ボクらは魔界闘暴者!

幾橋テツミ

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第五章 戦士たちの交錯

錬装者地獄変① 遂に対面!聖団VS星軍

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 AM9:32──県北部K町の絆獣聖団中国誓覇闘地に妖帝星軍車両4台が到着した。

  それを待ち受けていたかのように、山小屋ロッジ風合宿所の入口から宗 星愁と那崎恭作が姿を現し、広場中央に乗り入れた2台の黒い国産と銀色のドイツ製4WDSUV、そして殿しんがりを務めるジュラルミンのコンテナを積んだ4tトラックに向けて歩み寄る。

 妖仙獣を乗せて高速道を北上し、K町まで到達した10t車は森道に入る手前で打ち合わせ地点で待ち構えていた小型トラックに呀門を移し替え、光城玄矢の到着を待って合流したのであった。

 3台の四輪駆動車は列を作るでもなく10メートルほどの間隔をおいて停車し、あからさまな呉越同舟感を敵方に晒すことにまるで頓着せぬようであった。

「──凄いですね、このピリピリ感…」

 はじめて自陣ホームに相手を迎え入れた若者が眼を丸くするのに対し、

「まあ、連中は思想も信条も異なる3つの勢力が妖術鬼シャザラの名の下に辛うじて連結されてるようなもんだからな…」

 と、苦笑しながら支部最強錬装者が応える。

「──さてと、星軍の筆頭に挙げられる若き“最強妖帝”はどちらの車両に…?

 うむ、やはり先頭のアレか…」

 まず運転席のドアが開いて白ずくめのスマートな青年(サングラスは運転用であり、既に外されている)がアタッシュケースを提げて降り立つと、一分の隙もない身ごなしで助手席側の後部ドアに回り込んで恭しく開く。

「えっ?…何であんな若い女の子が…!?

 それに最初の白い服装の奴は玄矢じゃないですよね?」

 夏草萌ゆる炎天下の山間地に突如出現した漆黒の妖天使に驚く恭作に、星愁が硬い口調で宣う。

「違う。あの男は三男坊だろう…アイツら大概、名前にちなんだ色の服を着てるから分かりやすい…たしか白彌っていったっけな…。

 それでエスコートされて優雅に登場したのはおそらくだろうな。

 オレも噂に聞くだけで実物ははじめて見るが、あちらさんも一定の年齢に達し、満を持しての覇闘デビューといったところか…もちろん彼女が直接戦うなんてことはありえんだろうがね…」

「妖術鬼の娘ですって…?

 でも、奴は異世界ラージャーラ人でしょう?

 それなのに、…!?」

 この不埒さ皆無の至極真っ当な疑問に、聖団の事情通はまたも苦笑するしかなかった。

「さあな…それこそ得意の妖術とやらでやってのけたのかもしれん…。

 いい機会だから、何なら直接訊いてみたらどうだ?

 ──おっ、とうとう出てきやがったな…!」

 まさに真打ち登場、とばかりに悠然と車外に姿を見せた長身の美丈夫に、二人の錬装者の緊張も一気に高まる。

「…あれが、光城玄矢…!

 噂通り、デカいな…!!」

 裾を出した黒の半袖ポロシャツと黒のスラックスに黒革靴、そしてレイバンのサングラスといった出で立ちの妖帝星軍
【光城派】総帥は、ポケットに両手を突っ込んだまま一旦胸を反り返らせてカーッと喉を鳴らすや否や、靴の底で踏み躙っている敵地に向けて思い切り唾を吐き捨てたのである!

「…実力の方はなるほど大したものなんだろうが、相変わらず不遜というか品がねえな…。

 あれで信者の前じゃ、愛だの礼だの自然との共生だのと、いけしゃあしゃあと説教垂れてやがるってんだから、もはやサイコパスを通り越してだよ…!」

「全くですね…」

 光城勢に続くかのように迷彩Tシャツにショートジーンズの筋肉マンと、扇情的(露出狂的?)な網目シャツの上に白麻の夏物ジャケットを羽織り、ストーンウォッシュの細身ジーンズを穿いて素足に爪先の尖った茶色の革スニーカーを履いた、肉量こそ玄矢に劣るものの身長では匹敵する、一見してモデル上がりかと錯覚させる金髪のイケメンが各々の車から降り立った。

「あれは…全日本2連覇の”播磨の鬼獅子”寺垣俊之──!」

 格闘技オタクの血が騒ぐのか、恭作の頬は興奮に上気し、声は微かに震えている…。

「おっ、さすがに詳しいな…。

 だが恭作よ、気圧されちゃ困るぜ。

 今のオマエは単なる一ファンじゃなくて場合によっちゃいつでも拳を交えなきゃならん対等の戦士なんだからな…。

 むしろ、寺垣ヤツこそが単なるに過ぎないんだからよ…!」

 敬愛する先輩の静かなる檄に対し、勇猛な白虎の錬装磁甲を預かる聖団期待の新星も表情を引き締めて頷く。

「──押忍オス、分かってます」

「ふふ、その意気だ。

 それでアイツが【南郷派】の立会人か…しかし驚いたね、では大スターの〈ミラクルフィンガー〉の御入来とは…!」

「ミラクルフィンガー…?

 あの人のですか?」

 この大真面目な問いかけに星愁は思わず失笑し、小声で返答した。

「ああ、の、な…。

 だが恭作よ…オマエ、ホントにアイツの顔を知らんのか?」

「ええ、はじめて見ますよ。

 たしかに3ヶ月前、群馬で南郷派とはやり合いましたけど、そこにもあの顔は無かったですし…ですよね?」

「ああ、たしかにあそこじゃ見なかったな…」

 ──ミラクルフィンガー…それは弱冠24歳にして“AV界の帝王”の称号を手にした東堂吟士ぎんじによる超高速指技の名称である。

“一度、吟ちゃんの神業を味わったら、二度と他の男優の指じゃイケない♡”

 とまで共演者に讃仰されるその超絶テクは、専属として抱え込んだ南郷一族が率いる【アグニグループ】を、並み居る競合を蹴散らし単なるAVメーカーを超えた、性に関するあらゆる分野を網羅し、さらにその全てにおいて頂点に君臨する、まさしく“”を社是とする〈スーパーアダルトコングロマリット〉へと進化させるのに多大な貢献を果たしたのであった。

 されど、これらの文字通りのを、この清廉な修行僧のごとき若者の耳にあえて吹き込む必要はあるまい、と判断した宗 星愁はこれ以上のコメントを差し控えたのである…。

 しかしながら、改めて痛感させられるのは、宿敵たる絆獣聖団からと確信されている妖術鬼の着眼点の卓抜さであった。

『宗教、格闘技、そして性か…。

 いずれも人間の根本的な成立条件に深く食い入ってくる、いわばといっていい…。

 一見、それは善良な人々の眉を顰めさせ、時には目を背けさせる凄惨さを底流させているが、程度の差こそあれど、何人もなくして生きてゆくことは不可能だ…。

 そして剥き出しの〈THE・生命力〉の発現ともいうべきこの三つが一つに束ねられる時、人間という生物が体現できる最強にして最凶のパワーが…いわば“”が生まれ、それをこそ妖術鬼シャザラは欲したのではないか…!?』

 ──この世のものならぬ透明にして凄愴な霊光オーラを放散しながら二名の聖団員に向かって歩を進める五人の星軍戦士は光城玄矢を中心としていつしか横一線に並び、少なくとも今回の覇闘においては一枚岩の布陣で臨むことを痛烈なまでに告知していた…!









 
 



 

 



 






 
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