もう一人のオレがみんな美少女で家に住みついてますが何か

第二話 袖なしニットとスーツと双峰のなんか 2

　思い返してみれば、高校卒業までの間に様々なイベントも、奈津美さんは時折魅せる妖しげな顔も、それなりに有意義だったか。

　いや、それがあったから今のオレがあって、弱いなりにもなんとかネットワーク市場にと、挑戦し続けていられるから有り難い。

　短髪緑の後頭部をこちらに向けたまま、奈津美さんの話を緊張しながら大根の煮付けを箸でつまんでは、米にも静かに箸をのばす。

　俺も煮付けの魚をはさんでは醤油ベースのつゆの、その砂糖と独特な素材の旨味が絶妙で、繊細な手つきと上品さに感謝する。

　奈津美さんのファンタジックなアンリアルと、家庭的で繊細なリアルが常に交差しては、迷いなく俺を引っ張りながらの現在。

　再開するまではLINEやライン通話などで、高校卒業後も実質的に曖昧な関係は続いて、まさか隣同士になるとは尚有り難い。

　お陰で独りの生活や栄養補給もより効果的て、、小説などにも集中しやすかったから、女神の恩恵として活動力になっている。
　
　たた、数週間前に奈津美さんから『もうひとりのオレ』だと、その件に就いてバグりかけたが、眼前の緑と併せて俺以外に二人。

　昼間に迫られた時はどうするかと思ったが、紫ロングと緑ショートのダブルキャストを、問題なく自由にしても良いものか。

　どうにもならんことを何時までも逡巡すべきではないが、緑ショートはとにかく絡まって、奈津美さんは甘い顔で女神に神化。

　グズグズと脳内で議論を活性していると、奈津美さんは女子の空間に花を咲かせながら、緑の妖精に或ることを聞いた。

「貴方、名前は？」

　今日の昼間に起きてそのまま、飛躍したイベントが起きっぱなしで忘れていたが、正確には『もうひとりのオレ』で納得していた。

　そのせいで、奈津美さんのような『固有の氏名』があると、何故か気づかない状態で、もうすぐ膳を済まし終える頃合いになる。

「はっ、……春咲萌香……です……。」

　なんと先まで散々俺に絡みついてきたが、それを脇へ置いたまま萌香と名乗る妖精は、奈津美さんの芳香に呑まれているのか。

　奈津美さんは何時でも芳香や息がキモチイが、いやそれよりもハイスペックかつ繊細な立ち回りが、俺にも萌香にも感謝しかない。