられる始末。恐らくαと言うカリスマ性とクラウディオが持つ独特な雰囲気のせいだと俺は思っている。
後はまぁ…俺達の殆どがストリートチルドレンや孤児に移民だったせいもある。大抵は白人だったりするのだが、中には何処の国の特徴かわからない奴もいて、大抵そう言った奴らは俺等最下層に居るガキ共には半端者として扱われる。
とは言え俺等自身も半端者で社会からあぶれた集団。そうしてガキ。
更に言うと…俺等のガキ集団のボスはお調子者のクラウディオで、カリスマα。
気が付いたら器用に我らがボスであるクラウディオはソイツらを纏め上げ、自身の傘下へと入れてしまった。
反発も当初はあったような気がするが、意地を張っていた面子は最終的にはクラウディオの叱咤で折れたり、どうしても駄目だった奴は抜けたりしたが最終的には戻って来た。
そんな姿を年配のおっさん達は「マフィアの癖に薬はしないわ、律儀で義理堅いとは変な奴等」と言って年若い俺等を気に入ってくれ、何かと融通をしてくれた。
だがそんな俺達を気に入らない対抗組織のマフィアメンバーがある日、俺等のボスであるクラウディオを襲い……。
その時にこの店、『喫茶ロイン』の店長である不破さんに会った。
と言うか何故あの日あの時あのタイミングで此方に手を出して来たのだろうなって今更思ってしまっているのだけど、よくよく考えれば不破さんって裏では腕利きの情報屋。
情報屋で腕利きって何だって思うけど、兎に角腕がすこぶる良い。
そんな人だからクラウディオが惚れ抜いてしまって、俺等にまで変な被害が出る位に惚れて、惚れてって風になったけれど、肝心の不破さんは一向に靡かない。
それでも滅気ず、日本に通って組織を解体。新たに会社を起こし、子会社を日本に作りって更に口説くために日本へ通い。それでも振られ続けて到頭不破さんに『運命の番』相手である見目麗しい、俺達の憩いの女神様である末明ちゃんが現れて大が付く玉砕。
彼等が婚姻を結んで子供まで産まれたし流石に諦めるか?と思いきや、未だに楽しそうにスキあらば不破さんに口説こうとする。と言うか口説く。そうして何十回目、いや何百回目の玉砕をする。
懲りない、本当に懲りない。
あれ、ボスってこんな人だったっけ?と思う程。
でも最近はこう…うん。不破さんと末明ちゃんとの子供達も産まれたし、クラウディオの目が前とは違って来ている。何処がとかは言い難いが、焦がれる感じでは無くなって来ている。
それは恐らく…あのJKのせいだろうなって思っては居る。思っては居るが、肝心のクラウディオが自覚しているかどうかは謎。
※
なんてな。
何故俺が柄にもなく過去の事柄を目の裏に浮かべて現実逃避しているかと言うとだ。
「不破さん」
「あ~…うん、言いたいことはわかる」
「末明ちゃん」
「まぁドンマイ」
「俺ってさ、今の会社の外国組の中で番が居ないαなのですよ…」
不破さんの喫茶ロインに朝食を食いに来たら、前々からイイな~と思っていた小林茶坊の店主さんである小林さんが密かに恋のライバルと思っていた嵯峨さんと人目も憚らずお互いに見詰め合って居たから。しかも小林さん、ぽ~としていて周囲のことが目に入っていない状態。
嵯峨さんは知らん。
爆発してしまえば良い。
はい、俺、失恋のお知らせです。
本気では無かったし、無理なのはわかっていたけど。
ちくしょぉぉおおおおお!!
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