もう一人のオレがみんな美少女で家に住みついてますが何か

草薙銀之介

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第二話 袖なしニットとスーツと双峰のなんか 1

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 先に夕飯用意しちゃうからと自宅に入って、ニット越しに甘い旨香を撒き散らしては、大人びた風格を魅せつける。

 このお方は峰輿奈津美さんといって、再会した時には大手化粧品会社勤務のOLになっていて、やはり流石だと俺は感服した。

 高校時代から世話になっていて、当時の俺は学校では『THE・陰キャ』だったが、何故か昼休み等に廊下から呼びつけていた。

 ただ、それがあっただけではなかったのが、歩いてすぐの距離に互いの住居があったので、俺は下校の時分に敢えて待っていた。

 大学は流石についていけなかったが、つい最近の半年くらい前あたりに玄関の前で鉢合わせて、それ以来から世話になっている。

 確かに、高校時代の奈津美さんはなんとなく優秀そうで、偏差値の高めな大学を第一志望にしながら、見事に合格したから鳥肌。

 たた、奈津美さんは当時から妖しげなヒトだったが、普段は事務的に立ち廻っていたようで、俺には芳香剤にもなっていた。

 今では起きて発見してから半日を流して、名も知らぬ美少女が絡みついてくるが、それにも動じないどころか鍋を温め直す。

 それどころか、料理ができると俺達を自宅に呼び込んでは、シームレスに無駄なく食事の準備をしながら、俺達を居間に座らせる。
 
 俺達が絡まっていても恨むどころか、むしろ期待してるのか妖しげな顔を時折向けながら、居間の台に一通り揃えて三人卓に就く。

「しゅーくんとはあれいらいかぁ~。」

 奈津美さんは高校の卒業式の日に、式が終わってダラダラと校門をでかかる瞬間、門の脇に双峰を突き出す如くに目線を覚えた。

 俺は右に目線を向けると、奈津美さんと目が合ったかと思えば素早く外して、なんとクネクネしながら一言申されるではないか!

「……遅いっ、……待ってた……。」

 いつもの奈津美さんらしくなかったにしても、学ランのボタンを全部、クラスの女子に持ち逃げされた俺を視て妖しげな顔をした。

「なんスか?!」

 むくれたかと思えば信号機のように顔を変えて、ジトリと横目で一通り確認しては、何でもないと帰り道を歩いていって仕舞った。

 それを追いかけて、三年間に及ぶ方肩の重みがスルリと抜けてソワソワする俺に、奈津美さんは済ました顔でまた一言駒を刺す。

「モテモテなんだ……、ふーん……。」

 やはり、本来なら付いてるはずの学ランボタンが、全部無い事が気になると見えて、「別に……。」と云ってツーンと他所を見る。

「欲しかったな……、しゅーくんの第二ボタン……。」

 何と言うことか、奈津美氏おん方もご所望とは、袖の分野で既に無いし突発的にとは謂え一個持っとけば……、いやしかし……。

 たかがボタンでもあからさまに理由もなくボタンを取れば、ある意味で制服破壊でもあって、法的処置は必要なくてもこれは……。

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