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第三章 血染めの【覇闘札】
妖帝、覇闘前の〈聖戦〉
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「──拍子抜けするほど簡単に交渉成立しましたわ…っていうか、支部の首督ともあろう者があんなユルい姿勢でよろしいのでしょうか、ね…?
しかも、自分の息子の身の危険に関する問題なのに…」
光城玄矢の要請を受け、冬河恒典に対して黎輔戦における再度の“組み合わせ変更”を持ちかけ、まんまと受諾させることに成功した沙佐良氷美花は〔玄粛の間〕の黒シーツを敷き詰めた寝台に腕組みしてどっかりと腰を下ろす光至教次期教祖に告げた。
「ありがとう、完全に予想通りだ。
まあ、あの人品卑しい骨柄の冬河某が仕切るこの田舎支部は全国に散らばる絆獣聖団の【九氏族】とやらにおいても“最弱”の烙印を押されて久しいようですから…。
まぁ、昨日ちらっと息子の方とは話す機会があったんだが、さすがに親父よりはマシなようでしたがね…」
この二人にとって文字通りの“運命の一夜”となった数時間前から今に至るまで黒ビキニ一丁の姿であると思しい“光城一族最強の男”は、余裕の含み笑いで応じる。
「──たしか名前は冬河黎輔だったかしら…。
少なくとも今回は威紅也さまと戦うことがなくなったせいか不思議と憎らしい気持ちも失せてしまいましたけど、実はお父様も彼には注目しているみたいなんですのよ…中々面白そうな坊やだって…」
「──何?」
この聞き捨てならぬ発言を受けた光城玄矢の切れ長の瞳に一瞬にして野獣の眼光が宿る。
しかし既に彼の愛と誠意を体感したゆえか或いは極術身装への“成身能力”を会得したことで自己防衛に絶対の自信を得たためか、その変貌を氷美花が恐れている様子はない…。
「ええ、そうなの…。
尤も、彼がいずれ聖団最強の錬装者になるだろうとかっていう理由ではなくて、何か政治的な面で重要な鍵を握る可能性があるって…」
この含みのある物言いは、実は玄矢にとっても若干の心当たりがあるものであったのだ…。
「ふうむ…するとやはり、あの時魂師が仰っておられたように近い将来において妖帝星軍と絆獣聖団は…」
「……?」
『──この表情から察するに、娘には肝心な部分を何も伝えておられぬようだな…。
だがもし事態が魂師の見立て通り動くとなれば…いや、やがて確実にそうなるであろうが、結局ただ一つの絶対的な事実に行き着くことになるのだ!
──即ち、神牙教軍=鏡の教聖という真の敵がいかに強大な存在であるのかということにッ!!
…だが、まあそれはそれとして…!』
彼にとって、今ここにおける喫緊の問題は別にあったのだ。
『氷美花の口ぶりは、彼女が未だ威紅也への想いを断ち切れていないことを如実に示している…されど、決して恩に着せるつもりはないにせよあの“魂の抱擁”がなければ間違いなく、今のこの健やかな姿はなかったはず…。
いかにオレにとって最愛の存在とはいえ、そこを看過されることはこの光城玄矢の自尊心が赦さんッ!!』
かくて玄矢は眦を決し、重々しく告げた。
「氷美花…君もまた妖帝星軍の一員として、今日の覇闘に全面協力する意志は固めているね…?」
ただならぬ気配を察した妖天使も忽ち緊張した表情に戻り、同志から発せられる次の言葉を待つ。
「…それは、もちろんですわ…!
でも、どうして…?」
「その返事が聞けて安心した…。
──幸いにも今日の対戦者は片手でひねり潰せるイージー極まる相手…。
少しばかり放出したところで、戦闘力に些かも影響を及ぼすことはあるまい…」
ここまで耳にして、氷美花の顔色が明らかに蒼ざめた…が。
瞳だけは嘘をつけなかった…。
それはたちどころに潤み、そして妖しく燃えはじめたのである…。
『よし、それでいい…ここからようやく、我々の真の関係がはじまるのだ…!』
自らも欲情の焔をその研ぎ澄まされた肉体全体から燃え立たせつつ、戦士は寝台に身を横たえた。
もちろん、彼の股間の〈生命の樹〉は黒い下着を突き破らんばかりに怒張している。
それを目の当たりにした氷美花は電気に打たれたかのように総身を慄かせ…数秒後、掠れ声で呟いた。
「…素敵…!」
「そうか…だが正直に言ってごらん、
氷美花…おまえはこれをどうしたいのだ…?」
ごくり、と白くか細い喉がはっきりと音を立てた。
──もはや、明らかであった。
沙佐良氷美花は眼の前の強壮な若者に心底から欲情しているのだ。
たとえ一瞬かもしれぬが、あれほどまでに身魂を奪われていた美青年を忘れ果て…。
「…それに…触れて…みたいです…」
この消え入るような震え声は、光城玄矢の精神をいかなる覇闘の勝利においてでも味わい得たことのない満足感で隈なく満たした。
「触ってみたい?…ただそれだけか?
…もっとほんとうにやりたいことがあるのに、自分の心を偽ってるんじゃないのか?
──私にごまかしは通用しないぞ。
二人だけの秘密にしておいてあげるから、安心して打ち明けてごらん…」
この瞬間、稚さを多分に残した美貌をたちまち紅潮させた妖術鬼の愛娘は無意識に舌舐めずりしていた。
そしてその潤みきった双眸がある決意を秘めていることを若き妖帝は読み取っていた。
「よし、いい子だ、それでいい…。
──それこそが私が望む我が妻・沙佐良氷美花の姿なのだから…!」
されど、もはやその言葉は可憐なる淫獣と化した氷美花の耳には入っていなかった。
もどかしげに黒い衣服を脱ぎ捨て、フリルをふんだんに使った同色の下着姿となってふわりと寝台に飛び乗った彼女は、わななく両手で引き裂くように光城玄矢の黒ビキニを引き下ろす!
「これをッ…あなたの尊い男根を食べてしまいたいのですッッ!!」
眼前に跳ね上がるようにそそり立った黒光りする巨根を絶叫しつつ握りしめた氷美花は、これもまた沙佐良の血がなせる妖異の技か、常人には到底不可能な角度まで両顎を全開させ、その奇怪なまでに凄艶な表情のまま、まさに食い千切らんばかりの勢いでむしゃぶりついたのである!
しかも、自分の息子の身の危険に関する問題なのに…」
光城玄矢の要請を受け、冬河恒典に対して黎輔戦における再度の“組み合わせ変更”を持ちかけ、まんまと受諾させることに成功した沙佐良氷美花は〔玄粛の間〕の黒シーツを敷き詰めた寝台に腕組みしてどっかりと腰を下ろす光至教次期教祖に告げた。
「ありがとう、完全に予想通りだ。
まあ、あの人品卑しい骨柄の冬河某が仕切るこの田舎支部は全国に散らばる絆獣聖団の【九氏族】とやらにおいても“最弱”の烙印を押されて久しいようですから…。
まぁ、昨日ちらっと息子の方とは話す機会があったんだが、さすがに親父よりはマシなようでしたがね…」
この二人にとって文字通りの“運命の一夜”となった数時間前から今に至るまで黒ビキニ一丁の姿であると思しい“光城一族最強の男”は、余裕の含み笑いで応じる。
「──たしか名前は冬河黎輔だったかしら…。
少なくとも今回は威紅也さまと戦うことがなくなったせいか不思議と憎らしい気持ちも失せてしまいましたけど、実はお父様も彼には注目しているみたいなんですのよ…中々面白そうな坊やだって…」
「──何?」
この聞き捨てならぬ発言を受けた光城玄矢の切れ長の瞳に一瞬にして野獣の眼光が宿る。
しかし既に彼の愛と誠意を体感したゆえか或いは極術身装への“成身能力”を会得したことで自己防衛に絶対の自信を得たためか、その変貌を氷美花が恐れている様子はない…。
「ええ、そうなの…。
尤も、彼がいずれ聖団最強の錬装者になるだろうとかっていう理由ではなくて、何か政治的な面で重要な鍵を握る可能性があるって…」
この含みのある物言いは、実は玄矢にとっても若干の心当たりがあるものであったのだ…。
「ふうむ…するとやはり、あの時魂師が仰っておられたように近い将来において妖帝星軍と絆獣聖団は…」
「……?」
『──この表情から察するに、娘には肝心な部分を何も伝えておられぬようだな…。
だがもし事態が魂師の見立て通り動くとなれば…いや、やがて確実にそうなるであろうが、結局ただ一つの絶対的な事実に行き着くことになるのだ!
──即ち、神牙教軍=鏡の教聖という真の敵がいかに強大な存在であるのかということにッ!!
…だが、まあそれはそれとして…!』
彼にとって、今ここにおける喫緊の問題は別にあったのだ。
『氷美花の口ぶりは、彼女が未だ威紅也への想いを断ち切れていないことを如実に示している…されど、決して恩に着せるつもりはないにせよあの“魂の抱擁”がなければ間違いなく、今のこの健やかな姿はなかったはず…。
いかにオレにとって最愛の存在とはいえ、そこを看過されることはこの光城玄矢の自尊心が赦さんッ!!』
かくて玄矢は眦を決し、重々しく告げた。
「氷美花…君もまた妖帝星軍の一員として、今日の覇闘に全面協力する意志は固めているね…?」
ただならぬ気配を察した妖天使も忽ち緊張した表情に戻り、同志から発せられる次の言葉を待つ。
「…それは、もちろんですわ…!
でも、どうして…?」
「その返事が聞けて安心した…。
──幸いにも今日の対戦者は片手でひねり潰せるイージー極まる相手…。
少しばかり放出したところで、戦闘力に些かも影響を及ぼすことはあるまい…」
ここまで耳にして、氷美花の顔色が明らかに蒼ざめた…が。
瞳だけは嘘をつけなかった…。
それはたちどころに潤み、そして妖しく燃えはじめたのである…。
『よし、それでいい…ここからようやく、我々の真の関係がはじまるのだ…!』
自らも欲情の焔をその研ぎ澄まされた肉体全体から燃え立たせつつ、戦士は寝台に身を横たえた。
もちろん、彼の股間の〈生命の樹〉は黒い下着を突き破らんばかりに怒張している。
それを目の当たりにした氷美花は電気に打たれたかのように総身を慄かせ…数秒後、掠れ声で呟いた。
「…素敵…!」
「そうか…だが正直に言ってごらん、
氷美花…おまえはこれをどうしたいのだ…?」
ごくり、と白くか細い喉がはっきりと音を立てた。
──もはや、明らかであった。
沙佐良氷美花は眼の前の強壮な若者に心底から欲情しているのだ。
たとえ一瞬かもしれぬが、あれほどまでに身魂を奪われていた美青年を忘れ果て…。
「…それに…触れて…みたいです…」
この消え入るような震え声は、光城玄矢の精神をいかなる覇闘の勝利においてでも味わい得たことのない満足感で隈なく満たした。
「触ってみたい?…ただそれだけか?
…もっとほんとうにやりたいことがあるのに、自分の心を偽ってるんじゃないのか?
──私にごまかしは通用しないぞ。
二人だけの秘密にしておいてあげるから、安心して打ち明けてごらん…」
この瞬間、稚さを多分に残した美貌をたちまち紅潮させた妖術鬼の愛娘は無意識に舌舐めずりしていた。
そしてその潤みきった双眸がある決意を秘めていることを若き妖帝は読み取っていた。
「よし、いい子だ、それでいい…。
──それこそが私が望む我が妻・沙佐良氷美花の姿なのだから…!」
されど、もはやその言葉は可憐なる淫獣と化した氷美花の耳には入っていなかった。
もどかしげに黒い衣服を脱ぎ捨て、フリルをふんだんに使った同色の下着姿となってふわりと寝台に飛び乗った彼女は、わななく両手で引き裂くように光城玄矢の黒ビキニを引き下ろす!
「これをッ…あなたの尊い男根を食べてしまいたいのですッッ!!」
眼前に跳ね上がるようにそそり立った黒光りする巨根を絶叫しつつ握りしめた氷美花は、これもまた沙佐良の血がなせる妖異の技か、常人には到底不可能な角度まで両顎を全開させ、その奇怪なまでに凄艶な表情のまま、まさに食い千切らんばかりの勢いでむしゃぶりついたのである!
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