69 / 117
第3部(終章)
蘇芳side 生贄
しおりを挟む
「さっきは八つ当たりしてすまない」
前を向いたままの蘇芳の言葉に、波瀬はきょとんとした。すぐに、ああさっきのことか、と思い至る。
肩を落としているようにも見える蘇芳は、足取りだけはずんずんと力強く、闇深い洞窟通路を青い松明を頼りに進んでいく。
松明があるということは、誰かが出入りしているのだろう。まさか住んでるなんてことはあるまい。
水中での出来事を思い出して、波瀬はぶんぶん頭を振ってその考えを打ち消した。
「いいんですよそんなの。殿下のことが心配なんでしょう。きっとご無事ですって」
「うん。東雲もついているから、きっと大丈夫だ」
蘇芳はその言葉がお守りであるかのように、何度も東雲がいるから、と口に出していた。本当に不安なのだろう。自分ではなく、花鶏のことが。
(昔から蘇芳殿は殿下にべったりだったが……まさかなぁ)
節操のない冗談のつもりで揶揄っていたら、ふたを開けて見ればそれが真実だったとは。事実は小説より奇なりだ。
(だからって、どうこう言う気はないが)
蘇芳が権力だとか、金だとか、そんな物のために花鶏殿下とそういう関係になったわけではないのは見ていればすぐに分かる。
むしろ花鶏殿下なんて、蘇芳さえ隣にいれば地位はそこらの犬にでもくれてやりそうだ。
(何度か蘇芳殿へ見合いの話が来たことがあったが、不思議と本人のとこに来る前に立ち消えてたんだよな)
官職、年齢、地方貴族、そして容姿……今まで婚姻歴がない方がおかしいくらいなのだが、本人は至って飄々としているので、年嵩連中は何やかやと世話を焼きだがる。いわくつきとはいえ、第三皇子の側近というのも、また大きい。方々で我が娘を、うちの孫を、なんて話はよく聞くのに、不思議とその先に進展しない。
(まさか花鶏殿下が手を回して?……いやいや、当時はまだ子供だったし)
ないない、と言いたいところだが、この間のあれを見聞きしてしまっては……。
あの時の波瀬は、本当に心臓が飛び出さんばかりで、途中からは逃げたくともできず、泣き出したかった。
それでも、もし万が一、花鶏が立場を利用して蘇芳に無理やり迫っているようなら、同僚として友人として、蘇芳を助ける心積もりがあったのだ。
(全く、そんなんじゃなかったな……)
他人様の色事を覗いて喜ぶ変態じゃあるまいし。まして仲良くしている上司と、そのご主人様のあれやそれ……途中からは鼾の演技をしながら耳を塞いでいた。
それでも漏れ聞こえてしまうものはしょうがない。
優勢だった花鶏が最後の方では蘇芳に虐められているような、意味が分からない展開になった時は別の意味で仰天したが。
あろうことか花鶏殿下の口を塞いだらしい蘇芳の気配と、くぐもったすすり泣きまで聞こえて、本気で焦った。
(いやもう不敬とかそういう問題じゃねえぞ!)
おまけに蘇芳は蘇芳で何が楽しいのか、合間合間に小さな声で花鶏殿下をあやしながら、泣いている相手にくすくす笑っている始末。むしろ花鶏殿下を助けてやるべきなのかと思ったくらいだ。
(……純情な若者が百戦錬磨の婀娜っぽい女に虐められてるみてぇだった)
まさか蘇芳に対してそんなことを思う日が来ようとは。
「だから一の里のあの空き家は……って、おい、聞いてるのか?」
「え?は、はい、空き家ね、聞いてますよ。二十年前に住民が出て行ったていう、俺たちの仮宿ですね」
蘇芳は松明を振って道の先を確認しながら、波瀬を振り返った。ぼう、っと青白く照らされた白い顔は、端正だが疲れが滲んでいる。
「百年ほども前だ。当時はまだ里は六つあって、それぞれが下から順に一、二、と序列にちなんで呼ばれていたという話はしたな? 一の里の序列は、一番下位、今と真逆だ」
波瀬は頷いた。地上で聞いた説明だ。なんでそんなことまで調べてあるのか、そんな疑問を置きざりに、蘇芳はつらつらと歩きながら語る。
「今は禁止されているが、当時は災害が起こると人柱を立てて土地の神に祈ったらしい。今は皇族を神と比肩して奉るから、そういう土着信仰が残っていた最後の時代だったんだろうな。ーともかく、大規模な干ばつと蝗害が立て続けに起きたその年、里長たちが話し合って人柱を立てることにした。割を食うのはどこか、言うまでもないな」
「一の里? ひでぇ話だ。そんなんで災害がおさまるわけないってのに」
「里が全滅するかどうかの瀬戸際だったんだろう。気の毒だが、生贄を出すことになった家の者達はもっと悲惨だ」
「あ、もしかして今の里長のご先祖の誰かが」
「違う」
蘇芳が即座に否定した。こういう時、真っ先に責を負うのは里長だろうと、思ったのだが。
「私たちが宿にしていた家は、はつり姫が言ったように大きく頑丈だった。荒れる前はもっと立派な家だっただろう」
波瀬ははたと思いついた。
「もしかして生贄を出した家っていうのはあの空き家に住んでた連中、いや、方達か。きっと里長の次に有力な一族が……ん?」
何かが引っかかる。蘇芳はさっき、当時の序列は今と真逆だと言っていた。
蘇芳はちら、と波瀬を肩越しに見遣った。
「そう、不自然なんだよ。なぜ下手したら里長の家より立派な家に住んでいたのか。答えは簡単だ。突発的な富や優遇には理由がつきもの。この場合の理由とは」
「……生贄を自分たちの身内から出したから? あれ、なんかこの話、最近どっかで聞いたような」
「『月代恋月記』の冒頭で、主人公の乙女は華鏡湖に身投げする。正確には木でできた棺桶に釘を打たれて放り込まれるんだ。そこで彼女は、ある人物と遭遇する」
蘇芳はそこまで言って、嫌そうに顔をしかめた。
「くそ、行き止まりだ。来た道を戻って分岐を探さないと」
乱暴な口調で吐き捨てたその時、ドン、と岩盤が揺れた。
「うわ、なんだっ」
ふたりして顔を見合わせた。多分同じことを考えいてる。こんな場所で岩盤が崩れでもしたら……。
息を詰めたその時、頭上の岩壁に、ビシリ、と亀裂が生じた。
前を向いたままの蘇芳の言葉に、波瀬はきょとんとした。すぐに、ああさっきのことか、と思い至る。
肩を落としているようにも見える蘇芳は、足取りだけはずんずんと力強く、闇深い洞窟通路を青い松明を頼りに進んでいく。
松明があるということは、誰かが出入りしているのだろう。まさか住んでるなんてことはあるまい。
水中での出来事を思い出して、波瀬はぶんぶん頭を振ってその考えを打ち消した。
「いいんですよそんなの。殿下のことが心配なんでしょう。きっとご無事ですって」
「うん。東雲もついているから、きっと大丈夫だ」
蘇芳はその言葉がお守りであるかのように、何度も東雲がいるから、と口に出していた。本当に不安なのだろう。自分ではなく、花鶏のことが。
(昔から蘇芳殿は殿下にべったりだったが……まさかなぁ)
節操のない冗談のつもりで揶揄っていたら、ふたを開けて見ればそれが真実だったとは。事実は小説より奇なりだ。
(だからって、どうこう言う気はないが)
蘇芳が権力だとか、金だとか、そんな物のために花鶏殿下とそういう関係になったわけではないのは見ていればすぐに分かる。
むしろ花鶏殿下なんて、蘇芳さえ隣にいれば地位はそこらの犬にでもくれてやりそうだ。
(何度か蘇芳殿へ見合いの話が来たことがあったが、不思議と本人のとこに来る前に立ち消えてたんだよな)
官職、年齢、地方貴族、そして容姿……今まで婚姻歴がない方がおかしいくらいなのだが、本人は至って飄々としているので、年嵩連中は何やかやと世話を焼きだがる。いわくつきとはいえ、第三皇子の側近というのも、また大きい。方々で我が娘を、うちの孫を、なんて話はよく聞くのに、不思議とその先に進展しない。
(まさか花鶏殿下が手を回して?……いやいや、当時はまだ子供だったし)
ないない、と言いたいところだが、この間のあれを見聞きしてしまっては……。
あの時の波瀬は、本当に心臓が飛び出さんばかりで、途中からは逃げたくともできず、泣き出したかった。
それでも、もし万が一、花鶏が立場を利用して蘇芳に無理やり迫っているようなら、同僚として友人として、蘇芳を助ける心積もりがあったのだ。
(全く、そんなんじゃなかったな……)
他人様の色事を覗いて喜ぶ変態じゃあるまいし。まして仲良くしている上司と、そのご主人様のあれやそれ……途中からは鼾の演技をしながら耳を塞いでいた。
それでも漏れ聞こえてしまうものはしょうがない。
優勢だった花鶏が最後の方では蘇芳に虐められているような、意味が分からない展開になった時は別の意味で仰天したが。
あろうことか花鶏殿下の口を塞いだらしい蘇芳の気配と、くぐもったすすり泣きまで聞こえて、本気で焦った。
(いやもう不敬とかそういう問題じゃねえぞ!)
おまけに蘇芳は蘇芳で何が楽しいのか、合間合間に小さな声で花鶏殿下をあやしながら、泣いている相手にくすくす笑っている始末。むしろ花鶏殿下を助けてやるべきなのかと思ったくらいだ。
(……純情な若者が百戦錬磨の婀娜っぽい女に虐められてるみてぇだった)
まさか蘇芳に対してそんなことを思う日が来ようとは。
「だから一の里のあの空き家は……って、おい、聞いてるのか?」
「え?は、はい、空き家ね、聞いてますよ。二十年前に住民が出て行ったていう、俺たちの仮宿ですね」
蘇芳は松明を振って道の先を確認しながら、波瀬を振り返った。ぼう、っと青白く照らされた白い顔は、端正だが疲れが滲んでいる。
「百年ほども前だ。当時はまだ里は六つあって、それぞれが下から順に一、二、と序列にちなんで呼ばれていたという話はしたな? 一の里の序列は、一番下位、今と真逆だ」
波瀬は頷いた。地上で聞いた説明だ。なんでそんなことまで調べてあるのか、そんな疑問を置きざりに、蘇芳はつらつらと歩きながら語る。
「今は禁止されているが、当時は災害が起こると人柱を立てて土地の神に祈ったらしい。今は皇族を神と比肩して奉るから、そういう土着信仰が残っていた最後の時代だったんだろうな。ーともかく、大規模な干ばつと蝗害が立て続けに起きたその年、里長たちが話し合って人柱を立てることにした。割を食うのはどこか、言うまでもないな」
「一の里? ひでぇ話だ。そんなんで災害がおさまるわけないってのに」
「里が全滅するかどうかの瀬戸際だったんだろう。気の毒だが、生贄を出すことになった家の者達はもっと悲惨だ」
「あ、もしかして今の里長のご先祖の誰かが」
「違う」
蘇芳が即座に否定した。こういう時、真っ先に責を負うのは里長だろうと、思ったのだが。
「私たちが宿にしていた家は、はつり姫が言ったように大きく頑丈だった。荒れる前はもっと立派な家だっただろう」
波瀬ははたと思いついた。
「もしかして生贄を出した家っていうのはあの空き家に住んでた連中、いや、方達か。きっと里長の次に有力な一族が……ん?」
何かが引っかかる。蘇芳はさっき、当時の序列は今と真逆だと言っていた。
蘇芳はちら、と波瀬を肩越しに見遣った。
「そう、不自然なんだよ。なぜ下手したら里長の家より立派な家に住んでいたのか。答えは簡単だ。突発的な富や優遇には理由がつきもの。この場合の理由とは」
「……生贄を自分たちの身内から出したから? あれ、なんかこの話、最近どっかで聞いたような」
「『月代恋月記』の冒頭で、主人公の乙女は華鏡湖に身投げする。正確には木でできた棺桶に釘を打たれて放り込まれるんだ。そこで彼女は、ある人物と遭遇する」
蘇芳はそこまで言って、嫌そうに顔をしかめた。
「くそ、行き止まりだ。来た道を戻って分岐を探さないと」
乱暴な口調で吐き捨てたその時、ドン、と岩盤が揺れた。
「うわ、なんだっ」
ふたりして顔を見合わせた。多分同じことを考えいてる。こんな場所で岩盤が崩れでもしたら……。
息を詰めたその時、頭上の岩壁に、ビシリ、と亀裂が生じた。
138
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで
二三@冷酷公爵発売中
BL
国教会の主教であるイヴォンは、ここが前世のBLゲームの世界だと気づいた。ゲームの内容は、浄化の力を持つ主人公が騎士団と共に国を旅し、魔物討伐をしながら攻略対象者と愛を深めていくというもの。自分は悪役神官であり、主人公が誰とも結ばれないノーマルルートを辿る場合に限り、破滅の道を逃れられる。そのためイヴォンは旅に同行し、主人公の恋路の邪魔を画策をする。以前からイヴォンを嫌っている団長も攻略対象者であり、気が進まないものの団長とも関わっていくうちに…。
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
* ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)
インスタ @yuruyu0
Youtube @BL小説動画 です!
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです!
ヴィル×ノィユのお話です。
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました!
時々おまけのお話を更新するかもです。
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います
緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。
知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。
花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。
十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。
寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。
見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。
宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。
やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。
次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。
アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。
ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。