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   デビューを済ませると見合いの釣り書が届いた。

   届いたらしいが、すべてお父さまが断ってくれた。

   なんせ後継ぎの心配もない。

   家と釣り合うのは王族が同じ公爵家ぐらいだ。

   余程お父さまに気に入られなければ階級が下の者との結婚はありえないだろう。

   なので私は自由気ままに冒険者として活躍しているのだ。

   今回の依頼は簡単だ。

   魔の森に咲く花を取ってくればいいのだが、その花は薬草にもなり惚れ薬の材料になるのだ。

   今は人の心を操るということで作る事も使うことも禁止されている。

   因みに魅了の魔法も禁止されてますよ。

   ギルドの受け付けに確認したらやはり知らなかったらしく慌てていたが、後の祭りだ。

   依頼を受け依頼主を監視することとなった。

 「私は花を取ってくればいいですか?」

 「監視も頼みたいが無理だよな」

 「無理ですね」

 ギルドマスターとの話し合いの結果、私は花を取りに行くだけになった。

 後はマスターのほうで手配してくれるとのことだ。

 早速魔の森に来ているのだけど……静かすぎるのだ。

 いつもなら弱い魔物が何匹か出てきてもおかしくないのに今日は出てこないのだ。

 私は契約獣を使い森の中を見てきてもらうと私以外に冒険者がいるではないか!

 それも同じ花を探している。

 やばいと思った。

 知らないでこんなものが悪者の手に渡ればこの国が傾いてしまう。

 私は契約獣に乗り先回りすると魔法で幻覚を見せた。

 その間に花を採取していくのと契約獣に冒険者たちをギルドに送り届けさせた。

 「さて私も帰りますか」

 咲いている花はすべて根本より切り取ってしまったので多分わからないと思うが後はちょくちょく確認しに来ることにした。

 マジックバックは時間の経過も止まるので便利な魔道具だ。

 通信魔道具を使いギルドに連絡した。

 「採取しました。
 そちらに同じ花を採取しようとした冒険者を契約獣に預けましたので今頃ついていると思います」

 「ああ、今連絡があった。
 こちらはみっちり絞るから大丈夫だ。
 エマも気を付けて帰って来いよ」

 「わかりました」

 先ほどからこちらを見ている者がいるが襲ってくる気配がないので契約獣に乗りギルドに帰ることにした。



 

   

   
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