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side.嵯峨憲真


 兎に角喚き散らして縋り付いて来る母娘を引き離し、「付き合っていなければ、結婚なんてものは貴女とはしない」と言えばがなり立てる始末。

 ほとほと困り果て、警察を呼んでやっと開放された。
 警察相手に母親側は俺とは『恋人』等と平気で嘘を付く始末。
 娘まで「お母さんと彼は付き合っている」と言って人の話を聞かない。
 おまけに喚き続けるものだから何人か野次馬が来てしまった。正直恥ずかしいやら困惑するやら…クソ。お前なんかと付き合う気も結婚する気も無いと叫んでしまいたかったが何とか堪えた。


 気を使った警察官がかなり俺を哀れんだ顔付きで見詰め、警察の車で俺だけを連れ出して簡単な事情徴収をしてくれた。
 その際俺はこのアパートの大家だと言うこと、彼等、母親とその娘とは「アパートを貸す際、不動産屋と共に会った際に知っただけ」と伝えた。
 その際、警官が「ん?」と小首を傾げた後でもう一人居た(警官は三名来た)警官…警官Bとしよう…に何事かを伝えると、その警官Bは周囲に集まっていた野次馬に何事かを聞きに行った。

(後で帰って来た警官Bは俺があの母親の恋人かどうか、周囲の野次馬に事情聴取しにいったらしく、嘘だと即わかったらしい。全くはた迷惑な)


「まぁ、何ていうか」


 残った俺の事情徴収をしていた警官Aがぽそりと、


「あの母親が【独身】と言う事が理由な気がします。大家さんイケメンのお若い独身αですし、狙われているのでは無いかと。あ、これは此処だけの話ってことで」

「あ、はい」

「正直女性βだからと言っても…ん、もしかして娘さんΩですかね」

「わかりません」

「昔からΩのヒートをワザと薬品を使って引き起こし、責任を取って貰うと言う事があります。昨年その手の事件が多発した事件がありますので。良いですか大家さん、気を付けて下さい。それと忠告ですが、今後あの母娘には出来るだけ一人では会わないように。娘さんのヒート時期に呼ばれるかも知れません」

「はい」

「今後は間に不動産を挟む様にするか、今回のことで出て行って貰う方が宜しいかと。まぁ、判断は任せます。逆恨みされることもありますし、本当に気を付けて下さい」

「はい」

「それとあの親子からの電話番号は受信拒否設定をお勧めします。この手のケースは下手に絡むと悪化しますし」

「…はい」


 その後も「余計なことでしょうが」と一言貰った上で警官から色々と注意を受けた。
 彼自身もαの家族が似たような事柄に巻き込まれ、苦労したらしい。曰く「αだからと言っても気をつけろ」だそうで。特に若いαは『理解していないβ』に優しい顔をしていると侮られるのだとか。今後は不動産と相談した上でもうあの親子とは関わらない様にしよう。不動産側も今回の件を報告したら連絡メールが来て、賃貸契約が終了したら出て行くようにと勧告すると連絡が来た。

 あの親子、どうやら俺の知らない所でも色々と問題を起こしているらしい。


 はあ~…今後小林さんに絡まないと良いけど。
 困ったものだ。


 ※※※

 休日デートを終わらせて夕飯を食べ、主人公といい感じになっていたけど急に嵯峨が帰宅した理由がコレです。もっとちゃんと早めに書くつもりだったのですが、中々書けませんでした。
(´・ω・`:)
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