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第九章 再び潤の部屋にて
お仕置きの続行
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「あなたにも、似てる気がします」
僕は言った。僕の発言は、叔父様への愛の告白と受け取られる懸念もあったのを、僕は気づかなかった。幸い、自分の思考に没頭しているらしき叔父様は、さほど僕に頓着しなかった。
「他人の目から見たら似ているのかもしれないね。潤の兄たちより潤の方が、愛しいと思うのは、ひょっとして、と思うこともある。けれど、違うだろう。いっそのこと、全く他人だったらいいのにと思うこともある」
叔父は、潤の頭を人形を慈しむような仕方で撫でながら言った。
「息子たちが、羨ましい。彼らは潤の従兄だから。妻も潤と血のつながりはない。だから彼らは自由だ」
潤の叔父が言った。世間的、道徳的には、そんなことはないと思うけれど、と僕は思ったが、法律的には、そういうことになる。
「でも、いっしょに育ったり、育てたのなら、親兄弟だと思います。そんな身近な人と、肉体関係を持つだなんて、人間不信になるし、人との程よい距離感がとれなくなると思います。それに、人と違う感じをいつも味わわなければならないし」
僕は主張した。
「ああ、そうだろうね。でも、私たちは、潤を必要としているんだよ。潤だって、必要とされるのを喜んでいる」
うっとりとそう返す叔父様を見て、僕は、この人たちに何を言っても無駄だという徒労感を味わわせられた。
叔父様は、人形のように儚げに微笑んでいる潤に尋ねた。
「潤、お仕置きの続きをするか、それとも、朝食にするか、どうする?」
まだお仕置きなのか! ご褒美は、もうおしまいなのか。
「譲が帰ってきたら、邪魔されるかも」
潤は控えめに言った。
「ああ、あいつは、マスターキーを持っているからな。成人式の祝いによこせと言われたのだったな。ただ、全ての鍵ではないが」
「地下室の鍵?」
「そう。プレイルームは、潤と私の大事な部屋だからね」
叔父様は愛し子の髪を撫でた。
「救急隊員の人に見せつけるの、興奮した……恥ずかしかったけど」
潤はそう言って、はにかむように下唇を噛んだ。
「そうだな、今度は譲に見せつけてやろうか、潤のいやらしい姿を」
叔父様は笑った。叔父様と譲の親子は、対抗し競い合って、潤を奪い合っているようだった。
「でも、いつ帰ってくるかわからないね」
潤が迷っているように言った。
「そうだな、私は、潤と続きがしたいね。そのために、ここに戻ってきたんだから」
結局、潤の意志でなく叔父様の言う通りなのか。
「うん、わかった。そうする。続きします」
潤の叔父様で養育者の大洗竹春氏は、麗しい五月の日曜の朝、甥の潤と、潤の部屋で、性的プレイを選択した。屋外は晴れやかで麗らかな空と風。だが、お屋敷の深窓では淫靡な関係がじっとりと展開しているのだった。
それだけでも異常なことだが、直前に大洗氏の妻は、倒れて救急車で運ばれたのに、夫が、付き添いもせず、性的遊戯に耽り続けるというのだから、これまた異常だった。さらに、大洗氏の妻が倒れた原因が、どうも、潤に行為を拒否されたショックらしいのだから、めちゃくちゃだった。しかも、潤は、従兄で義兄である大洗氏の息子たちと、日常的に幼少期から性的行為をしているようだ。そして、兄弟での行為は、先代から続いているらしい。すなわち、叔父である現当主の大洗氏と、潤の実父である故大洗氏は、性的関係にあり、夫婦交換や息子交換をしていたのだ。こんな狂った家の価値観に、なじめるわけがないのだが、そこに生まれて生きる以上、必死で適応するしかないのが子どもたちだった。
譲は、大洗氏から狂った支配の権力を受け継ぎ、潤ら弟を支配することで、精神の安定をはかって、かろうじて適応しているのだろう。
しかし、潤は、全ての成員から、支配されて、最も下の階級に落とされていた。その支配の内容が、性的支配だったので、外部に話されにくく、この狂った成員に正常化のチャンスは訪れなかったのだ。大洗氏は、潤に尋ねた。
「今週おかした罪を告白しなさい」
潤は自白を強要された。
僕は言った。僕の発言は、叔父様への愛の告白と受け取られる懸念もあったのを、僕は気づかなかった。幸い、自分の思考に没頭しているらしき叔父様は、さほど僕に頓着しなかった。
「他人の目から見たら似ているのかもしれないね。潤の兄たちより潤の方が、愛しいと思うのは、ひょっとして、と思うこともある。けれど、違うだろう。いっそのこと、全く他人だったらいいのにと思うこともある」
叔父は、潤の頭を人形を慈しむような仕方で撫でながら言った。
「息子たちが、羨ましい。彼らは潤の従兄だから。妻も潤と血のつながりはない。だから彼らは自由だ」
潤の叔父が言った。世間的、道徳的には、そんなことはないと思うけれど、と僕は思ったが、法律的には、そういうことになる。
「でも、いっしょに育ったり、育てたのなら、親兄弟だと思います。そんな身近な人と、肉体関係を持つだなんて、人間不信になるし、人との程よい距離感がとれなくなると思います。それに、人と違う感じをいつも味わわなければならないし」
僕は主張した。
「ああ、そうだろうね。でも、私たちは、潤を必要としているんだよ。潤だって、必要とされるのを喜んでいる」
うっとりとそう返す叔父様を見て、僕は、この人たちに何を言っても無駄だという徒労感を味わわせられた。
叔父様は、人形のように儚げに微笑んでいる潤に尋ねた。
「潤、お仕置きの続きをするか、それとも、朝食にするか、どうする?」
まだお仕置きなのか! ご褒美は、もうおしまいなのか。
「譲が帰ってきたら、邪魔されるかも」
潤は控えめに言った。
「ああ、あいつは、マスターキーを持っているからな。成人式の祝いによこせと言われたのだったな。ただ、全ての鍵ではないが」
「地下室の鍵?」
「そう。プレイルームは、潤と私の大事な部屋だからね」
叔父様は愛し子の髪を撫でた。
「救急隊員の人に見せつけるの、興奮した……恥ずかしかったけど」
潤はそう言って、はにかむように下唇を噛んだ。
「そうだな、今度は譲に見せつけてやろうか、潤のいやらしい姿を」
叔父様は笑った。叔父様と譲の親子は、対抗し競い合って、潤を奪い合っているようだった。
「でも、いつ帰ってくるかわからないね」
潤が迷っているように言った。
「そうだな、私は、潤と続きがしたいね。そのために、ここに戻ってきたんだから」
結局、潤の意志でなく叔父様の言う通りなのか。
「うん、わかった。そうする。続きします」
潤の叔父様で養育者の大洗竹春氏は、麗しい五月の日曜の朝、甥の潤と、潤の部屋で、性的プレイを選択した。屋外は晴れやかで麗らかな空と風。だが、お屋敷の深窓では淫靡な関係がじっとりと展開しているのだった。
それだけでも異常なことだが、直前に大洗氏の妻は、倒れて救急車で運ばれたのに、夫が、付き添いもせず、性的遊戯に耽り続けるというのだから、これまた異常だった。さらに、大洗氏の妻が倒れた原因が、どうも、潤に行為を拒否されたショックらしいのだから、めちゃくちゃだった。しかも、潤は、従兄で義兄である大洗氏の息子たちと、日常的に幼少期から性的行為をしているようだ。そして、兄弟での行為は、先代から続いているらしい。すなわち、叔父である現当主の大洗氏と、潤の実父である故大洗氏は、性的関係にあり、夫婦交換や息子交換をしていたのだ。こんな狂った家の価値観に、なじめるわけがないのだが、そこに生まれて生きる以上、必死で適応するしかないのが子どもたちだった。
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「今週おかした罪を告白しなさい」
潤は自白を強要された。
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