元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌

紫南

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第十三章

603 私たちも交ぜて〜

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援軍が来たことで、倍の人数になった一行は、ほどなくして階段を見つけた。それもなぜか二つ。

「え? 下と上があるんだけど……」
「え? 普通、下だよな?」
「え? なんで上?」

手前が上に行く階段。少し離れた先に下へ行く階段があったのだ。偵察するとして、それぞれ階段を上ってみたり、下ってみたりして確認している。両方とも先があった。

「え? ここ何階?」
「中間ってこと?」
「別に入り口があったとか?」
「いや、流石に上からとか入らねえだろ」

ということで、ここで一旦会議だ。

「二つに分かれるというのも手ではありますが……先ほどのを基準に考えると……」

リクトルスが考え込んでいれば、更に援軍が到着する。そこには、エリスリリアとベニ、キイ、セイが神子たち、そして、人化したパックン達がいた。

「リクト~、私達も交ぜて~」
「「「「「え!?」」」」」

大小、色も様々なメイスを担いだベニ達はまだ良いとして、エリスリリアが参加するということで、冒険者達が驚く。そして、エリスリリアが手にしているものを見て、二度見した。

「え、エリス様……も戦うのですか?」

服装はいつも通りのヒラヒラ。しかし、エリスリリアの手には、トゲトゲのついた籠手、そして、取手の長いハンマーが一つ、それを杖代わりのようにしていた。ハンマーの大きさは、それほど大きくない。ゲートボールで使うスティックのような見た目だった。

「そうよ? あ、これ? これは、大きさも変えられるの。そっちのハルバードくらいの大きさにはなるから。ふふっ。コウヤちゃんにお願いしちゃった ♪ 」
「そちらが武器なのですね。その籠手は……」
「殴る用だけど? そのままだと手を傷めそうで見たくないからって、コウヤちゃんが」
「……そうですか……」

いいでしょ、羨ましいでしょと笑うエリスリリアに、誰もが微妙な顔をした。まさか、愛も司る可愛らしい女神が接近戦をする気だとは思いたくなかったのだ。

「で? どうしたの? 待っててくれたわけじゃないんでしょう?」
「ええ……上と下で分かれるか、どちらかに決めて進むかを考えていたんですよ」

エリスリリアの質問に、リクトルスが答える。

「あら。これだけの人数なら二つに分けてもいいんじゃないの? 戦力の分散とはいっても、テンキちゃん達も居るし」
「そうですね……エリスだけでなくベニ達も居るなら、そうしましょうか」

これに、ベニとセイ、キイは、嬉しそうに笑う。

「おや。これは期待を裏切れないねえ」
「まあ、広くてもこれだけの人数で戦うのは、やりにくそうだしねえ」
「本気で暴れる必要があるなら、これだけの人数は邪魔かもねえ」

巻き込まない自信がないとも言う。思い切り戦いたいから、邪魔されたくないということもあるようだ。

「あ、そういえば……」

ここで、ジンクが思い出したというように、折り畳まれた紙を取り出す。

「なんだい?」
「コウヤ君かららしいんだよ。ここに入る直前で受け取ったんだけど、見てなかった」

間違いなく、外から見れば神殿だったが、中に入ると、迷宮のような空気になり、見た目が変わったことにジンクさえも気を取られていて、読むのを忘れていたのだ。

「う~ん。あ、リクト様。この階段、どっちも終点は同じかもってコウヤ君が」
「……どっちも同じ場所に出るということですか……」
「みたいです」
「いいでしょう。でしたら、二手に分かれましょう」

迷う必要はなかったということだ。さっさと二つにグループを分け、進む事にした。

「では、終点で。こちらは上に行きます」
「うん。終点でね~。じゃあ、下ね」

エリスリリアとリクトルスは分かれ、エリスリリアの方にテンキだけが入った。

「テンキちゃんにこっちは頼むわよ?」
《承知しました》

こうして先に進んだ一行は、その先にすぐに広い空間に突き当たる。そして、最初と同じように大きなドラゴンのような醜い生き物と対峙することになった。












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読んでくださりありがとうございます◎




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