98 / 110
第四章その10 ~最終決戦!?~ 富士の裾野の大勝負編
震天・起動2
しおりを挟む
しかし敵軍は、既に次の行動を開始していた。山際に陣取っていた後詰めの群れが、こちらに向けて動き出したのだ。そのどれもが通常より強力な個体であろう。
誠は素早く敵軍に標的マークをロックし、操作レバーを回転させて遠距離射撃モードに入る。
『目標設定、前方1時方向敵集団』
『腕部汎用レーザー展開』
誠が機体の左腕を前に伸ばすと、前腕の装甲から砲が露出していく。
『砲身露出、背部属性添加機より高速チャージ』
『臨界点まであと05、04、03、02、01、射出準備完了』
モニターにチャージ完了表示が現れ、誠は引き金を引いた。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
凄まじい光が眼前に溢れた。太く巨大な光の柱……持続時間の長い超高出力レーザーが発射されたのだ。
誠が機体の腕を振るうと、光はそのまま敵陣を横切り、強力な数千の餓霊が一瞬で蒸発した。
普通の軍勢ならこの辺りで怖気づくのだろうが、そこは流石に魔王と行動する精鋭である。残った別動隊の餓霊どもは、既に左右から接近していたのだ。
『退避班との距離良好、全周囲攻撃いけます』
オペレーターの言葉に、誠は次の動作に移った。
こちらの思考を読み取った機体の、肩の装甲部分が展開。両肩に内臓されていたドラム型ジェネレーターが現れる。
『広域殲滅干渉装置、起動』
『対餓霊・電磁干渉波、集積』
やがて高出力ジェネレーターが輝き、小型の太陽のような光を放つと、広範囲の敵が溶けて蒸発していく。いかに多数の相手であろうと、近づく事さえ許さないのだ。
なまなかな刺客では駄目だと思ったのか、敵軍はそこで奥の手を投入してきた。
猛然と迫るのは、全長1500メートルを超える、規格外の多脚の餓霊。九州で観測された『城喰い』に似た巨体が、地響きを立てて突進して来るのである。
「くっ……!」
誠は一瞬回避行動をとろうとしたが、機体をその場に留まらせた。
距離が離れたとはいえ、避難を進める負傷兵は、まだ後方を移動中である。誠が避ければ、彼らが犠牲になるのは明白だった。
(避けたら味方が……でも仕留めてもあの勢いだ。全身が崩れるまでに、味方を押し潰すかもしれない……!)
だがそこで、画面上で筑波が言った。
『大丈夫だ、心配するな。ドンと構えろ』
誠はその言葉を信じる事にした。
眼前に迫る相手は、山がそのまま動くような圧迫感であったが、機体の足を踏ん張って受け止める。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!
『慣性ブースター作動、衝撃緩和』
凄まじい運動エネルギーにも関わらず、震天は見る間にその勢いを止めていく。
餓霊の多脚は地をえぐり、土砂やアスファルトの破片を巻き上げるが、それ以上進む事が叶わないのだ。
震天の背後に輝く強力な力場が、後退を押しとどめているからである。
『超々圧縮斥力場、用意……発動!』
オペレーターの声と共に、今度は機体の前方に強力な力場が発生する。餓霊の巨体は爆発を受けたかのように押し返され、大きくのけ反った。
両手があいた誠の機体は、その隙に太刀を腰に構える。
次の瞬間、唸りを上げた刀が、眼前の巨体を斜めに切り上げていた。
切り裂かれ、倒れ込もうとする巨体を、返す刀でもう一撃。
袈裟斬りに叩きつけられた斬撃は、餓霊を粉砕、勢い余って大地に食い込む。
地面が大きく断ち割られ、衝撃波がはるか遠方まで駆け巡った。
誠は素早く敵軍に標的マークをロックし、操作レバーを回転させて遠距離射撃モードに入る。
『目標設定、前方1時方向敵集団』
『腕部汎用レーザー展開』
誠が機体の左腕を前に伸ばすと、前腕の装甲から砲が露出していく。
『砲身露出、背部属性添加機より高速チャージ』
『臨界点まであと05、04、03、02、01、射出準備完了』
モニターにチャージ完了表示が現れ、誠は引き金を引いた。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
凄まじい光が眼前に溢れた。太く巨大な光の柱……持続時間の長い超高出力レーザーが発射されたのだ。
誠が機体の腕を振るうと、光はそのまま敵陣を横切り、強力な数千の餓霊が一瞬で蒸発した。
普通の軍勢ならこの辺りで怖気づくのだろうが、そこは流石に魔王と行動する精鋭である。残った別動隊の餓霊どもは、既に左右から接近していたのだ。
『退避班との距離良好、全周囲攻撃いけます』
オペレーターの言葉に、誠は次の動作に移った。
こちらの思考を読み取った機体の、肩の装甲部分が展開。両肩に内臓されていたドラム型ジェネレーターが現れる。
『広域殲滅干渉装置、起動』
『対餓霊・電磁干渉波、集積』
やがて高出力ジェネレーターが輝き、小型の太陽のような光を放つと、広範囲の敵が溶けて蒸発していく。いかに多数の相手であろうと、近づく事さえ許さないのだ。
なまなかな刺客では駄目だと思ったのか、敵軍はそこで奥の手を投入してきた。
猛然と迫るのは、全長1500メートルを超える、規格外の多脚の餓霊。九州で観測された『城喰い』に似た巨体が、地響きを立てて突進して来るのである。
「くっ……!」
誠は一瞬回避行動をとろうとしたが、機体をその場に留まらせた。
距離が離れたとはいえ、避難を進める負傷兵は、まだ後方を移動中である。誠が避ければ、彼らが犠牲になるのは明白だった。
(避けたら味方が……でも仕留めてもあの勢いだ。全身が崩れるまでに、味方を押し潰すかもしれない……!)
だがそこで、画面上で筑波が言った。
『大丈夫だ、心配するな。ドンと構えろ』
誠はその言葉を信じる事にした。
眼前に迫る相手は、山がそのまま動くような圧迫感であったが、機体の足を踏ん張って受け止める。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!
『慣性ブースター作動、衝撃緩和』
凄まじい運動エネルギーにも関わらず、震天は見る間にその勢いを止めていく。
餓霊の多脚は地をえぐり、土砂やアスファルトの破片を巻き上げるが、それ以上進む事が叶わないのだ。
震天の背後に輝く強力な力場が、後退を押しとどめているからである。
『超々圧縮斥力場、用意……発動!』
オペレーターの声と共に、今度は機体の前方に強力な力場が発生する。餓霊の巨体は爆発を受けたかのように押し返され、大きくのけ反った。
両手があいた誠の機体は、その隙に太刀を腰に構える。
次の瞬間、唸りを上げた刀が、眼前の巨体を斜めに切り上げていた。
切り裂かれ、倒れ込もうとする巨体を、返す刀でもう一撃。
袈裟斬りに叩きつけられた斬撃は、餓霊を粉砕、勢い余って大地に食い込む。
地面が大きく断ち割られ、衝撃波がはるか遠方まで駆け巡った。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
黒龍の神嫁は溺愛から逃げられない
めがねあざらし
BL
「神嫁は……お前です」
村の神嫁選びで神託が告げたのは、美しい娘ではなく青年・長(なが)だった。
戸惑いながらも黒龍の神・橡(つるばみ)に嫁ぐことになった長は、神域で不思議な日々を過ごしていく。
穏やかな橡との生活に次第に心を許し始める長だったが、ある日を境に彼の姿が消えてしまう――。
夢の中で響く声と、失われた記憶が導く、神と人の恋の物語。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる