459 / 475
第十三章
594 せいぎなの〜
しおりを挟む
コウヤはその日の内に、神教国へと最後の戦いを挑もうと神殿を囲んで控えている冒険者達の下に来ていた。時刻は、そろそろ夕食の支度でも始めようかという頃だ。
「あれ? コウヤ様?」
「コウヤ君だ~」
「やっほー、コウヤ君っ」
「コウヤ様~。こんにちは~」
冒険者達が手を振って迎えてくれる。そして、しばらくして目を丸くする。
「え? コウヤ様の……子ども?」
「娘さんですかあ?」
「かわいいっ」
コウヤは、レナルカを抱き抱えて来ていたのだ。
「こんにちは? こんばんは?」
「ふふ。こんばんはかな?」
「わかった! こんばんは~」
「「「「「っ!! こんばんは~!!」」」」」
ちょっとどっちになるか分からない時間帯。悩むように空を見上げたいたレナルカの可愛さにノックアウトされ、更に笑顔で答えが分かったと手を振って挨拶するレナルカに悶えていた。
そして、レナルカはコウヤの腕から飛び出して、その冒険者達の下へと飛んでいく。
「「「「「え!?」」」」」
「そっちのおにいさんと~お、こっちのおねえさん~おてつだいして?」
「「します!!」」
即答していた。そして、レナルカに引き寄せられるようにしてコウヤのところにやって来る。
「このふたりはけっていなの!」
「うん……従魔もいるみたいだし、いいかもね?」
「いいじんせんなのよ!」
「そうだね」
「つぎよ!」
そう言って、レナルカは野営地を飛び回って人を集めてきた。どの冒険者も、従魔を連れていた。それも、迷宮化の時に手伝ってくれた魔獣達を従魔とした人たちだった。
そんな人たちが集まれる場所をコウヤは確保していれば、この場をまとめていたタリスがやって来た。そこで話に入る。
「突然すみません。まず、こちらをご覧ください」
「大陸地図? なあに? この黒い嫌な感じの点……」
「そこが問題なんですよ」
「コウヤちゃんのその笑顔……大変なことが起きそうで怖いよ……」
今までの数々のびっくりと無茶振りを経験しているタリスは、その笑顔だけでその予感を読み取った。
「はい。ちょっと大変です。どうも、あの中のものが根を張っているらしくて」
「……ごめん、なんて?」
「この下も根を張ってるみたいですけど、ゼストパパ達がなんとかガードしているので、もうこの点の所にしか出ないので、そこは安心してください!」
突然、下から現れたりしないですよと言っておく。
「この点の所もガードできなかったの?」
「それなんですよね~。ちょっと気付くのが遅かったんです。寧ろ出して対処した方が被害が小さくて済むかなと。ほら、溜め込むの良くないでしょう?」
「……爆発されるのは厄介だよね……」
爆発する相手が神が相手にしようとするほどのものならば、それは避けなくてはならないだろうとタリスも一応は納得した。
「それでですね。ご覧の通り、点は各地に散らばっています。ですが、主戦力はここに集中していますよね」
「あ、そっちに送りたいのね?」
「はい。恐らく、こちらを攻撃することで、そうした隙を突いての嫌がらせをしようとしているのではないかと」
「こっちに集中している間に、後方で爆発が起きるってこと? それは困るよ」
「なので、レナルカが選んだ、皆さんにお願いしたいんです。見て分かるように、町からは離れていますが、逆に森の中や荒野が多くて」
「だから、従魔を連れた子達が中心なのね」
レナルカは戦うことになる場所も理解した上で人選をしたようだ。そして、きっちり戦力としても当てに出来る人達になっていた。
「レナルカちゃん……すごいね」
そう本音が出たタリスの下に、レナルカが飛んでくる。
「おじいちゃん、レナルカすごい!?」
これにおじいちゃんはデレデレだ。
「うんうんっ。レナルカちゃんはすごい子だよ! そして可愛い! 可愛いは正義なんだよ!」
「えへへっ。せいぎなの~!」
「「「「「かわいい~」」」」」
緊迫していた空気は一気に緩んでいた。これで大丈夫だろうかとコウヤは少しだけ心配になった。しかし、このレナルカの応援を受けて、一同のやる気は最高潮に達することになるため、何の問題もなくなるのだが、それはさすがのコウヤにも予想できなかった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
また一週空きます!
「あれ? コウヤ様?」
「コウヤ君だ~」
「やっほー、コウヤ君っ」
「コウヤ様~。こんにちは~」
冒険者達が手を振って迎えてくれる。そして、しばらくして目を丸くする。
「え? コウヤ様の……子ども?」
「娘さんですかあ?」
「かわいいっ」
コウヤは、レナルカを抱き抱えて来ていたのだ。
「こんにちは? こんばんは?」
「ふふ。こんばんはかな?」
「わかった! こんばんは~」
「「「「「っ!! こんばんは~!!」」」」」
ちょっとどっちになるか分からない時間帯。悩むように空を見上げたいたレナルカの可愛さにノックアウトされ、更に笑顔で答えが分かったと手を振って挨拶するレナルカに悶えていた。
そして、レナルカはコウヤの腕から飛び出して、その冒険者達の下へと飛んでいく。
「「「「「え!?」」」」」
「そっちのおにいさんと~お、こっちのおねえさん~おてつだいして?」
「「します!!」」
即答していた。そして、レナルカに引き寄せられるようにしてコウヤのところにやって来る。
「このふたりはけっていなの!」
「うん……従魔もいるみたいだし、いいかもね?」
「いいじんせんなのよ!」
「そうだね」
「つぎよ!」
そう言って、レナルカは野営地を飛び回って人を集めてきた。どの冒険者も、従魔を連れていた。それも、迷宮化の時に手伝ってくれた魔獣達を従魔とした人たちだった。
そんな人たちが集まれる場所をコウヤは確保していれば、この場をまとめていたタリスがやって来た。そこで話に入る。
「突然すみません。まず、こちらをご覧ください」
「大陸地図? なあに? この黒い嫌な感じの点……」
「そこが問題なんですよ」
「コウヤちゃんのその笑顔……大変なことが起きそうで怖いよ……」
今までの数々のびっくりと無茶振りを経験しているタリスは、その笑顔だけでその予感を読み取った。
「はい。ちょっと大変です。どうも、あの中のものが根を張っているらしくて」
「……ごめん、なんて?」
「この下も根を張ってるみたいですけど、ゼストパパ達がなんとかガードしているので、もうこの点の所にしか出ないので、そこは安心してください!」
突然、下から現れたりしないですよと言っておく。
「この点の所もガードできなかったの?」
「それなんですよね~。ちょっと気付くのが遅かったんです。寧ろ出して対処した方が被害が小さくて済むかなと。ほら、溜め込むの良くないでしょう?」
「……爆発されるのは厄介だよね……」
爆発する相手が神が相手にしようとするほどのものならば、それは避けなくてはならないだろうとタリスも一応は納得した。
「それでですね。ご覧の通り、点は各地に散らばっています。ですが、主戦力はここに集中していますよね」
「あ、そっちに送りたいのね?」
「はい。恐らく、こちらを攻撃することで、そうした隙を突いての嫌がらせをしようとしているのではないかと」
「こっちに集中している間に、後方で爆発が起きるってこと? それは困るよ」
「なので、レナルカが選んだ、皆さんにお願いしたいんです。見て分かるように、町からは離れていますが、逆に森の中や荒野が多くて」
「だから、従魔を連れた子達が中心なのね」
レナルカは戦うことになる場所も理解した上で人選をしたようだ。そして、きっちり戦力としても当てに出来る人達になっていた。
「レナルカちゃん……すごいね」
そう本音が出たタリスの下に、レナルカが飛んでくる。
「おじいちゃん、レナルカすごい!?」
これにおじいちゃんはデレデレだ。
「うんうんっ。レナルカちゃんはすごい子だよ! そして可愛い! 可愛いは正義なんだよ!」
「えへへっ。せいぎなの~!」
「「「「「かわいい~」」」」」
緊迫していた空気は一気に緩んでいた。これで大丈夫だろうかとコウヤは少しだけ心配になった。しかし、このレナルカの応援を受けて、一同のやる気は最高潮に達することになるため、何の問題もなくなるのだが、それはさすがのコウヤにも予想できなかった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
また一週空きます!
1,445
お気に入りに追加
11,119
あなたにおすすめの小説


【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
連載希望のコメントをいただきましたので、
連載に向け準備中です。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。
【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~
柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」
テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。
この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。
誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。
しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。
その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。
だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。
「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」
「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」
これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語
2月28日HOTランキング9位!
3月1日HOTランキング6位!
本当にありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。