潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

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第二章 森にて

撮影の時間

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 譲も気づいて潤から指を抜いた。
「あっ、やめないで」
潤は乱れた髪を柔らかい苔の生えた地面にすりつけて喘いでいた。中断された欲望の充足に苦しむ潤は、麻薬を断たれた中毒患者さながらだった。僕は、録画をやめてスマホをそっとポケットにしまった。
「藤木君は、ここに来るつもりなのかな?」
譲が潤に聞いた。
「ここは知らないはず。一度、あっちのマンションまでつけられたことがあったけど」
潤は、地面にうずくまってお尻を突き出したまま言った。
「ということは、藤木君は、あっちのマンションで、あいつにつかまるってわけか」
あいつって誰だろう。
「そんなの、わからないよ」
その時、隣家の庭の灯りがついて、サーチライトのように眩しく僕らの姿を照らし出した。

「撮影の時間だ」
譲が、ビロードのような青苔の生えた地面にうずくまった潤の姿を、潤のスマホで撮った。
「君も、参加しなよ」
譲が言った。
「来て」
潤が僕を呼んだ。僕は潤を助け起こした。撮影ライトのような灯りは、隣家の庭の外灯で、タイマーでつくように設定されているらしかった。全裸の潤と、制服の僕の組み合わせは、さぞかし、はたから見て、妖しかっただろう。同じくらいの背格好の少年二人が、朽ちかけた礼拝堂の裏手で、睦み合っている、あやしい写真を、譲は、飽かずに何枚も撮った。潤は、最初、手を差し伸べても、なかなか立とうとしなかった。中断された欲望に、疼いて、苛立っているようだった。僕は、いっしょになってしゃがんで、頬にキスしながら、潤の髪を慈しむように撫でてやった。そうしていると、ようやく焦燥感が落ち着いてきたのか、表情が和らいできた。
「瑤」
と言って、潤は、甘えてきた。
「キスしてほしいの?」
僕が言うと
「うん」
と言ったので
「じゃあ、立って」
と言って、手を差し伸べて、立ち上がらせた。僕らは、礼拝堂の壁に寄って、キスをし合った。
僕は、裸身の潤をかばうように、肩を抱いた。うつむく潤を、下から覗き込むようにキスした。
「もう、服着ようか?」
潤が、大人しくなったので、疲れたのかな?  と思い、僕は言った。
「うん」
潤は、頷いた。潤は、子どものように、素直で、可愛いらしかった。いつもの尖った様子が微塵もなくなっていた。服を着るために、礼拝堂の裏手の林の立木の中に足を踏み入れた。
「潤、裸足で、大丈夫?」
僕は、気づかった。
「うん、ここ慣れているから」
潤は、言った。
「ちょっと、そこでも撮らせてくれる?」
と、譲が言った。
「君たち、とても可愛いよ。綺麗な情景だ」
潤が、微笑んだ。僕は、立木に寄りかかり、裸身の潤を、後ろ向きにしたり、前向きにしたりして、腕をからめた。その都度、潤のさらさらの髪に、すべすべした頬に、僕は唇で触れた。そうする内に、早く、潤の全てをものにしたい、という衝動が、身内に湧いて、抑えることができなくなった。
「潤、好きだよ」
僕は、潤と舌をからめた。
ついこの間まで、軽いキスにも怯えていたというのに。ゾクゾクする陶酔が、身内を駆けめぐった。契約の甘い葡萄酒のように。僕と潤は、永遠に一つなのだと思った。
「潤と、一つになりたい」
前を向かせ、潤の茎に手を触れると、甘い蜜が、僕の指をしとどに濡らした。
「潤、感じているんだ?」
「ん」
潤は、いつでも準備のできている人形のようだった。潤は、大人しく頷いた。
「潤、可愛い」
潤の白い肌が、ヨルガオの花のように闇に浮かび、甘い香りを放ち、誘惑した。潤の肌は、僕のダークグレーの制服に抱かれて、好対照をなした。
「あんなに抱かれたのに、まだ欲しいの?」
僕の腕の中で、潤は、切なそうに、身をよじらせた。
「ん」
僕は、潤の首をひねらせて、唇を重ねた。僕は、潤の茂みをまさぐった。潤は、自分から、脚を開いた。
「いつも、そうなの?」
「ん?」
「誰にでも、そんな風に」
僕は、心がざわざわした。僕だけのものにしたい。僕は、凶暴な気持ちから、蕾のように愛らしい胸の突起を、指先で摘まんだ。痛々しい果実のようなそれを、ひねりつぶすように摘まむと、潤の身体が、ビクンとした。
「んっ、いいっ」
「恥知らず。誰とでも寝るなんて」
僕は、潤を傷つけたくて言った。
「もっと、もっとそうして」
「淫乱、あんな大きいのを咥えてよがって」
「あっ、あっ」
「全裸で、礼拝堂の裏で、男色に耽るなんて、背徳者だな」
「俺は、恥ずかしい人間だから」
「今まで、何人と寝た?」
「わからない」
僕は、潤をいじめたくて、もう一度繰り返した。
「恥知らず」
僕は、ギリギリと潤の乳首をつねり、潤の肩や首を噛んだ。潤は、責めれば責めるほど興奮した。
「瑤、瑤のあそこでいっぱい突いて。俺を、ここで殺していいから」
いたぶられ、責め殺されたいという異常な潤の心理に、僕まで、感染していった。潤の熱くなった胴体を両腕で抱いては、そのまま小鳥のように、絞め殺してしまいたい気がした。愛らしい潤。永遠に僕のものになってほしい。永遠に美しく、このままで。僕は、愛しさに、潤の全てを味わいたくて、手のひらで身体中を撫でさすった。
「潤の淫乱」
僕は、どうにもならない愛しさから、苦しい思いをそう吐き出して、潤の耳を甘噛みした。
「ああっ、俺をなぶって」
僕は、潤の茎をしごいては止めた。潤は、狂ったように乱れていき、
「お願い、いかせて」
と懇願してきた。
「瑤のモノ、お尻に入れて、イきたい」
「みんなに、そう言っているんだろう」
僕は、潤の根元を握って、イかせないようにして、言った。
「みんなの慰みものにされて、嬉しいのか?」
「瑤の言う通りにするから、なんでもするから」
潤が、うわごとのように泣いて、懇願した。涙が先走りの液のように潤の顔を濡らしていた。淫欲で桃色に染まった、目の縁を、僕は、舌先でなぞってやった。潤は、今度は、口の端から唾液を垂らした。僕は、潤の身体の全ての穴、九穴を攻略する勢いで、それを舐めとった。
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