元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌

紫南

文字の大きさ
460 / 497
第十三章

595 逃げ遅れないようにね〜

しおりを挟む
準備は整った。

それぞれのグループで先頭で指揮を執るのはジンク達神子だった。大神殿を取り囲むのは六つのグループ。

ドワーフ、獣人、エルフの者達も入り乱れ、チーム分けが為されていた。

それぞれのリーダーは、ジンクと恋愛相談が得意な見た目可愛らしい男の子のユズ、かつての族長の娘である少し世間知らずなユミと面倒見の良いお姉さんなミナ、そのミナの弟のソラと強面だが根は優しいギン、硬派な姉さんなユリとお姫様のような清楚な見た目のハナ、高貴な令嬢のようなヒナと護身術を教えたりできる落ち着いた騎士のようなカイ、そして、タリスとルディエの二人ずつのメンバーだ。

「そろそろだよ」
「みたいだねえ。ああ、いらした」

そんなタリスの声に、気付いた者達が、揃ってタリスの見るソラに目を向けた。

「何あれ……すごい……」
「島? 空に浮く島って……」
「ゼスト様の浮遊城だよ」
「「「「「ふゆうじょう!」」」」」
「うん。遊べる、空に浮く城だってさ」
「「「「「すげぇ~」」」」」

コウヤのリクエストにより、遊園地などの遊ぶ施設が大量に組み込まれた空に浮かぶ城だった。タリスの説明で間違いない。

「な、なんか出てきた!」

その城から、大きな白い鳥が数十羽出てきて、こちらに向かってくる。それらが周りを取り囲んでいく。

「兄さんが言ってた結界だよ。鳥に見えるけど、翼しかない何かだ」
「うわ、本当だ……アレかな? コウヤちゃんの羽根ペンゴーレムみたいな」
「近いかも」
「は~、すごいなあ、コウヤちゃん……」

その鳥らしきものは、翼を広げた状態で空中に留まる。そして、何か淡い光を発すると、それが薄く広がり、連結していく。

「おおっ、結界だ……」
「結界ね……」

綺麗なドーム型のような結界が出来上がった。しかし、気になることがある。

「なあ……なんで、天辺開いたんだろ……」
「別に上から逃げたりしないからじゃない?」
「コウヤ君、節約好きだしね~」
「……」
「……」

ルディエとタリスはまさかと思っていた。そして、その答えは合っていた。

「あっ、城が入って来る!」
「そっか、あの天辺の穴はアレをハメるためか!」
「すごい! ピッタリ~」
「……」
「……」

それは、大神殿の真上だ。そう。真上なのだ。

「……なんか出そうだね……」
「出る気がする……」

恐らく、発射位置が固定された。

「ゼスト様のスゴイのか~……どんなだろ……」
「タイミングは間違えないと思うけど、徹底しておくべきかも。撤退の時の」
「そうだね! うん! よーし! みんな~、聞いて! いいかな? ゼスト様が最後に天罰をお与えになるからね! 撤退! って言ったら、撤退するんだよ!」
「具体的には、結界の端まで。全力で走るように」
「「「「「……え……」」」」」
「分かったね?」
「分かったよね?」
「「「「「……はい」」」」」

戦った後に、全力とか大丈夫かなと少し不安になるのは仕方がない。

同じ説明が各チームにされていた。

「逃げ遅れないようにね~」
「「「「「はい……」」」」」

不安そうだった。







**********
読んでくださりありがとうございます◎
また一週空きます!
よろしくお願いします!

しおりを挟む
感想 2,833

あなたにおすすめの小説

【短編】花婿殿に姻族でサプライズしようと隠れていたら「愛することはない」って聞いたんだが。可愛い妹はあげません!

月野槐樹
ファンタジー
妹の結婚式前にサプライズをしようと姻族みんなで隠れていたら、 花婿殿が、「君を愛することはない!」と宣言してしまった。 姻族全員大騒ぎとなった

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

さようなら、たったひとつの

あんど もあ
ファンタジー
メアリは、10年間婚約したディーゴから婚約解消される。 大人しく身を引いたメアリだが、ディーゴは翌日から寝込んでしまい…。

結婚した話

きむらきむこ
ファンタジー
乙女ゲームのバッドエンド後の世界で、子爵家令嬢ジュリエットは侯爵家当主のオーチャードと結婚したが…  恋愛色はありません。

婚約破棄? あ、ハイ。了解です【短編】

キョウキョウ
恋愛
突然、婚約破棄を突きつけられたマーガレットだったが平然と受け入れる。 それに納得いかなかったのは、王子のフィリップ。 もっと、取り乱したような姿を見れると思っていたのに。 そして彼は逆ギレする。なぜ、そんなに落ち着いていられるのか、と。 普通の可愛らしい女ならば、泣いて許しを請うはずじゃないのかと。 マーガレットが平然と受け入れたのは、他に興味があったから。婚約していたのは、親が決めたから。 彼女の興味は、婚約相手よりも魔法技術に向いていた。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。