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第二章 森にて
ナチュラルで
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潤は、暗い森で、全裸で膝をつき、射精のあとの息の乱れに身をまかせていた。潤の黒髪は少し汗ばんで額や首筋にはりつき、唇は呼吸にわなないていた。潤の太ももや脚、お尻のあたりまで僕の尿がかかって濡れて照明にきらきらと光っていた。
「はぁ、はぁ……俺のこと変態だと思ってるんだろう? 実際、俺って変態かも。ねえ、そう思ってるでしょう?」
潤が取り憑かれたような艶麗な顔で言った。まるで変態だと言ってほしいかのようだ。
「びしょ濡れなのどうしよう?」
僕は恥ずかしいので、わざと別のことを言った。
「気持ちよかった。瑤、ありがとう」
潤が言った。
僕は元の場所に戻って鞄からタオルを出し身体を拭いた。潤も戻ってきて、
「すごく、よかった」
と、また言った。潤の目が酔ったように陶然としていた。
「潤、ごめんね。潤が気持ちいいって言ったから……」
僕は人に排泄物をかけてしまったことに罪悪感を覚えてわびた。
「ううん、いいの。ほんとに気持ちよかった。変かもしれないけど、興奮する。もっとしてほしいくらい」
潤は、全く気にしていないどころか、まだしてほしいらしかった。
「僕の拭いたタオルで嫌じゃなかったら拭いてあげるよ」
潤が、びしょ濡れだったので申し訳なくて、そう申し出た。
「あ、うん」
潤は、心ここにあらずだった。僕は液体の滴る潤の体を拭いてあげた。
「はあ、気持ちいい。瑤が拭いてくれるの、気持ちいい」
潤は、もう何をされても気持ちよくなってしまっているようだった。
全部拭き終わったので
「今度こそ、服着よう」
と言った。
「うん」
僕らは、やっと、森のケモノたちから、人間に戻るのだ。
「じゃあな、先に帰るぞ。気をつけて帰れよ」
譲が、服を着ている僕らのもとに来て言った。
「うん」
潤が答えた。
服を着終えると、ようやく人心地がついた。潤は、まだ着替えていた。僕はおずおずと言った。
「ごめんね潤、してる時、ひどいこと言っちゃったけど、ほんとにそう思ってるわけじゃないんだ」
「わかってるよ。俺が、そういうの好きだって、わかったんだろ?」
潤が答えた。
「もしかして、潤って攻められるの好きなんだ?」
僕は聞いた。
「知らないでナチュラルで、あんな風に攻めたの?」
潤は、笑って聞き返した。
「潤を見てると、好きすぎて、おかしくなっちゃうんだ」
僕は言い訳した。
「そう? 気持ちよかったよ。すごく感じてしまった。ほんとに初めてなの? 瑶って純情なんだか好きものなんだかわからないね。俺、瑤に、はまりそうだな」
潤が微笑んだ。僕は潤に喜んでもらえて嬉しかった。潤も服を着終わり、ようやく森の世界の精霊から、現代の人間に戻ったようだった。
「ねえ、譲って人、どこに住んでいるのかな?」
僕は疑問を持った。
「そこだよ」
潤は、庭の外灯があかあかと点いている、隣家を指差して答えた。
「あ、そこなんだ。そういうことか」
譲は森の隣に住んでいるのか。
僕と潤は、森の奥の古びた礼拝堂の脇を、さっき来たのと逆に歩いて戻り、潤が僕を押し倒した木の前にきた。来た時は、こんなことになるなんて、思いもよらなかった。森の奥では散々なことをしてしまった。潤を責め、なぶり、いたぶった。僕は、言葉、思い、行動で、罪をおかしました。罪深い僕をお許しください。
「ねえ、あの礼拝堂って入れるの?」
「鍵がかかっているよ。入ってみたい?」
「うん」
「じゃあ、明日、行ってみよう」
「明日は、入れるの?」
「明日は日曜日だから、開けるよ」
「ふうん。ちゃんと、礼拝とかがあるんだ?」
「ないよ。俺が鍵を持ってるだけ」
「どうして?」
「うちの礼拝堂だから」
「どういうこと?」
「曽祖父が建てた、私的な礼拝堂だから」
「すごいね」
「すごくないよ。建物だけで、信仰がないから。建物も、傷みがひどいし」
僕らは、公道に戻ってきた。長い旅から戻ってきたようだった。無事に帰還した、とは言えなかった。まだ、潤の家にすら、着いていなかったから! それに、清らかな童貞の僕は、もういなかったから。
「はぁ、はぁ……俺のこと変態だと思ってるんだろう? 実際、俺って変態かも。ねえ、そう思ってるでしょう?」
潤が取り憑かれたような艶麗な顔で言った。まるで変態だと言ってほしいかのようだ。
「びしょ濡れなのどうしよう?」
僕は恥ずかしいので、わざと別のことを言った。
「気持ちよかった。瑤、ありがとう」
潤が言った。
僕は元の場所に戻って鞄からタオルを出し身体を拭いた。潤も戻ってきて、
「すごく、よかった」
と、また言った。潤の目が酔ったように陶然としていた。
「潤、ごめんね。潤が気持ちいいって言ったから……」
僕は人に排泄物をかけてしまったことに罪悪感を覚えてわびた。
「ううん、いいの。ほんとに気持ちよかった。変かもしれないけど、興奮する。もっとしてほしいくらい」
潤は、全く気にしていないどころか、まだしてほしいらしかった。
「僕の拭いたタオルで嫌じゃなかったら拭いてあげるよ」
潤が、びしょ濡れだったので申し訳なくて、そう申し出た。
「あ、うん」
潤は、心ここにあらずだった。僕は液体の滴る潤の体を拭いてあげた。
「はあ、気持ちいい。瑤が拭いてくれるの、気持ちいい」
潤は、もう何をされても気持ちよくなってしまっているようだった。
全部拭き終わったので
「今度こそ、服着よう」
と言った。
「うん」
僕らは、やっと、森のケモノたちから、人間に戻るのだ。
「じゃあな、先に帰るぞ。気をつけて帰れよ」
譲が、服を着ている僕らのもとに来て言った。
「うん」
潤が答えた。
服を着終えると、ようやく人心地がついた。潤は、まだ着替えていた。僕はおずおずと言った。
「ごめんね潤、してる時、ひどいこと言っちゃったけど、ほんとにそう思ってるわけじゃないんだ」
「わかってるよ。俺が、そういうの好きだって、わかったんだろ?」
潤が答えた。
「もしかして、潤って攻められるの好きなんだ?」
僕は聞いた。
「知らないでナチュラルで、あんな風に攻めたの?」
潤は、笑って聞き返した。
「潤を見てると、好きすぎて、おかしくなっちゃうんだ」
僕は言い訳した。
「そう? 気持ちよかったよ。すごく感じてしまった。ほんとに初めてなの? 瑶って純情なんだか好きものなんだかわからないね。俺、瑤に、はまりそうだな」
潤が微笑んだ。僕は潤に喜んでもらえて嬉しかった。潤も服を着終わり、ようやく森の世界の精霊から、現代の人間に戻ったようだった。
「ねえ、譲って人、どこに住んでいるのかな?」
僕は疑問を持った。
「そこだよ」
潤は、庭の外灯があかあかと点いている、隣家を指差して答えた。
「あ、そこなんだ。そういうことか」
譲は森の隣に住んでいるのか。
僕と潤は、森の奥の古びた礼拝堂の脇を、さっき来たのと逆に歩いて戻り、潤が僕を押し倒した木の前にきた。来た時は、こんなことになるなんて、思いもよらなかった。森の奥では散々なことをしてしまった。潤を責め、なぶり、いたぶった。僕は、言葉、思い、行動で、罪をおかしました。罪深い僕をお許しください。
「ねえ、あの礼拝堂って入れるの?」
「鍵がかかっているよ。入ってみたい?」
「うん」
「じゃあ、明日、行ってみよう」
「明日は、入れるの?」
「明日は日曜日だから、開けるよ」
「ふうん。ちゃんと、礼拝とかがあるんだ?」
「ないよ。俺が鍵を持ってるだけ」
「どうして?」
「うちの礼拝堂だから」
「どういうこと?」
「曽祖父が建てた、私的な礼拝堂だから」
「すごいね」
「すごくないよ。建物だけで、信仰がないから。建物も、傷みがひどいし」
僕らは、公道に戻ってきた。長い旅から戻ってきたようだった。無事に帰還した、とは言えなかった。まだ、潤の家にすら、着いていなかったから! それに、清らかな童貞の僕は、もういなかったから。
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